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星霊とまったり旅するアストレリア  作者: はちみつレモン


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39/62

38 運営1


アストレリア・オンライン運営本部――

今日も相変わらず地獄だった。


「バグ報告また増えてるぞー!誰だ、これ担当できるやつ!」

「問い合わせ、昨日の三倍になったんだけど!?」

「サーバー負荷グラフが跳ねてる!誰か見て!!」


あちこちで椅子が軋み、社員のため息が連鎖する。


(……しんど……)


心の声が漏れそうなほど、全員が限界だった。


そんな中、突然、社内チャットに通知が飛ぶ。


《共有:とりあえず見て。疲れ吹き飛ぶから》


添付されたのは一本の動画。


……今忙しいんだけどな……。


ぼやきつつも、好奇心が勝ち、動画を再生する。


画面に映ったのは――

ネリス村外れの小川で向かい合う“美形兄弟”の姿。


……あれ?この二人って……噂の……?


再生が進むと、空気が変わった。


キースの静かな構え、ジークの緊張を含んだ息づかい。

金属音、水しぶき、木々の揺れる音。


そして――

動画の中、キースが眉を寄せて不機嫌そうに視線を逸らす。


そのワンシーンで――


「ひっ……尊い……」

「殿下……なんで不機嫌でも絵になるんだ……」


さっきまで心が死んでいた社員たちの目が、一斉に輝き始めた。


その瞬間。


容赦ないキースの一撃でジークが腹を押さえ膝をつくシーン。


「きゃっ……!!」

女性社員が小さく悲鳴を上げた。


「え、え、今の……えぐ……かっこよ……」


別の女性社員は椅子からずるっと滑り落ちる。


男性社員は眉をしかめ、画面に顔を寄せる。


「動きが速すぎて追えねぇ……」

「これ実装してない派生モーションじゃないか?」

「いや、リアルスキルでシステム補完されてるな……こえぇ……」


動画が終わる頃には、運営フロアの空気が明らかに明るくなっていた。


「これ……すごくないか……?」

「久々にテンション上がったわ……」


まるで社内の疲労が一撃で浄化されたかのようだった。


誰かがぽつりと言った。


「……これ、PVに使えそうじゃない?」


その瞬間。


「編集班!!この動画素材にPV作れ!!すぐ準備しろ!!」

「広報!法務に権利確認急げ!!」

「音響!効果音つけられるか!?」


上司の怒涛の指示とともに運営フロアが再び活気づく。


だが今の活気は――

さっきまでの“疲れた悲鳴”ではない。


完全に“楽しい悲鳴”だった。


こうして、真剣勝負の動画は運営本部を救い、

新たな企画を生み出し、

今日一日の士気を回復させたのだった。

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