HAHAHA、ずっと俺のターン!
実際、詠唱速度100%でほぼ無詠唱だった自分のキャラはあまり魔法防御力のない壁役を2~3秒で沈めてました・・・
てなわけでして、自分も彼女と同じ学校に行きたいんですが・・・」
「なるほど・・・それくらいの要望は聞こう
しかし、少し条件がある」
柔らかな優しい笑みを浮かべながら国王はその白く長い髭を撫でながら問う
「勇者の現在の実力を知りたい
シンよ、騎士団長のグランと一戦してくれまいか?」
(なるほど・・・国としての勇者の実力を先に知っておきたいということか)
「わかりました」
そう潔く答えると兵士に案内され、訓練場に移動する
すると移動している最中、レイナがこっそり話掛けてきた
「シ、シン!
いくら勇者として召喚されたとしても相手は父上だ!棄権しろ!」
その慌てように驚きながらもニィと笑う
その笑みは自信があるからこそできた笑みだ
「大丈夫だって
これでも前いた世界じゃ、トップレベルだったぜ?」
これは一応、本当だ
このキャラクターは同じカンストプレイヤー相手でもあまり負けることはなかった
まぁ・・・天敵だったキャラクターには負けることはあったが・・・
「しかし、魔術師が一人で騎士の父上を相手なんて」
確かに魔術師は詠唱中は無防備だ
この世界でも魔術師はそうなのだろう
しかし・・・
「俺は『普通』の魔術師じゃないからな」
自信たっぷりと笑った
それでもレイナは心配みたいだがそれ以上言ってこなかった
するとちょうど訓練場についたようで、訓練場の真ん中には大剣を地面に突き立てている騎士がいた
シンは静かに騎士の前まで歩く
「待っていた、勇者・・・いやシン
お前の実力、量らせてもらうぞ?」
「この国の兵士のトップが相手とは光栄です、本気でやらないと意味がないですね」
ぐっと自分の武器である槍・・・海神槍ザリチェを握る
「そうして貰わないと困る
なに、私も国の軍事のトップだ
魔法は使えるし、魔法に対する術はある」
(さすがトップ、魔法も剣も使えるとか)
そう答えたグランはザッと黒塗りの鈍く光る大剣を地面から抜く
「先手はやろう、いつでも来るがいい」
グランは剣を構えながら言う
そこでシンは考えた・・・
前までこのキャラクターはパソコンのキーで魔法を操作していたが今は自分自身が魔法を打つためキー操作は存在しない
だが、転生したからかどうやって魔法を放つかはなぜか理解していた
「ドレイク、キャスト」
そう呟くとシンの身体に光が纏う、そして槍をグランに向ける
「アクアストーム」
「!!」
瞬間、槍から水の竜巻がグランに目掛けて発射される
「業火の火柱、立ち上れフレイムロッド!」
しかし瞬時にどんな攻撃か理解したグランは詠唱し、自分の前に大きな火柱を出現させる
そして水の竜巻は蒸気をあげながら相殺されていく
だが・・・
「むっ!?」
「クソッ、さすが騎士団長」
蒸気に隠れながら接近し、槍でグランの足を狙ったが大剣で弾かれる
「普通、魔術師ならあの蒸気に隠れて距離を取らないか?」
「生憎、普通じゃないんでねっ!」
槍を弾かれたのと同時に左手を突き出す
そこにあるのは人間の顔くらいの火の玉
「なっ!?詠唱破棄か!」
グランは顔目掛けて突き出された火の玉を慌てて顔を反らすことによって回避する
しかし・・・
「グッ!!」
突如現れた岩の柱によって腹を打たれて上に吹き飛ぶ
「詠唱破棄・・・に近いな、詠唱はしてるさ
雷撃スパークウェイブ、獄炎クリムゾーン」
「ッチィ!」
着地した瞬間、自分に向かってくる紫電の雷撃を左に飛び込み避けると次に頭上に魔法陣が現れたのに気付き、前に飛び込むように避ける
すると背後で凄まじい圧力と熱加減の極太の蒼い火柱ができた
その光景にゾクリと戦慄するグラン
「まだまだいきますよ!
