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星霊とまったり旅するアストレリア  作者: はちみつレモン


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43/61

42 結局私、何もしてない


ブルースライムキングが光の粒になって弾けると、

まるで緊張が一気に溶けたように静かな川辺が戻ってきた。


「……終わった、よね?」


「りぃーー!!」


フローラは勝利の舞いみたいに私の周りをぐるぐる飛んでいて、

カゲマルはカメラウィンドウを閉じたり開いたり、大興奮している。


「すげぇっす……!ジーク様、殿下……最強コンビっす……!!」


あの人、撮影しながらしっかり戦ってたの本当に意味わかんない。

忍者目指してるだけはあるのかな……?


そんなことを思っていると、

突然――ウィンドウがぽんっと現れた。


──────────

《討伐報酬を獲得しました》

・ブルースライムキングの核 ×1

・ブルースライムの粘体 ×5

・初級経験珠(中)×1

・所持金 +250G

──────────


「おお……結構もらえた!」


核を触ろうとして、フローラがぴょこんと降りてきた。


「りっ!!」

「だめ。割れるから」

「り……ぃぃ……」


そこに、キースが近づいてくる。


「核は高値で売れる。扱いには気をつけろ」

「りぃ!」


急に姿勢正すじゃん。


すると、私の身体がふわっと軽くなったような感覚がした。


光が足元から立ち上り、身体全体を包み込む。


──────────

《レベルアップ!》

マリ Lv 2 → Lv 3

・ステータス上昇

・星霊術 熟練度+1

・フローラ信頼度+小

──────────


「えっ、上がった……」

「りぃ!!!」


フローラは歓声みたいな鳴き声を上げて喜んでいる。


でも、私はちょっと複雑だった。


「……え、あれだけ何もしてないのにレベル上がっちゃったの……?」


ジークが優しい声で笑った。


「パーティーの経験値ですから。役割は役割ですよ」

「後衛職が前に出られても困る。妥当だ」


キースがそれ言う?


そのときだった。


「うおおおお……っ!!

マリさんのレベルアップ光――めちゃくちゃ綺麗に撮れてたっす!!!」


カゲマルがカメラウィンドウを掲げて大興奮している。


「別にここ撮らなくても良くない?」

「推しのレベルアップは記録しないと……!」

「いや私は推しじゃないでしょ?」

「自分はジーク様推しっすけどマリさん推しの為っす!」

「あ、そう」


どうでもいいし、疲れた。


***


少し落ち着いたところで、

キースがジークに声をかけた。


「……ジーク」

「はい」

「水場での戦いだが、お前は踏み込みで水を蹴りすぎだ。足元の抵抗が大きくなる。もっと浮かせて走れ」


ジークがはっとしたように息を飲む。


「……確かに、踏み込みが重かったです」

「それと――攻撃が直線的すぎる。水の反射で位置が読まれやすい。変化をつけろ」

「……っ。肝に銘じます」


キースは淡々と言うだけなのに、

ジークはどこか嬉しそうに背筋を伸ばしていた。


ほんと、兄弟なんだなぁって思う。


***


「さて、次の行動だが――」


キースが周囲を見渡して言う。


「次はカフレアに向かう。このペースなら日が暮れる前には着くだろう」


ジークが頷く。


「マリさん、歩けそうですか?」

「うん、大丈夫」


フローラが勢いよく飛び跳ねる。


「りぃーー!!」


カゲマルはウィンドウを閉じて、


「自分、編集しながらついていくっす!」

「器用だね?」

「マルチタスクは得意っす!」


ともあれ、討伐報酬ももらえたし、レベルも上がった。


冒険の準備は整ってきた気がする。


「じゃ、行こうか」


草原の風が心地よく吹き抜けていく。


…次は、どんな景色が見られるんだろう。

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