表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/34

わくわく班決め!時々殺意!

「私が3-3組の担任の三島みしま けいです。」

そう挨拶したのは先程各務室で一緒だった、若い男性だった。

第一印象は制汗剤。

それほど爽やかな人なのだ。

「では、出席番号1番から順に自己紹介を。」

そう言って1番の荒井あらいさんに促す。

段々と順番が回り、麻美の番となる。

伸弘は、転入生なので最後に飛ばされている。

…ちょっと心配だった。

「長瀬麻美です。」

(うそーん!!)

それだけ、たった一言だけで座ってしまった。

それまでの皆、趣味だったり何かしら付け加えていたのだが、

麻美には通用しなかったらしい。

男子はざわざわと囁き合う。

「あの、守ってやりたくなる感じがいいよな!!」

……麻美の趣味はボクシングだぞ。

次は葵。

「新田葵です。高等部生徒会長をやらして貰ってます。興味あるのは伸弘君です。」

満面の笑みで、それだけ言って座る。

(おいおい、葵さん。絶対俺を困らすためにやってるだろ!)

男子の視線を感じる、

何これ?視線で人を殺せる勢いじゃないか。

2人ほど間を挟んで佳織の番。

「橋田佳織です。伸にちょっかい出すな!葵!!」

本当に俺を困らすためにやってるだろ!確信犯だろ!

と、伸弘は心の中で唸る。

(始めに自己紹介をさせてくれれば…くっそ!!)

そして最後に伸弘の番。

案の定、視線で体に穴が開きそうだ。

「改めまして、大島伸弘です。分からないことが多々ありますが、どうぞ宜しくお願いします!」

挨拶を終えても、冷え切った雰囲気。

(これが、凍てつく波動か!)

恐らく、違います。




「はいはい!注目!」

そこで三島先生が、皆の注目を集めた。

なんという、空気を読む力!

しかし、もっと始めにそれを発揮してくれと思う伸弘。

「来週から、さっそく花見宿泊祭があります。今から、各自3人以上の班を作ってください。」

学校は内部進学者だらけ、なのでこんな少ない人数から班を作る。

ちなみに花見宿泊祭とは各自、3泊4日で旅行をするという、金持ちならではの発想。

どこに行こうが自由。

ただし、花見に行った場所を4ヶ所以上写真撮影して、詳細をレポートすること。

たったこれだけの話。

…ブルジョワが!

皆それぞれで、動き出す。

ちらっとあたりを見渡すと、葵と麻美、佳織は3人で話している。

「のぉーぶぅーひーろーくぅぅーん!」

低いドスの利いた声が、俺を呼ぶ。

「血の裁判所へようこそ!」

更に複数の男が、俺を呼んだ。

「「「「いい思いをする奴は……消す。」」」」

消す、と言った部分。

妙に気持ちがこもっていたように感じたのは、気のせいとしよう。

結局なんだかんだで、しばらくどんな感じか話を聞かれて、

キャラメルクラッチをされただけ。

男子はノリが良い様に感じた。


良い思いをしたら――――殺される!!!!




「伸弘君!」

今度は高くて、綺麗な声。

あぁ…本当に癒される、うん。……本当に。

「あ、はい!」

この時点で複数の男子は消えていった。

不を悟った様子だ。

「取り込み中だった?」

ゴメンと、手を合わせながら聞いてくる。

「いえ、少し殺されそうになっただけですから!」

「何か、色々と吹っ切れてない?」

誰のせいで、ここまでエスカレートしたのか、この人には分からせるべきだろう。

「いえ、葵さんのせいですから!」

「……あ、伸弘君見て!UFO!」

窓を指差す葵、そんなわけ無い。

しばらく話をしていると、佳織と麻美もやってきた。

顔はどこか戦場に行くような顔をしていた。

「は、話がある!」

何故か、佳織の声は、少し裏返っていた。

「どうかしまたしたか?」

にやっと笑った葵は、麻美の背中をとんっと押す。

前に押された麻美は、伸弘に寄りかかった形になる。

さらに。伸弘は麻美の顔を覗きこむといった、

デリカシーのかけらも持ち合わせていない行動により恥かしくて混乱する。

――――顔の距離が近い!

「あの……その……まだ決まってないなら、一緒に班を組みませんか?」

凄く…もじもじしている、麻美。

(これは……可愛いぞ!!)

「はい!!俺は専属係ですからいつでもお供します!」

そして、班員は伸弘と佳織と麻美と葵。

(何か、俺役得!?)




「伸弘!コロス!」

「伸弘!関節外す!」

いや、男の嫉妬は醜いと、聞こえてきた言葉を確認しながら伸弘は思う。



ちなみに、この日は班を決めた人から家に帰れたので、

伸弘と佳織と麻美は帰宅した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