天使のキス
「綾小路先輩…実は僕、あなたの可愛いところが好きでたまらないんです」
冬の日の、新聞部の部室。
開口一番、岩崎貴博の発言には胸がときめいた。
上目遣いの目、ピンクの頬、やや高めの声。
そこら辺の女子より可愛いじゃないか。
ヤバい、落とすより先に落とされてる気がする!!
「んぅっ…!」
指で口内を掻き回される感覚。
舌を触られて、何ともいえないくすぐったさで甘い声が漏れた。
「綾小路先輩の喉って、こんなに綺麗なんですね。ゼリーみたい」
貴博は僕の口から指を抜き、心底楽しそうに微笑んだ。
そんな彼が何だか愛おしくなってきて、気付いたら僕は貴博をぬいぐるみのように抱きしめていた。
思わず潰してしまいそうな、小さく華奢な身体に腕を回して…。
「綾小路先輩…僕、あなたを心から愛しています…!!」
「それは僕も……んんん!!」
貴博が唐突に僕にキスをしてきて、最後まで言葉が続かなかった。
「あ…んんっ……ふっ、んん…」
貴博の口の中は熱くてとろけそうだった。
冬の寒さが吹っ飛ぶどころか、舌まで溶けてしまいそう……。
すると、貴博は僕を壁に追い詰めた。
「っ!!? 貴博…!?」
貴博はハァと息を吐くと、床に座り込んだ僕の尻を撫でながら話し出した。
「すみません、綾小路先輩……僕、もう我慢できません…」
そう言うと、貴博は僕の唇に優しく舌を入れてきた。
天使のような表情に、自然と鼓動が早くなる。
彼のキスは、まるで「綾小路先輩、大好きです……」と言っているようだった。