登校初日
トラブル起きるフラグ立った・・・
朝日が差し込み、シンの顔を明るく照らす・・・
「起きてください、シン様」
「ングッ・・・ここは?」
「おはようございます
シン様は昨日、勇者として呼ばれたためここにいるのです・・・思い出しましたか?」
「・・・はっ!
そうだった、ありがとうイアンさん」
イアンは微笑みながら部屋にあったシンの制服をベッドに持ってくる
「朝食の準備はできてます、お早めにお願いします」
一礼して去っていくイアンをぼぉーとしながら見るシンは制服を見る
「そういや学校だっけ」
ガシガシと頭を掻きながら眠気を覚ますように大きく身体を伸ばし、制服に着替えていった
「おはようございます」
「おはよう、シン君」
食卓に向かえばアリシアが先に朝食を摂っていた
「グランさんとレイナは?」
二人の姿が見えないことに気づきながらも席に座る
「レイナはまだ起きて来てないわね
グランはもう出たわ、騎士の朝は早いのよ
あ、先に食べていいわよ」
「じゃあ、いただきます」
朝食は麦パンにジャム、サラダなど軽めの物が多かった
「これは昨日の肉ですか?」
「ええ、スライスにした物でカールムという牛肉よ
昨日はステーキだけど、こうして蒸したのも美味しいのよ」
皿に乗っていた葉に包まれた赤茶の肉の塊をナイフで切り落とし、パンに乗せて一緒に食べる
肉から染み出た肉汁がパンにマッチして美味しいようだ
すると激しい足音が聞こえてきた
「お、おはようございます」
レイナは急いで降りてきたようだ
昨日は綺麗だったストレートの髪は今は所々、跳ねている
「あら、お寝坊なんて珍しいわね?」
「すいません、あまり寝付けなくて・・・」
レイナはそのまま椅子に座り、朝食にありつく
するとアリシアが席を立ちレイナに近寄り、彼女の耳元で何かを言う
「なっ・・・そんなことじゃありません!」
顔を真っ赤にして否定するレイナ
(朝から元気だな・・・俺はまだ眠い)
シンは彼女達のやり取りにさほど興味はなく黙々と食事を続けた
屋敷から出たシンとレイナはレイナの通う学校
セリアーナ王立教育学校に向かっていた
「ってことは、授業は違うけどクラスは一緒ってか?」
「ああ、私は騎士コースでシンは魔術師コースになる
コース専門の授業は別だが魔術師や騎士の共通の授業もあるからな、そういう点があるからクラスは騎士や魔術師などごちゃ混ぜだ」
「なるほどな・・・で、俺はレイナと同じクラスなわけか」
「そうだな
一応、王族や上流階級の貴族などはシンの素性を知っているかもしれないが皆、私の友人だ
いろいろ協力してくれるさ
だがな・・・」
突然、顔をしかめたレイナ
それを見たシンは予想した答えを紡ぐ
「知らない貴族達が何か仕掛けてくるかと?」
「ああ、その通りだ・・・そこが不安なんだ」
レイナの曇った表情
シンは安心させるかのように笑う
「なんだ、別にそんなことなら大丈夫だ
そこらの魔術師と違って紙装甲だけどヘマするようなことはないし、100レベだぜ?
多少手荒な真似されたって蚊に刺された程度だって」
「シンがそう言うならいいが・・・」
話合ってる内に校門についたようでシンはヒシヒシと生徒の視線を感じていた
(なんだこの視線・・・てか、めっちゃひそひそと話てるし)
隣のレイナに目を向ければ・・・
「ん、なんだ?」
全く気にしていなかった・・・
さすがあの騎士団長にして騎士娘、意外とずぶとい神経のようだ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はい、君がシン君ですね
学校にいる間は生徒として対応します、よろしいですね?」
「わかりました」
レイナといったん別れた後シンは職員室に向かった、そして校長と担任との挨拶だ
「では、サース先生・・・あとはよろしいでしょうか?」
「了解です」
シンとサースはそのまま職員室を出る
彼はサース・ラグネス先生
長身で体格は普通
短めな茶髪にメガネを掛けているレイナのクラス4−Bの担任であり、今日からお世話になるシンの担任でもある
「他に何か質問はありますか?」
「じゃあ・・・これ、持ち込み大丈夫ですか?杖じゃないですけど魔術の触媒なんですが」
見せるのは海龍槍ザリチェ
サースは笑顔で答える
「大丈夫ですよ
基本的に自分の武器は自分で揃えることになってますから
それにしてもずいぶんな業物ですね」
「見てみますか?」
そう言ってザリチェを渡すシン
基本的に持つだけなら装備したことにならないため大丈夫だ
しかしその武器で意図的に使用した場合に武器自体が使用者のレベルを感じ、判断
レベル不足なら魔法は発動せず、直接攻撃なら自分自身に攻撃が跳ね返ってくるのだ
それをレイナから聞いたシンは少々ビビったという・・・
「切れ味も鋭そうですし、色も艶があって綺麗ですね
何レベルで装備可能なんですか?」
「95レベルですね・・・
サース先生はこういうのに興味あるんですか?」
シンはサースからザリチェを受け取りながら尋ねる
「ええ、いろいろと調べるのが好きなんです
古代遺跡から発掘された武器や防具など調べることですね」
「へぇ〜、そうなんですか・・・なら装備を見せましょうか?」
「よろしいんですか?」
「構いませんよ
自分は使いませんし、剣士や戦士とかのさほど高くないレベルですから・・・そんなんでいいなら、どうですか?」
「是非とも、お願いします!」
そんなこんなで二人は教室についた
サースはパッと表情を変え、廊下の片隅を示す
「続きは今度にしましょう
私が合図を出したら入って来てください、それまで、そこで・・・」
「はい」
シンは言われた通り廊下の片隅に立ち、合図があるまで待つ
待つこと数分・・・
「では入って来てください」
合図だ・・・
シンは緊張しながらもドアに手を掛ける
(自然体に、自然体に・・・)
自分に暗示を掛ながら教卓の前に立ち、クラスを見渡す
ざっと見て30人ほど
シンがいた日本の学校と対して変わらない人数だ
そして窓際から二番目の列の一番後ろの席にレイナがおり、こちらを見て笑みを浮かべている
「自己紹介をお願いします」
サースに促され、シンはビシッと背筋を伸ばす
「名前はシンです
とある事情ここの学生になりました、魔術師コースを希望です
治癒などの魔法も使えます!よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げるシン
(フッ、我ながら第一印象は完璧な自己紹介なはずだ)
内心緊張で心臓バクバクだが強がるシン
「ありがとうございます
では、シン君はサフィールさんの隣の席に座ってください」
(おお、窓際一番後ろとかベストポジションじゃないか!)
自分の席の位置に歓喜しながらシンは席につく
「中々元気な自己紹介じゃないか、緊張してなかったのか?」
「まさか!?内心バクバクで心臓破裂しそうだったさ」
席に着くなりレイナに話しかけられ、シンはため息混じりに答える
するとシンはある視線に気づいた
そちらに目を向ければ・・・金髪の目付きの悪い不良さんっぽい人やら青髪のローブを羽織ってる人やら、ぶっちゃけ男子の8割ほどに睨まれていた
(・・・あれ?もしかしてレイナって男子からはアイドル的存在?)
冷や汗を掻きながらシンは苦笑するしかなかった
騎士コースの9割は男子です