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全速全身、戦闘も専属係の嗜みです。

 「お嬢が居ない!!」

 それは途中のレストランで昼食をとり終えたてだった。

 外に出ると、そんな声が聞こえてくる。

 同じクラスの池上というお嬢様がいなくなって居るらしい。

 「それは大変ですね…お嬢様? ……お嬢様?!」

 伸弘も辺りを見回す…居ない。

 ドキンと、心臓が高鳴る。

 (そういえば…声が聞こえない……)

 パニックなら無いように葵が指示を飛ばす。

 その指示は的確で、伸弘と何人かの護衛・専属係・執事が捜査に当たる事になった。

 『他の子は私たちに任せて!』

 それを聞いて、クラス総勢50名の中で

 池上・長瀬・橋田・青崎の4人のお嬢様が行方不明。

 大事には出来ないために、取り合えず一旦伸弘たちの捜査係が辺りを探す。

 するとそこに男たちが現れた。

 「ここから先は行かせられませんね」

 「おいおいおい…相手が悪いんじゃないか? オッサン!」

 1人の護衛係が噛み付く。

 「そうです…ねッ!!!」

 そういうと刹那―――蹴りが腹部に飛ぶ。

 だが、護衛係はそれを腕で受け止めていた。

 男たちは総勢3名。

 こちらは、護衛2人と執事1人と専属係2人の総勢5名。

 「1人先に行け!」

 1人の護衛係が言う。

 「「「「伸弘!!」」」」

 伸弘は呼ばれるがすぐに、走り出していた。




 「潤一郎様!」

 慌しく魔池流が理事長室に入ってくる。

 「慌てるな!」

 一喝!

 「…長谷川動き出しました」

 少し落ち着いたのか、魔池流は冷静さを取り戻したようだ。

 「なかなかに早いが想定内の範囲……他家には連絡済みじゃ」

 動いてくる事は殆ど確定している。

 相手が取れる限りの動きに対して、それなりにこちらも手を打っているのだ。

 その手の内にまず、クラスメイトの家に細かい事も連絡を入れる事。

 そして、紅葉旅館が相手にばれたのもこちらの誘導。

 こんな整った状況で、伸弘相手に噂など流せば明らかに怪しい。

 こういう世界は信頼が命だ、長谷川は社会的に死ぬだろう。

 恐らく相手もそれを想定して動いてくる。

 「佳織お嬢様、麻美お嬢様、青崎のお嬢様、池上のお嬢様の4名行方を眩ましたそうです」

 やはり……

 「場所の把握は既に出来ておる、長谷川の動きを確認したい。何かあれば護衛団をすぐに出せるようにはしてあ  る」

 すぐ近くに待機させてある。

 数もそこそこながら、質も半端ではない。

 「伸弘さんが、1人向かっているそうです」

 「やはり、足止めされたか?」

 こういう事態も想定済み。

 「4対3。数は優位ですが、相手はそれなりの経験者のようです。」

 「池上・青崎の者は負けんわ。」




 全力で走っているので、息が苦しい。

 だが直感だが、こちらの方に居る。

 こういう時の危険な直感は、事故以来外れることが無い。

 「ストップ!」

 若い男が、手を前にかざす。

 「邪魔だ!!!」

 伸弘は、焦っていた。

 もうすぐそこな気がするのだ…確かではないがこの勘は頼りになる。

 「邪魔すんのが俺の仕事!!」

 そう言い切ると、顔を狙って蹴りを繰り出してくる。

 これも全部長谷川の仕業か…でも何故お嬢様方は…。

 そんなことを考えてる場合じゃないのは分かっているのだが…。

 取り合えず、蹴りを腕を使って弾く。

(時間が無い…一撃で意識を持っていくしか……)

 止められると男は、

 スッと構えて蹴りやパンチを使い、間合いを詰めさせてくれない。

 何よりスピードが速いので、弾いたり避けたりするので精一杯だ。

 「ふッ!」

 胸を狙った拳を避けながら、相手の腕を右腕で捕らえて、

 勢いを使ってこちらに引っ張る。

 体勢を崩しかけたところで、素早く屈んで足を払う。

 「し…まっ…た!」

 倒れたところを…

 「時間が無い、許してくれ」

 鳩尾みぞおちを狙って、上から下にかかとを振り落とす。

 「――ぐあッ…」

 意識を遮断する。

 そこで携帯に連絡が入る。

 先ほど分かれた護衛や執事達からだった。

 大島・青崎の両お嬢様は見つかった。

 というわけで、こちらに至急援護しに来てくれるらしい。

 ただ、立ち止まる暇が無いので後ろから追ってもらう形となった。




 更に、走りながら

 集中して耳を澄ますと、遠くから声がわずかに聞こえる。

 「やめろ!」

 低くも無く、高くも無い、声からでも良い男と分かる声が。

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