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4 星霊可愛いじゃん


ゆっくりと、花びらのような淡い光が舞い落ちてくる。


「……綺麗」


私のつぶやきに答えるように、光の粒がひとつにまとまり、淡い花の香りが漂った。


その中心で、小さな影がふわっと浮かび上がる。


ひらり。


薄い蝶の羽をきらきら光らせて、

手のひらほどの小さな子がゆっくりと降りてきた。


《花の精霊 フローラ を召喚しました》


名前(ネームド)ついてる……。

名前ついたモンスターって希少じゃなかったっけ?

あっ、モンスターじゃなくて星霊か。


フローラの髪は淡いピンク色で、花びらのように揺れる。

瞳は宝石みたいに澄んだ緑色。

体は小さくて、風が吹いたら飛んでいきそうなほど軽やか。


「りぃ?」


鈴を転がしたような声が響いた。


……可愛い。


思っていた以上に。


光が足元に集まり、その子はそっと私の前に降り立つと、小さく会釈してきた。


『星霊との親密度を上げるため、名前を呼んでみましょう』

「フローラ」

「りぃ!」


パタパタと私に近づくと私の周りをクルクルと飛び回る。

元気だなこの子。


『星霊と簡単なコミュニケーションを行ってください』


コミュニケーション???

とりあえず自己紹介でもするか。


「私はマリよ、好きなことはコツコツできる作業。最近興味あるのはこの世界、好きな食べ物はビーフシチュー」

「りぃ」


うんうんと腕を組んで頷いている。


『星霊と触れ合いましょう』


なんか動物みたいだな。

とりあえず手だと大きいから指でいいかな?


「よろしくね」


指をフローラの前に出すと、両手でにぎにぎ触ってくれた。

これはよろしくでいいのかな?


『仲良くなりましょう』


急にアバウトだな。

えーー、どうしよう。


小さい子でも遊べて簡単なやつ……。


「あっち向いてホイでもやる?」

「りぃ!」


頭をぶんぶん縦に振っている。

あっち向いてホイ知ってるんだ……。


「じゃあ私からやるね」


じゃんけん知ってるか知らないし……。

フローラは首をぐるぐる回してやる気十分だ。

あっち向いてホイだよ?そこまで気合い入れなくても。


「あっち向いてーーーホイ!」

「りっ!」


あ、外した。

フローラは汗を拭う仕草をしている。

ナンダコレ。


「次は貴方ね」

「りっ!」


手を絡めて祈りのポーズを取っている。


あっち向いてホイに全力出してる子初めてみた。

そこまでしなくても気軽に行こうよ。


あ、戻ってきた。


私に指を向けてるし、準備okってことかな?


「りっりりっりーーーりっ!」

「ホイ」


あ、負けた。


「りぃー!」


私の周りをクルクル回っている。

喜びが爆発してる感じ。

よかったねー。


《星霊 フローラ との契約を行いますか?》


「はい」


私がそう言うと、フローラの体が柔らかい光に包まれた。

花びらがひらひら舞い、指輪が淡く輝く。


『契約完了。※星霊の実体化は地上環境で行われます。現在の星霊は契約用の仮想投影です』


光が収まると、フローラは名残惜しそうに私を見上げ。


「りぃ……」


と小さく鳴いて、光の粒となって消えていった。


街でまた会おうね。

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