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また追いかけられてるけど討伐しました!

リリィエストは一度落ち着くために深呼吸をした。

それが終わると同時にルートスから指示が出る。

「いいか、俺が合図したらラズリと俺は前へ出る。リリィエストとシャナは木の影から周りの白狼を攻撃。攻撃は白狼たちが俺たちに気づいてからやってくれ。作戦通り黒狼が大きく離れたら黒狼にも攻撃よろしく。ラズリ、行けるか?」

簡単に全員に指示を出し、リリィエストとシャナは無言で頷く。

「いつでもオッケ~。」

ラズリは緊張した様子もなく、軽い感じでそう言った。

「よし、じゃあ行くぞ・・・・三、二、一・・GO!」

決して張り上げない声でカウントをし、GOの合図で二人が同時に飛び出す。

黒狼に近づく速度は異常で、あっという間に半分の距離を詰める。

白狼含め、黒狼が二人の気配を感じ取ったのか体を二人のいるほうへ向ける。

黒狼は二人を視認し、威嚇するように吠える。

その咆哮は白狼のするものとは次元が異なり、後ろにいたリリィエストにさえ衝撃波として届くほどだった。

頬を裂くような咆哮に、リリィエストの体は固まってしまう。

だが、そんな咆哮をリリィエストより何倍も直に感じているはずの二人は足を止めることなく黒狼に近づいていた。

黒狼により速く近づいたラズリはその速度のまま剣を突き出し突進する。

しかし剣先が黒狼を貫くことはなく、すんでのところでかわされてしまう。

だがそれすら織り込み済みのようにルートスがラズリを警戒して後ろを向いている黒狼の死角から一撃を入れる。

死角からの攻撃に悲鳴のような声を上げ、黒狼は二人から距離を取ろうとする。

ルートスは距離を開けられたことで周りの白狼からの反撃を警戒したが、すでに幾らかの白狼の額に矢が刺さって倒れていた。

ルートスとラズリが飛び出した時にはシャナは隠れていた木に登っていて、黒狼の咆哮と同時に弓による狙撃を始めていた。

白狼は群れを二つに分けルートスとラズリに向かうものとリリィエストとシャナにむかうもので行動を開始していた。

リリィエスト達とは距離があり白狼たちが距離を詰めるには時間がかかる。

「リリィ!さっきの魔法で手前の白狼に攻撃してっ・・・・あ、くださいます!?」

「は、はい!」

シャナの呼びかけで固まっていた体と意識をようやく動かし、構えた杖に魔力を溜める。

先ほど白狼の群れに放った魔法の時と比べると、体に纏ったあの光が少し薄くなっていた。

あの時ほど時間と余裕がなく、しっかり魔法を練ることができなかったからだ。

できあがった火の玉も、いまは十数個しかなかった。

リリィエストは杖を振り下げ、白狼に向かって火の玉が飛んで行く。

いきなり飛んできた火に驚く様子もひるむ様子もなく突っ込んでくる白狼に着弾し、黒煙が発生した。

その間シャナは黒狼にヒットアンドアウェイを繰り返しているルートスとラズリに向かった白狼を狙撃していた。

少し息切れしたリリィエストは立ち込める煙が先ほどとは違う動きをしているのに気付いた。

黒煙の一部が流れるようにリリィエストの方に伸びたと思ったら、そのなかから白狼六匹が一つの塊のようにまとまって走っていた。

そのきれいな白毛が黒ずんでいることから魔法はしっかり発動していた。

しかし止まっていた白狼を狙ったあの時とは異なり、今は動いているという違いを頭に置いていなかったリリィエストは白狼の群れの後部に魔法を着弾させてしまった。

着弾の爆風で倒せたものもいたが、先頭集団にはその効き目も薄く生き残ってしまっていた。

着実に距離を詰めてくる白狼に焦るリリィエストは、即席でつくった火の玉を放つ。

がそれは白狼の横をかすめるだけで一匹も倒すことができなかった。

「ま、またなのぉぉおおぉお!!?」

この世界に来た時と同様に、今度は杖を両手で持ち白狼の反対方向に逃げることになった。



リリィエストが白狼に追いかけまわされているころ、ルートスとラズリはいたって優勢に黒狼と戦っていた。

ラズリがスピードで黒狼を翻弄しつつ攻撃をよけ、死角からルートスが一撃を入れる。

黒狼に距離を取られるたび、リリィエスト達の追撃を気にするが一向に来る気配がないのですでにその線はあきらめていた。

ルートスに標的が定められたときはよけることなく、すべての攻撃を剣で迎え撃ちはじき返していた。

その間ラズリは黒狼の後ろを取り、連撃を重ねていった。

二人がそれぞれ危険だと判断したは、決して深追いせず退避し態勢を整えることで、被弾は限りなくゼロに近かった。

十分ほど戦っただろうか、常に黒狼と対峙し疲労がたまってしまったことで完璧とも思われた二人の陣形が崩れてしまう。

今まで黒狼の標的は一人で基本片方はフリーになっていたことで、死角や後ろからの攻撃が決まっていた。

しかし疲労によるものか油断によるものか、ずっと死角から攻撃していたルートスが黒狼の認識範囲内で攻撃しようとしてしまった。

それを確認した黒狼はルートスの剣が届く前に、前足の鋭い爪で反撃しようとする。

ラズリもルートスが狙われていることに気づくのが遅れ、助けるには及ばない距離にあった。

黒狼の爪がルートスに届きうるその瞬間、黒狼が悲鳴を叫び後ろにたじろいだ。

攻撃を食らうと思っていたルートスは一瞬目を閉じていて、自分が攻撃を受けていないこと、黒狼が悲鳴を上げていることが不思議でならなかった。

ルートスは目を開け黒狼を視認する。

すると黒狼の左目には矢が刺さっており、それだけでなく目のあたりが燃やされたかの如く火傷を負っていた。

おそらくシャナのおかげだと思ったルートスはこれを好機と思い、ラズリに畳みかけるように目配せで伝える。

その間片目を潰され動きの止まった黒狼に火の纏った矢が頭から背中にかけて的確に刺さっていく。

それに追撃を重ねるように、ラズリは黒狼の腹の下をくぐり抜けながら連撃を加え、ルートスは顔面を側面に沿うように一太刀浴びせる。

上下側面からの多面攻撃に黒狼はなすすべなく地に伏した。

ルートスとラズリは剣をしまい、お互いをみてハイタッチした。

「お疲れっ!!」

「はいよ、お疲れさん。」

そう言って二人はその場に座り込み、長くため息をついた。

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