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赤面のプリンセス

そう紹介された伸弘は堂々とステージ上に立つ。

ざわざわと、体育館が騒音に包まれる。

「じゃ、挨拶してね。伸弘君!」

ウインクしながら、葵は伸弘にマイクを渡した。

『伸弘君……だと?』

『くそったれがぁああああああああああ!』

『うぁぁjkfじゃ@を!』

専属係きゃんめん……だと?』

(あぁ…耳が良いって不便だな。それにしても男の嫉妬も恐ろしいな。)

ちなみに目も鼻も何もかもが、

常人よりは優れているので誰が何を言っているのか、よく分かる。

いい事も悪い事も聞こえない、鈍感主人公のようにはいかないのだ。

「分かりました、葵さん。」

ウッホンと、咳払いをして、マイクを手に取る。

辺りを見回すと、麻美と佳織の2人と目が合う。

すると、手を少しだけ上にあげてガッツポーズをこちらにしてくれた。

なんだか、少し緊張がほぐれた気がした。

これはもう…


―――やるしかない。




「伸はいつ葵と仲良くなったんだ?しかも、下の名前で呼んでるし。」

少し不満げに佳織は言う。

葵は数少ない、幼等部からの麻美と佳織の友達だ。

「佳織、珍しく嫉妬ですか?」

麻美は、佳織の少しの表情の変化も見逃さない。

それが、長年一緒に過ごしている証。

「そういう麻美こそ、手!」

そう、それは佳織も同じ。

「麻美が手を気にしてる時は、不満があるときだ。」

にゃっと笑う、相変わらずこの顔が良く似合う。

「それは…だって…あの……葵と伸が…。」

「よく分からないが、少し胸の辺りが、もぞもぞする感じだろ?」

コクリと頷く麻美、

すると、伸弘が少し辺りを窺っているのが2人とも分かった。

ふっと目が合う、2人は自然と伸弘に向けてガッツポーズを送っていた。

「「頑張れ(って)」」




にこっと伸弘が笑う。

「長橋学園の皆様、おはようございます。ご紹介にあずかりました、大島伸弘です。」

なんだか、自然と言葉が口から溢れる。

「今、私はご存知プリンセスこと、佳織様と麻美様の専属係きゃんめんをやらせて頂いております。」

佳織と麻美とまた目が合う。

「精一杯、この学園での生活を楽しませてもらうつもりです。」

こういうことは、苦手なはずなのに…。

「皆様、大事なお嬢様共々、これから宜しくお願いします。」

ぺこりとお辞儀する。

自然と拍手が体育館を包んだ。

ドキドキしている心臓を、右手で押さえてふぅと息を吐く。

終えると、再び体育館の隅に待機させらた。

ハッと気付けば、解散となっていて各自新しい教室に向かっている。




「お疲れ!」

「お疲れ様でした。」

佳織と麻美だ。

「2人とものお陰で緊張が解けた、ありがとう。」

改めて礼を言う。

「やはり、敬語よりそっちのほうが良いな。」

「3人だけの時はそうして下さいね?」

そういって、麻美と佳織は伸弘を挟んで歩き出す。

「それにしても、あの人数の前で大胆だぞ!」

佳織に言われる。

「ええ…あんな大勢の前で大事…だなんて。」

麻美も伸弘をいじるために、追い討ちをかける。

「本当の事だからな。」

そんな2人の意図を知ってか、反撃する伸弘。

シュッボン!と麻美と佳織の顔が赤面した。

「私のことも大事にしてね?」

声のほうを振り返ると、葵が伸弘の肩を小突く。

「葵!」

「葵!!」

その後は、3人で色々と言い合いをしていた。

珍しく、2人が他人と絡んでいるのを見て、

少し嬉しくなった伸弘であった。

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