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ジュリウスの受難は終わらない

ギルド本部、主にクエストの受注に利用される場所だが普段はそれほど見かけることはなく多くて五組ほどの冒険者たちがクエストが貼られた掲示板の前で物色していたりする。

それが今日はどうだろう。

掲示板の前には人だかりができており、クエスト受注のカウンターには我先にとクエスト用紙を手に掲げ受注申請をしようとする何人もの冒険者の姿があった。

「なんなんだよ、この人だかりは。」

ルートスはそう呟かずにはいられなかった。

「おや、ルートスじゃないか。どうしたんだいそんなところで立ち呆けて。」

北門に続く道で人の多さに立ち尽くしていたルートスに話かけて来たのはジュリウスだった。

その姿はいつも見ていたステイジアの制服ではなく、冒険者としての戦闘服を着ていた。

腿までのびる白と青の上着が特徴的で、いつもラズリに「戦うとき邪魔じゃない?」と聞かれていたものだ。

「ジュリウス・・・ちょうどいい、この状況はなんなんだよ?」

ルートスは掲示板に集まる冒険者をみながらそう聞いた。

掲示板に集まる人たちは新しくクエストが貼りだされる度、我先にと奪い合いが発生していた。

「君たちは聞いていないのか・・・なら、腰を落ち着けて話そうか。幸いテーブルは余っているようだしね。」

何のことだとさっぱりわからない顔をしたルートスを見たジュリウスは、いつもは誰かしらに占領されている十人がけのテーブルを指さしてそう言った。


ルートス、ジュリウス、リリィエストの三人は四人掛けのテーブルに座った。

他のメンバーはどうしたのかと言うと、エリスとケータは勉強のためにゲームをログアウトした。

シャナはケータの付き添いとして一緒に抜けると謝りながらログアウトした。

そしてラズリは「今日はお開きみたいだから帰るね~。あとで話ちゃんと聞かせてね。」とマスターならちゃんと話聞いて行けよ、とルートスが突っ込む間もなくログアウトしていった。

残ったリリィエストは何かすることもないのでルートスと一緒にジュリウスの話を聞くことにした。

「それで、話をきかせてもらおうか。この人だかりは一体なんなんだ?」

「君は四獣がこのゲームに追加されることはもう聞いたかい?」

ルートスはジュリウスの問に頷いて答える。

「それなら話は早い。その四獣についてある噂が流れているんだ。その噂と言うのが今ギルド本部を賑わせている理由だよ。」

「その噂ってのは?」

「四獣クエストの出現方法だよ。」

ジュリウスの返答に驚くのではなく、違和感を感じたルートスはジュリウスに続きを促す。

「一時間ほど前に情報誌に掲載された新情報に、どうやら四獣の情報が掲載されていたようだ。どうやら製作者側が四獣は通常クエストでは出現しないと言ったそうなんだ。まだ裏は取れていないからそれが本当かもわからないんだけど、じゃあどうやって四獣の討伐クエストは出現するのか・・・ってところになったわけなんだけど。」

ジュリウスの話の途中でリリィエストが席を立つ。

リリィエストは手に件の情報誌を持ってルートスに渡す。

ルートスはそれを受け取り目で記事を追い耳はジュリウスに傾けた。

「それがどうやらギルドの特別報酬に関わっているんじゃないか、という噂が流れているんだ。君のギルドも今まで何度か報酬を受け取ってきただろう?その報酬が、四獣討伐クエストなのではと僕は聞いた。それでその報酬目当てにクエストを他より多く達成して貢献度を上げたいというギルドや個人で一杯なわけだよ。」

ルートスはしっかりと話をききつつ記事に目を滑らせる。

―――著者の書き方も抽象的だな。ギルドの特別報酬が四獣であると断言はしていないがこの言いようではそう噂になっても仕方がないな・・・

「もしその噂が本当だったとしても、限られたギルドや個人にしかそのクエストを渡さないんじゃあプレイヤーから不満が出るんじゃないか?」

ルートスは噂を聞いて最初に思った感想をジュリウスに聞いた。

「四獣はおそらく大型モンスターだと僕は思ってる。だからクエスト自体も複数ギルド、複数パーティーによる大人数参加型クエストになるんじゃないかな?」

「なるほどねぇ・・・」

筋は通っている、とルートスは思ったがそれでまた一つ疑問が生まれた。

がそれを聞く前にジュリウスが話し始める。

「それで僕たちのギルドもその取り合い合戦に参加することになってね・・・だいぶ振り回されてるんだよ。マスターの命令で一旦ステイジアには暇をもらっているんだけど・・・やめさせてもらえなくてね。まだ僕は逃げられないようだよ・・・あははは。」

「サクヤ直々にか・・・それは大変だな。」

―――ジュリウスもまた大変なギルドに入ったもんだよなぁ・・・合掌。

ルートスはジュリウスを心の中で弔った。

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