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星霊とまったり旅するアストレリア  作者: はちみつレモン


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24/61

23 ……え?終わったんだけど?


エノラ草原の奥――風が急にひんやりした。


草の揺れ方も、光の色も、さっきまでと違う。


「……ここがフィールドボスエリアか」


ジークが静かに周囲を見渡す。


「マリ、フローラ。ここから先は気を抜くな」


「わ、分かってる」


フローラは緊張しているのか、私の肩の横で羽を小さく震わせていた。


「り……」


でも、怖いというより“警戒”って感じだ。


キースは前に立ち、細い目で草原を観察していた。


「……来るぞ。あれだ」


彼の視線の先――草の海がざわりと逆流するように盛り上がり、小さな地震のような振動が足元へ伝わる。


次の瞬間。


ドンッ!!


巨大な鹿のような影が草を突き破り、跳ね上がった。


全身が草色。

角は枝葉のように広がり、目だけが妖しく光っている。


《草影のケルプホーン》


「でか……!」


「りぃ!!」


フローラは怯えるどころか、なぜか気合い十分に腕を振っている。

いや、勝てる気でいるのすごいな……。


そしてケルプホーンが地面を蹴った。


ダーッ!!


音速みたいな速度でこちらへ突っ込んでくる。


「くるぞ!」


ジークが一歩前に出て、キースも剣を構え――いや、え?剣?


「ちょっと待って、なんでメイジが剣持ってんの?」


キースが涼しい顔で言う。


「システムに“現実の戦闘経験を反映する”とあった。問題ない」


いや、問題しかないわよ。

メイジって杖でしょ???


と思う間もなく――


ヒュッ。


ジークの体が一瞬揺れたと思った次の瞬間、

ケルプホーンの角が彼の横を空振りしていた。


「え、避けたの……?」


キースが淡々と続ける。


「左後脚に重心が移った。次は上へ跳ぶぞ」

「はいっ!」


私とフローラはぽかーーんと、呆然。

置いて行かれている。


ケルプホーンは高く跳び、角を振り下ろす。


その瞬間、キースが剣を半回転させ、

刃で角の軸を軽く叩く。


カンッ!


「っ!?」


ただの一撃なのに、ケルプホーンの体勢が崩れた。


ジークがすかさず踏み込み、

首元へ水平に剣を走らせる。


スッ――。


次の瞬間、ケルプホーンの体が光に還っていった。


……え?


「「……」」


え、ちょっと待って?

今の何?


早すぎて理解が追いつかないんだけど??


「……終わったぞ」


キースが剣についた光の粒を払って言う。


ジークは控えめに笑った。


「マリさんとフローラがいたので、思ったより楽でした」


何が?

私とフローラは見てただけだけど???


私は思わず地面に座り込んだ。


「……えぇ……?なんか……私いらなかった……?」


キースが淡々とフォローになってないフォローをしてくる。


「当然だ。初戦闘がボス戦では無理がある」


「そうですね。次は雑魚から始めましょう」


なんでこの人たち、慰めのセンスが壊滅的なの……?


そんな混乱してる私の前に、ウィンドウがふわっと現れた。


──────────────

《討伐報酬を獲得しました》

★草影のケルプホーンの角 ×1

★草影の柔毛 ×3

★初級経験珠(小) ×2

★所持金 +150G

──────────────


続けて光が身体を包む。


──────────────

《経験値を獲得しました》

★マリ Lv 1 → Lv 2

★フローラ 信頼度+小

★星霊術 熟練度+1

──────────────


「……レベル、上がった……嬉しくない」

「りぃ……」


ほぼ何もしてないのにレベル上がるの、なんか申し訳ない……


「パーティー経験値だ。気にするな」


「初ボス討伐でレベルアップは普通ですよ」


キースとジークが普通の顔で言ってくる。


はぁぁぁぁーーーー。

もういいや、先に進も。


こうして、私の初めてのボス戦は――


圧倒的兄弟無双で終わった。


次こそは……何かしたい……。

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