予兆
2人の少女は伸弘の腕の中でもぞもぞと動く。
「ここは……三途の川……って、私は生きてるのか?」
そう言った少女、
外見は髪の色はこげ茶色。
ふわっとしたパーマをポーニーテールにしている。
色は白く、身長も高いように見える。
そして、
「きゃッ…ごめんなさい」
もう1人、異国の子であろうか?
金色の髪を大きく可愛らしいリボンで留めている。
同じく色は白く、
身長はポニーテールの子よりも低く感じるが、低すぎるわけではなさそうだ。
2人とも体をパタパタと払って、手を取って立ち上がる。
「いや、こちらこそ出過ぎた真似をしたな……。2人とも怪我はしてないか?」
伸弘はペコッと頭を下げる。
「怪我はしていないよ。って…何を言ってるんだ?君のお陰で私たちは助かったんだよ!」
ポニーテルの子は伸弘の手を取ってブンブンと振り回す。
……少し腕が痛い。
「はい、大丈夫です。どうもありがとうございました」
金髪の子は言葉こそ少ないが、
きちんと感謝の気持ちが伝わってくる。
それを聞いて、伸弘は満足そうに頷く。
「じゃあ、俺はこれで! 車にはくれぐれ気を付けてくれよ!」
そう言って立ち去ろうとするが、両腕の袖を2人に掴まれる。
ポニーテールの子は金髪の子を見ながら、
「待ってくれ! 礼として何か私たちにさせて欲しい」
「いやいや、俺そんなたいしたことは、全然してないし……」
伸弘はそう言うと、再び去ろうとする。
「待って…お願いします」
金髪の子が90度程に頭を下げる。
伸弘も、ここまでされれば、
さすがに振り解いて帰る事は出来ない。
「じゃあ、話だけでも…」
結局押し切られて、話を聞く事になった。
すると、ポニーテールの子は伸弘の言葉を聞くと、どこかに連絡しはじめた。
「私と麻美の命の恩人が出来た。いますぐ、車をここに飛ばしてくれ。
…あぁ、ダッシュだ。橋田家と長瀬家の総力をかけて恩返しをする」
話を聞くだけなのに、
そんな話が聞こえる伸弘はとても不安になった。
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