ついに黒狼に相対しました!
それから道を進み、道中出てくる白狼をリリィエストがバッタバッタとなぎ倒す・・・ことはなく、魔力の温存のためにルートスやラズリが代わりになぎ倒していった。
ギルドの家で調子に乗ってリリィエストを気絶までさせた二人は、リリィエストにも限界があることを知っていたからだ。
二人には白狼は相手にすらならないのか、リリィエストと初対面した時のようにあっという間に白狼の群れを倒していく。
その間やることのないリリィエストとシャナは道端の木陰の下に入り二人の活躍を遠目に見ていた。
「あの二人ってとっても強いよね。」
「そうですわね、戦い方は異なってはいますがトッププレイヤーと言って差し支えない程の実力は持っていますわ、あの二人は。ゲーム廃人ですからねぇ。」
「は、廃人になるほどすごいんですか?」
シャナの廃人という言葉に、二人からは予想もできなかったリリィエスト。
驚きつつも心配そうに聞くリリィエストにシャナわ笑いかける。
「ふふふっ、心配しなくても廃人であってもしっかりしていますから大丈夫ですわよ。ただ、この世界をこよなく愛しているだけですわ。」
微笑みかけるシャナの視線が白狼を倒している二人に向けられる。
その目は頼もしそうに二人をみているようで、どこか切なくも見えた。
木陰でリリィエストとシャナが談笑しているところに、白狼を狩り終えたラズリとルートスが戻ってくる。
「おいおい、俺らが体張って戦ってんのに悠長なもんだなぁ。」
「そうだよ、リリィは気絶しちゃうかもだからいいけどシャナは手伝ってくれていいのよ?」
「あら、あの程度の敵ならあなたたちだけで十分じゃないかしら?それともこの私のお力添えが必要で?」
シャナが挑発するように二人にそう言う。
「・・・なあシャナ。前から言おうと思ってたんだけどいいか?」
どことなく真剣そうにルートスがシャナに問いかける。
いきなりルートスにそう言われシャナも戸惑っているようだ。
「か、かまいませんわよ?どうしたのかしら。」
「いや、どうしたもこうしたもその口調・・・」
ルートスが言い切る前にまくしたてるようにシャナが食い気味に言葉をかぶせる。
「あ、あらぁ?そ、そんなことゴザイマセンワヨ?いつもワタクシはこうでアリマセンコト!?」
必死にそう言うシャナに、ルートスはたじろいでそれ以上は問うことはなくラズリは変わらずなぜか笑っている。
「そ、それよりもそろそろ黒狼がでてくるんじゃありませんか?」
「そ、そうだな。リリィエストもそろそろ魔法使えそうか?」
「うん、いっぱい休めたし全然いけるよ!」
「じゃあ作戦通り、黒狼討伐行くぞ!」
ルートスの言葉で休憩も終わり、再び先を目指すこととなった。
そして、白狼の親玉である黒狼に相対するのもこれよりそう遠くない先のことである。
再び歩き始めて程なくして、白狼の群れが再度確認された。
今まで通り接近して倒そうとするラズリをルートスは手で止める。
そして四人は近くにある木の後ろに隠れるように移動する。
白狼が群れているその中央辺りには、黒々とした大きな岩のようなものが見える。
「全員、武器を構えとけ。」
ルートスが短くそう言った。
リリィエストは背中の杖を構えるために一瞬白狼の群れから目をそらした。
そしてもう一度白狼の群れに目を向けたとき、動くはずのない大きな岩がユラリと揺れたように見えた。
ルートスは小声で「やっぱりか」と何かを予知していたこのように言う。
揺れた岩は動くだけでなく少しずつその大きさを増していく。
そこでようやくルートスを除くすべての者が、岩の正体が黒狼であることに気づく。
四人の緊張感が一層増し、リリィエストの杖を握る力が強くなる。
クエスト、黒狼討伐の大本命・・・黒狼との闘いが始まる。




