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キザ男

 俺は少し舌打ちをした。

 それなりに近く、そして入り組んだ場所を選んだはずだが……

 大島はすぐに追いついてきた。

 「もう少し、遠くを選んでも良かったか」

 後ろには班員という名の部下を引き連れて紅葉旅館を目指す。

 いや~久しぶりに人を殴れてすっきりしたかもな。

 そんなことを思いつつ、手を見る。

 拳は少し、皮がめくれていた。

 「慶様!」

 部下の1人が俺を呼ぶ。

 「なんだ?」

 「大島伸弘……あいつは少し危険です」

 「そんなこと言わなくたって、分かってんだよ!!」

 笑いながら、背中を叩く。

 「すいません!」

 後処理は、他の部下にやらせて居るが、その報告を聞く限り

 3-3組の連中は少し厄介なようだ。

 護衛や執事の連中が強いのはある程度把握していたが……

 念のために用意していた、俺の戦闘部員までやられるとは思ってもいなかった。

 ――何とか、逃亡は成功したらしいが

 それより俺が驚いたのは、

 大島が戦闘部員第1隊の副リーダーを倒してここまでやってきた事だ。

 報告によると、腹部を強打した事による、気絶らしい。

 ぼーっとそんな事を考えながら歩いていると、電話が鳴る……

 「もしもし」

 「慶様!大島伸弘の情報を色々と得ました」

 諜報の奴からだった、取り合えず当たりだな。

 「そうか、良くやってくれたな。その情報は至急こちらに送ってくれ」

 「了解しました」

 そこで電話が切れる。

 確かに、ただ人を殴るだけの俺は、

 人を護衛をする大島あいつには勝てないだろう。

 ただ、情報なら……そんな俺の切り札になりかねない。

 俺は自分のこのやり方が好きだ。

 ずるいと思われたって別に構わない。

 いかに自分が楽を出来るか――だろう?

 そのために勝率を上げるなら、他人を調べるなんて当たり前だ。

 俺自身の情報はかなり限られているはずだし。

 そこでメールの受信とともに、俺は笑みをこぼした。




 あの時、私たちは食後に、皆よりも少し先にレストランを出た。

 青崎さんと池上さんも外に出るらしく、一緒に外に行く。

 それにしても皆、少し機嫌が悪い。

 伸弘は学園では珍しい転校生なので、

 ここぞとばかりにいろんな人と話していた。

 池上・青崎さんの所の従者と特に仲が良い様で私たちをそっちのけで、

 男と話しに花を咲かせている。

 まぁ……私たちが、紅葉旅館をみんなと宿泊するのは伸弘のためでもある。

 上手い事馴染めれば、と。

 そんな必要なかったかもしれない。

 しかし…伸は結構社交的なことに気が付いた。

 なんと言うか、人と接する境を知っているかのよう……

 深すぎず、浅すぎずというやつだ。

 ッチ……案の定伸達は私たちが外に出たことを気付いていない。

 そこで――――まるで、出たところを待ち構えていたかのように、

 何人かの男が現れ、青崎・池上のお嬢様は引っ張られてしまった。

 「待て!!」

 「待ちなさい!!」

 私と麻美は叫ぶが、男たちは軽々とお嬢様方をさらい車に乗せる。

 池上・青崎のお嬢様は、抵抗するが―――……

 「お嬢様!乗ってください!」

 きっと、青崎・池上のどちらかの車だろう。

 そう思って、その車に乗り込んだ――が違うかった。

 どこかで止まったと思えば、そこはわけの分からない路地裏。

 私と麻美は恐怖したが、男たちは私たちに何もしてこない。

 それどころか、何かを他のものに気をとられているような……

 「やめろ!」

 そこで、あのキザ男の長谷川と会った。

 「目を瞑っていて下さい」

 それだけ言うと、後は音が聞こえてくるだけ。

 「なんだ、てめえ?」

 「俺か? 俺はだな……――長谷川だ!」

 その会話ははっきりと聞こえた。

 「お嬢様!!」

 しばらくすると、伸の声が聞こえてそこで安堵したのを覚えている。

 ――あの男たちはどうしたのだろうか。

 クラスの誰かが、任せてくれといっていたけど……大丈夫だろうか

 「お…様? お嬢―――様? お嬢様ッ!!」

 「うんぉお?」

 変な声が出てしまう。

 パッと顔をあげると、目の前には和風の旅館が目に入ってきた。

 紅葉旅館に着いた様だ、取りあえず今日は楽しみとしよう。

 そう思い、今日あった嫌な出来事を脳から削除した。

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