選択1-4
今日はお泊まり...か。そういえば、俺は友達いなかったし、した事ないんだよなぁ...緊張するな...何持っていけばいいんだろ。てか、本当に警戒心薄いなぁ...部屋の番号も事前に教えるとか...まぁ...あの人世界最強専属回復術師?とか言ってたし、もしかしなくても強いんだろうな。...って、回復術師が攻撃する事なんて出来るのか?...いや、少なくとも回復しまくれば、死ぬことは無いか。てかいいなぁ...異世界?に来てから、俺TUEEEE系でも、モテモテハーレムって感じでもなく、俺よりも優秀でモテモテそうなスクリズと、スクリズにゾッコンのセリヌと旅していたのに、世界最強の専属回復術師とか、主人公補正増し増しそうじゃん。てか、本当に関わって大丈夫な人なのかな...?
「あぁ〜...なんか緊張しすぎて、疲れたな。」
そう呟いた後、ため息をつきながらベッドに寝っ転がる
「暇だなぁ...」
ふとそう思い、ベッドから起き上がり、窓から外を見渡す。そこで、シスターのような服装をしている女性がいた
「?あれは...?」
興味本位で、部屋の外へとすぐさま駆け出し、シスターへと喋りかける
「あ、あの!もしかして、シスターですか...?」
そう後ろから喋りかけると
「ふえぇぇえ?!」
と後ろを振り向きながら、シスター服の女性が驚いたような声を出す
「そ、そうですけどぉ...ど、どうかなされました...?」
と、シスターはモジモジしながら、一菜にそう問いかける
「あ、え、いや、その...」
...言えない。物珍しさに、喋りかけてしまったと...全く、どうしよう...てか、以外と子供っぽい...?
「え、えっとー...あの、し、シスターって、どのようなお仕事をされているのかなって...気になっていて...それで...話を聞きたくて...?」
そう言うと、笑顔を見せて言った
「ふ、ふふふ、あらあら...いえ。あまり笑える状況では無いのですが...面白い方ですね...いいですよ。それでは...あ、そうだった...私、今無一文で...だから...申し訳ないんですけど...やっぱりなしでもよろしいですか...?」
と、申し訳なさそうな顔をしながら立ち去ろうとするシスターの手を引く
「ひゃっ...えと...」
シスターは、驚いた様な表情をしながら後ろを振り向き、強めの口調で言った
「は、話してください...!」
さっきまでの気弱そうな話し声からは考えられないような強い口調に驚きつつ、一菜は手を離す
「ご、ごめんなさい...つい...」
シスターはそれを見て、少し顔を顰めながら手招きしながら言う
「...少し、着いてきてください」
...なにか、まずいことしたかな?
そんなことを思いながらついて行く。着いていくとそこは、古びた廃屋の中だった。
「...あなた、自分が何したか分かっていますか?」
不機嫌そうにシスターは言う
「え、えっと...すみません、あまりよく分かっていないというか...なにかしてしまったんですか...僕は...」
呆れた顔でシスターは言う
「今は...シスターじゃないですけど、シスターは、基本的に男性との接触は禁止なんです。触っていいのは、女性と、シスターが心に決めた男性のみなんですよ!なので、シスターに許可なく男性が触れるなんて...訴えたら、法で即刻死刑になるくらいの重罪です。」
...俺、とんでもないことしてるじゃねえか...!
「ご、ごめんなさい。そんなことも知らずに...そんなつもりは無かったので...ただ、一文無しっていうのが気になって...」
シスターは一菜を睨む
「知らなかった...?知らなかったって...そんなわけなくないですか?だって、この世界で重要な十五の法の1つですよ...?全世界共通の...」
そう言いながら、まじまじと一菜の顔や髪、全身などを見る内に、何かを察したように呟き始める
「え、嘘、まさか...いや...え...まさか...異世界出身者...ですか?」
頭を掻きながら、一菜は答える
「あ、あぁ...はい。そうです...本当に、ごめんなさい...」
気まずい時間が流れる。両者とも沈黙している。そんな中、一菜は口を開く
「...あの、無一文なんでしたら、僕の部屋に泊まります?今日泊まりの用事が出来て、そっちで寝ようと思ってるんですけど...」
シスターは小さく首を縦に振り、宿へと向かった。向かっている最中、シスターは小声で一菜に聞く
「こっち側の宿って高い宿ばっかりじゃ...お金、大丈夫なんですか...?」
「も、勿論。心配は...あ、その、洗われていないベッドって使用して大丈夫なんですか...?その、僕ちょっと寝っ転がっちゃったんですけど...」
そう聞くと、シスターは苦笑しながら一菜の方を向いて言った
「流石に大丈夫ですよ...物理的な接触に制限は設けられていますが、間接的な接触に関してはそこまで厳密では無いので...」
「そ、それなら...」
そんなこんなで宿の前へと到着していた。