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目が覚めると異世界でした。  作者: むしのこ
オナワツナガリ
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選択1-1

セリヌは、助けに来たという言葉に反応し、かすかに目を開く。そこには、スクリズの姿があった。スクリズは足早にセリヌの元へと向かい、口の縄を切る


「スク...リズぅ...」


と、涙目になりながら泣きそうな声でそう言う


「あぁ、俺が来た。もう大丈夫だ。馬車を用意してある...はずだから、すぐにここから逃げるぞ。ここにいると危険だ。」


全ての縄を切り、セリヌをおぶってその場から全速力でスクリズは走る


「でも、なんでここにいるって分かったの?そしてなんでこの街から逃げるの?」


「それは...」


〜爆発の後〜


スクリズは、風に吹かれている感覚で目を覚ます。自分を背負い、テッカを抱っこしている人間がのっそりと屋敷の方面に移動していた


「こ...こは...?」


そうスクリズが言うと、おぶっている人間が顔を振り向かせる。おぶっていたのは一菜だった


「もう大丈夫そうなら下ろしても平気ですか?...その...このままだと移動が全然出来なくて...」


そう言われて、スクリズは背中からゆっくりと下りる


「おっと、」


スクリズは、ふらつき地面に倒れ込んでしまう


「スクリズ...大丈夫?」


そう一菜が聞くとすぐさま立ち、軽く手で土を払う


「あぁ、大丈夫だ。それよりここから逃げよう。このままでは危険だ。別の場所へ...」


スクリズはそう言いながら屋敷とは反対方面へと歩き出す。一菜は立ち止まる。そして、その言葉を遮りこう言う


「でも...セリヌさんがまだいない...セリヌさんを見つけてから行こう。」


スクリズはその言葉を聞き、一菜の方へと向かい、両肩に手を置く。困惑と憤慨の混じりあった声を荒らげる


「一菜...正気か?もう一刻の猶予も無い!俺らがまたこの街であいつらと出くわしたら終わりだ!それに...セリヌの居場所は?屋敷にはいたのか?」


そう言うと一菜は屋敷へと歩き出す


「テッカ君が起きる、静かにしてください...今から見に行くところです。セリヌさんの行く部屋の心当たりはスクリズが1番知っているでしょ?」


そのまま、一菜は1階の自身の泊めてもらっていた寝室へと行き、テッカを寝かせた後、一菜は言った


「ひとまず、この屋敷を探索しよう。大体部屋を見回ったらここに集合。」


それから、2人は20分程かけて屋敷を探す。両者とも部屋を見回ったが、どこにもセリヌは見当たらなかった。スクリズが部屋へと入り、テッカの寝ているベッドへ座る一菜を見るやいなや、スクリズは言った


「おい、やっぱりいないぞ。さっさとここから逃げ出そう。一菜。」


しかし、一菜は微動だにせず切り出す


「...なんで、スクリズはそんなに焦ってるんだ...?死にたくないからか?別にセリヌを助け出せばいいだけだ。」


一菜の元へと歩き出し、胸ぐらを掴む


「ふざけるなよ!一菜だけでもいいから逃がそうっていう俺の魂胆を、なんで理解できないんだ?!」


そう言って胸ぐらから手を離す。一菜は少し驚くような表情をした後、俯いてしまう


「第一...セリヌがどこにいるのかも分かってないのにそんなのは無謀すぎる...」


スクリズはそう言って涙を流し始める。一菜は呟く


「そうだな...俺にセリヌさんの場所が分かれば...いや、分かるかも知れない...」


しかし、スクリズは扉へと向かいながら言った


「さっさとこの部屋から出て逃げるぞ。」


一菜は冷静にスクリズに向かって言う


「分かったらお前が行ってくれ...俺じゃ無理だ」


しかし、一菜の言葉を無視してスクリズは言う


「そんな所で俯いて座ってんな!早く来い!...」


数秒の沈黙が続く


「...スクリズ、お前にとって、セリヌは大事な人か?それとも、大事じゃないか?」


そう言われて少しの間黙ってしまう


「...大事だ。めっちゃ大事だ。ずっと、幼い頃からずっと...でも、お前を助け出すのが最優先なんだ。それは、絶対だ。」



「...なんでだ?」


「それは...この国のルールで...異世界転生者は何がなんでも死なせてはならない。...それがこの国の...」


一菜は立ち上がった


「それなら、俺は異世界転生者じゃない。この世界で生まれたイチナだ。俺が死んでもどうってことない。そういう事だろ?この街の住人も、お前の幼馴染も、お前の家族も友人も、俺も。皆を見捨てるのか?異世界転生者で、よく知らない一菜って人間だけのために。」


スクリズは膝から崩れ落ちて、号泣する


「それは...でも、お前は異世界転生者だ。死んだら...」


ゆっくりとスクリズの元へと一菜は歩き出し、肩に手を置く


「それは、俺を殺した奴らのせいだ。それに...俺は誰かに殺される気なんてない。死ぬべき時に死ぬか、死にたくなったら死ぬ。それだけだ。...お前のお守りなんて要らねえんだよ!このボンボンが!」


スクリズは一菜へ顔を向ける。一菜は笑顔でスクリズに対して言った


「俺が移動手段を確保する。この街に1週間も滞在すれば、どうやって確保するのかくらいは馬鹿な俺でも分かる。だから...お前はセリヌさんを見つけ出してくれ...」


スクリズは涙を服の裾で拭きながら立ち上がる


「ああ...必ず...ところで、セリヌの居場所は...?」


そう言われ、一菜は困ったような顔をした後に、目を瞑る


「精神異常...それがもし...テッカの父親が使ったのが...そうだとしたら...」


その時、朧げではあるが位置が脳内に浮かぶ


「街で2番目に大きい家...の...地下...か?」

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