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 と、とりあえずこの空気どうにかしないと如何(いかん)です。私の精神衛生上よろしくない!…と言うことで、私はレイ兄様の曲がりまくった機嫌を何とか真っ直ぐに戻そうと思った。レッツゴー。







「レイ兄様、お久しぶりです。最近は中々お会いすることが出来ませんでしたけれど、お元気そうで何よりです!」







 数日前に帰省したばかりの次兄グレイシス。

 彼は帰るなりベティと少し会話してから、父の執務室に閉じこもり何やら作業をしだした。その後、執務の切りの良いところで父ディレストも加わり、長兄ウォルヘルムも少し遅れて視察地から帰宅するといつも通りベティを訪ねてからそれに加わった。

 何をやっているのかは、彼ら以外の人間は知らされていない。使用人も、あの室へは立ち入りが禁止されているらしかった。


 そんな中、グレイシスは三日目にして漸く室から出てきたのだから、この挨拶は的を外してはいないはずだ。しかしそんな私に顔を向けたグレイシスは突然の切り出しに少々複雑そうに眉を寄せる。

 この表情は、何でしょうか…?



──え、何か間違えました?間違えちゃいました…?



 内心、冷や汗が滝の様に流れている私。しかし表向きの表情はすこし引きつり気味だけれど笑顔はキープを頑張ってみる。それでも続いていく沈黙に、早くも駄目だとギブアップ宣言を高らかに告げていた。そうして最期の救いとばかりにウィルナーを仰ぎ見たが、彼は彼で呆気に取られた表情をしている。…その表情の何とも奇妙な事と言ったら。



──ル…ルナ、あなた何て顔してるのッ



 だって、その表情があまりにもアレだったので…。私は今の状況も完全にすっ飛ばして心の中で叫んでいた。本当に駄目よ、その顔は。折角、美形に産んで頂いたんだから、それは大切にしなくちゃいけないのよ。何せ、美青年(イケメン)は希少価値のある産物なのだから。


 しかし…美形って、美形って!何故そんな表情しても残念なことにならないのですか。神は人に、一物も二物も与えるのですか!?

 思うところはソコだった。

 本当に、どこの世でも平等など存在しないのだなと思う私でした。



 なんて、そんな私のモヤモヤなツッコミは完全にどうでも良いですよ。

 今はそんなことはどうでもいいのでした!!







 彼らがそんな表情になってしまう理由がさっぱりわからないのです。

 正直に申し上げると、私は何も間違ったことは言ってないししていないと思うのです。


 レイ兄様にしてもルナにしても、どうして私をそんな目でみるのですか。

 グレイシスのその哀れんだような悲しいような微笑ましいような複雑な瞳のその感情はどれが当てはまるのだろうか。それにどうしてか、ウィルナーに関してはその表情(かお)を見ているとベティはとても苛々してしまってしょうがなかった。ムカムカして…。おんどりゃー、です。


 あなた、仮にも主人に何て顔してるんですか。

 普通の御令嬢だったらなら、彼は私に叱り飛ばされていても良いだろう反応を返している。仮にもと言うか私は実際、彼の主人です。あんな表情を向けて良い立場ではないのだけれど。しかしながら、私自身そういうことはあんまり気にしない性格(たち)なので何も言いません。

 はい…言いませんが、しかしルナは本当にいい加減にしないとレイ兄様に埋められますよ。本気で。


 そんな時に、この重い沈黙を破ったのはグレイシスだった。







「そうだね、君と同じ屋敷に居るのに顔を会わせる事がなかったから…」


「レイ兄様は執務室に籠られていたので…」


「それは、寂しい思いをさせてしまったね。この後は予定はないから、ずっと一緒にいれるからね」


「本当ですか…?」


「ああ、ベティの好きなことを好きなだけしよう」

「レイ兄様ッッ大好きです!!」


「ああ、私も。愛しているよ、私のベティ…」







 グレイシスはこんな時でも通常運転だった。私は、嬉しくてレイ兄様にタックルよろしく抱きついた。すると、次兄はよろけることなくしっかりと受け止めるとベティの頭を優しく撫でてくれた。

 私は次兄のこの手が大好きで、思わず気持ちよさげに目を閉じてその手にすり寄ってしまっていた。


 ウィルナーはその間にどうやら復活したらしい。

 そしてそのやり取りを直に見てしまい、顔を歪めて鋭い視線をこちらにと言うかグレイシスに向けていた。非常に不愉快極まりないという顔だった。


 彼の表情の変化に気がついた私の頭上には、クエスチョンマークがトトトンっと並んだ。

 そんなに醜いシーンだったのだろうか。あれほどに顔を歪めてしまう程。

 疑問に思考をとらわれてしまっていた私は、グレイシスの視線が自分からウィルナーに移っていたことに気付けないでいた。

 そして、彼らが視線だけの攻防を繰り広げていた事も…。







 今思えば、この時点で食い止めていればああはならなかったのではと、後悔する。しかしそれもこれも後の祭りとばかりに私をあざ笑うことだろう。ちなみに、もしそうだとしても彼らの壊滅的な交友関係が修復されないことは、もう諦めるべき事項なのかもしれない。


















11:了

ここで、ベティが呼ぶ家族、他もろもろのアダ名をご紹介。


長兄ウォルヘルム→ウォル兄様

次兄グレイシス→レイ兄様

三兄シュベルター→ベルター兄様

双子兄エリクシス→エリック

双子弟マグリクス→マーク

*──────────*

侍女アーネリス→アン

護衛騎士ウィルナー→ルナ


今のところこのような感じですかね♪

まだまだ、登場人物いますよ。

徐々に出していきましょうね☆


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