それ行け伸弘!(前
「いや、俺は構いませんが…。ご主人様ってお父さんか何かですか?」
「違うんだ、じいちゃんなんだよ」
佳織は伸弘に説明し始めた。
麻美と佳織は従姉妹で、
佳織のお父さんと麻美のお母さんは、兄妹らしい。
お父さんは会社の社長で、お母さんの夫も社長さんらしい。
4人とも一緒に、今は海外らしい。
その会社は、長瀬電気会社…誰もが聞いたことがある会社だ。
橋田ソフト…これも誰もが聴いたことある会社、
これを聞いて伸弘は失神しそうになった。
今大きな家は、麻美と佳織の2人の家になっているらしい。
何でも執事は別棟に住んでいて祖父さんも別宅、一緒には住んで居ないそうだ。
「えーっ、ご主人様はファミレスは魔物が出ると…」
魔池流は、苦笑いをしながら言う。
…な・ん・じゃ・そらー!!
「だから、私達は一回も行った事が無いんだ。…居るわけないのに」
佳織がため息をつく。
「内緒で行きましょうか?」
麻美はどうしても行きたいらしい。
伸弘は内緒と言うのはいやらしくて、
「内緒は駄目だ! すいませんマイケルさん。ご主人様に電話させてもらっても?」
そういうと、佳織が
「これ、私の携帯だ。」
発信画面になり、伸弘は電話を借りる。
『もしもーーし? 佳織ちゃーん?』
あれ、幻聴か?そう伸弘は感じた。
もっと厳格なイメージが…
『どーしたんじゃ? おじいちゃんが恋しくなったのか?』
駄目です…理解を超えています。
「えー、あー、大島というものです」
『え? 大島? 2人の命のお恩人の?」
『おっほん、私が佳織の祖父、橋田 潤一郎だ」
(もう遅いぞ、気まずいぞ! ……考えろ、感じるんじゃない考えるんだ。)
「申し遅れました、大島伸弘です」
「聞いておる、此度は本当に助かり申した」
「いえいえ……」
再び訪れる緊張感。
なんだこの雰囲気、どんな別れる前のカップルだよ!
「して、どのような用件で?」
(ナイスフォロー、祖父さん!!!)
闘いは続く…