ファイア、サンダー、アイス!」
「なっ!?」
次々と自分に打たれてくる、赤、青、黄の塊にグランは身を捻り、剣で弾き、捌いていくも量が異様なため避けるのに精一杯のようだ・・・その迫る量は軽く50を超えている
「ライチェイン」
避けきったグランに突如現れた光の鎖が身体に巻き付き、地面に固定される
四肢を開かれる状態で拘束され、身を精一杯捻ってもビクともしない
「クッ、これは聖魔法か!」
手首でスナップを利かせ、剣で鎖を攻撃するもそれは簡単に弾かれるだけだった
「少々強いやつ行きますよ・・・
願うは雷撃、雷神の怒り、一瞬の無慈悲の鉄槌ーーー」
今まで詠唱をしなかったはずのシンが詠唱・・・そして・・・
「顕れ、サグジネンス!」
グランの真横に巨大な魔方陣が空中に浮かび上がる
左右前後囲むように展開しながらそれは空まで一瞬にして魔方陣の柱を作る
そして柱が空まで伸びると突如、上空に暗雲ができ・・・直径5メートルほどの極大な紫電を叩き落とした
一瞬にして辺りを白光に染め上げ、国中に轟音を響き渡らせる
それをその場にいた兵士、グラン、レイナは目を見開き、口が塞がらず見ていた
紫電が止むと空は元通り晴れ、シンはニッコリ笑う
「もし敵でしたらグランさんにアレを当ててましたよ」
そう言いながらレイスを解き、グランを自由にする・・・そして手を差しのべる
「ハハ・・・完敗だ、君が敵じゃなくて心底安心した」
若干震えながらも苦笑したグランはシンの手を取る
「国王には私から言っておく
明日にでも学生の一人として過ごせるようにしよう
それと夕食をご馳走させて頂きたい、レイナに伝えて私の屋敷に行ってて貰えないか?」
「わかりました、お願いします」
グランは意気揚々と去っていく姿にシンは苦笑した
「ちょっとやり過ぎたな・・・てか、やっぱり詠唱速度最高値はチートだわ」
ゲーム時代に仲間から散々二つ名に沿って茶化されるのを思いだし、ついクスクス笑う
するとレイナが駆け寄って来た
「シ、シン!大丈夫か?」
「見てただろ?無傷だ」
両手をめいいっぱい広げ、怪我をしていないことを告げる
するとレイナは俯きながら罰が悪そうに言った
「すまない・・・まさかシンがここまで強いとは思わなかった、仮にも父上は我が国の最強の位置にいるものでな」
確かに最強に位置する父親が負けるとは信じれないのだろう
それを理解したシンは・・・
「まぁ、誰だって国一番の強者が自分の父親でいきなり負けるとは思わないさ
レイナが謝る必要はないよ・・・」
「そう言ってくれると助かる・・・」
それでも浮かない表情のレイナ
そんなレイナにシンはため息をつくと思い付いた言葉を話す
「それに俺が勝ったら、レイナのスリーサイズを教えてくれるって言われたんだ
負けないわけにはいかないだろ?」
「なっ、はぁっー!?」
いきなりのトンデモ発言に顔を真っ赤にして驚くレイナ
だがすぐに言葉を返すシン、その表情はニンマリとした笑み
「いや、嘘(笑」
「嘘か!」
「ってのは冗談で・・・」
「どっちなんだ、シン!」
「アハハ、顔真っ赤
大丈夫、そんなスリーサイズの話なんて嘘だ
会ってすぐに戦ったんだ、そんな話してる時間なかったろ?」
「確かに・・・」
ムムと唸るレイナ
そんな彼女と一緒にシンは訓練場を出る、彼女の雰囲気はすっかり緩んだ
「そうだ、レイナの親父さん・・・グランさんに夕食ご馳走したいって言われたんだ
だからレイナの家まで案内してくれない?」
「そうなのか、わかった・・・じゃあコッチだな」
こうしてシンはレイナの家まで行くことになった
いやー、無詠唱でお気に入りのセリフ
『以下省略!ダイダルウェーブ!』
これによりしばらくの間、ずっと洗濯機無双