冒険者の街、ガルシア!
二人は壁の近くまで来た。
正門らしく、その両端には守衛が一人ずつ立っている。
目の前にある門が開き、その中が見える。
「ようこそリリィエスト!冒険者の街、ガルシアへ!」
招くようにルートスが手を街へ伸ばす。
始めて見る異世界の街にリリィエストは瞳を輝かせ感嘆の声が漏れる。
街には様々な装いの人が点々とし、ざわざわと賑わっていた。
「それでどうする?やることねーんなら俺は落ちるけど。」
「街をいろいろ見て回ります!いろいろ助けてくださってありがとうございました。」
深々とお辞儀をするリリィエスト。
「いいって。んじゃ、一応フレンド登録しておくか?」
「なんですか、それ?」
「まじで知らねぇんだな。簡単に言うと連絡取り合えるようにするやつだ。ウィンドウの出し方は・・・・・知らないよなぁ。」
ウィンドウという言葉すらわかっていないので出せるはずもなかった。
「手を前に出して、頭ん中でオープンって言ってみな。慣れれば意識するだけで出せるようになるけど。」
言われた通りリリィエストは右手を前に出し頭の中でおおぷんと言ってみた。
だが何もおこらず、試しに何度も頭の中で言ってもやはり何も起きなかった。
「あの、何回も言ってるんですけど何も起こりませんよ?」
「えーっと、そんなはずはないんだけどな。一回声に出してやってみて。」
もう一度声に出してやってみたが何も起こることはなかった。
「バグかなぁ・・・ま、しゃーない。フレンドはいったん置いておこう。でもウィンドウがないなら地図も見れないわけか。」
ウィンドウには装備欄やアイテム欄、そしてマップ欄などが存在していて、基本はウィンドウで地図をみることになっていた。
「んじゃ、俺の地図やるよ。」
そういってルートスはウィンドウを操作し、アイテム欄からガルシアの地図を出した。
先に述べた通り、マップは基本ウィンドウから見るものだが、街においては地図が売ってあり、以外にも購入者は多い。
というのもウィンドウのマップは建物と道、ゲーム進行にかかわる場所以外は何も書いておらず、書き込みもできなかった。
その分、アイテムとして持てる地図は書き込み可であり、個人経営の店もわかるもので皆重宝していた。
ルートスはリリィエストにある程度の知っておくべき場所を教えた。
「大体はこんな感じか。まだ何か聞きたいことがあるなら聞くけど?」
「いいえ、もう十分すぎるほどですよ。助かりました、ありがとうございますルートス。」
「やめろって。じゃあ俺は帰るから、好きにするといい。じゃあな。」
そう言ってルートスは人込みに紛れ見えなくなった。
リリィエストは見えなくなった後も手を振り続けた。
「さて、どこから見て回ろうかな?」
ルートスにもらった地図を広げながら最初の目的地を決めるリリィエスト。
ガルシアの街は正門から最奥の建物であるギルド本部まで縦断する一本の大通りと街を横断するように流れている川が中央で交差している。
横断している川は街の壁まで続き、その両端が東門と西門となっている。
そして南に位置する正門と、ギルド本部から直接外に出られる裏門で計四つの門で成り立っている。
街の中は川を挟んだ南側は店舗が多く存在し、北側は住居や図書館や教会といった公共施設が存在している。
リリィエストは今はちょうどど真ん中の川にかかる橋の上にいる。
「やっぱり最初は図書館かなぁ・・・」
そんなことを言っていると、キュルルルっとお腹の虫が鳴いた。
「よし!まずはお腹いっぱい食べてからにしよう!!」
日がすでに落ちて道に並ぶ街灯に照らされながらリリィエストは南へむかった。
リリィエストが食べ物を求め動き始めたころ・・・
東京のある一軒家の一室。
部屋の中は雑然としていて床には高校の制服らしきものやゲームソフトなどが散らかっていた。
ベッドに寝ていたルートスの現実側の青年は体を半分起こし、頭につけていたゲーム機を外す。
「あ、よーやく起きた?」
隣のイスに座っている床の服と同じような服をきた女性が青年のパソコンを勝手にいじりながらそう言った。
「ご飯前にはいっつも戻ってきてるのに珍しいわね~。なにかあったの?」
「・・・まあ、ちょっと頭の痛い子とね・・・ってか勝手に人のパソコンいじってんじゃねーよ。」