描かれるキャンパス
「えっと...技術提供を出来るほど頭も良くないし...それに、転生なんて言っても心当たりが...」
そう言いながら、昨日した事を思い出してみる。
〜昨日〜
...教室は騒がしい。そう思いながら、机に突っ伏して一菜は寝ていた。
「それじゃあ、気を付けて帰るように」
教壇にいる先生はそう言い、教室はガヤガヤし始める
「ねね、今日カラオケ行こ〜」
「いいね、いこいこ〜」
と、女生徒達は会話をする
「お前昨日のあれ見た?やばくね?」
「それな!あれめっちゃやばかったよな!」
と、チャラそうな男達は会話をしている
「昨日のアニメ見た?」
「あぁ、見たよ」
と、大人しそうな男子生徒達は会話をしている
一菜は誰とも話さず、しばらく時間が経った後に帰路へと着いた。しばらくゲームをし、宿題をして、ご飯を食べて、お風呂に入って、歯を磨いて、ベッドへ入る
「寝るか。」
〜今〜
「って感じなので...はい。何もないです。」
「あー、そうか...それは、確かに原因は分かんないな...ごめん...」
少し、いや、かなり気まずい空気が流れる
「そ、そうだ、セリヌのいる部屋へと行こうか。」
そして、2階のセリヌのいる部屋へと向かう
「あ、スクリズと一菜さん!話はもう終わった?」
椅子から立ち上がり、セリヌはそう言う
「おう、もう終わったよ。ところで、今セリヌは何をしてたんだ?」
セリヌにスクリズはそう問いかける
「え〜っとね...積み木とか、絵本読んだりとか、ベッドジャンプしたりとか?」
子供かよ...一菜はそう思いながらも心の中で呟く。まあ、そんな事言ったらどうなるか分からな...
「おい、何だよそれ子供かよ」
腹を抱えて笑いながら、スクリズはセリヌにそう言う。セリヌは、頬を膨らませ、少し怒り気味に
「もう、別にいいじゃない!子供なんだし!」
と言って、そっぽを向いてしまう
「不機嫌にさせちゃったみたいだ。さてさて、それじゃあ今日は何をしようか。」
...それから、1週間ほどの時間が経った。
この世界について、分かったことは二つ。まずは文字が違う。異世界だし、まあそれはそうか。それともう1つ、セリヌは...スクリズに好意を抱いているということ。まあ、別に知らなくても良かったことなんだが。
「一菜さーん!ご飯出来ましたよー!」
セリヌは屋敷の窓から、一菜に対して大声で言う
「分かった、今行く。」
スクリズは、この街の長の子供らしい。この街の名前はミリウス。スクリズは、ミリウスが姓らしい。
ミリウス・スクリズ。この辺でも大きな街で、発言権がスクリズにもあるくらいには凄いやつだった。
食事中、スクリズが一菜に向かって言う
「そろそろ、この世界にも慣れてきた頃かい?」
早く答えなければと、口の中に含んでいた物を飲み込もうとして、むせてしまう
「別に大丈夫だよ。ゆっくり食べて答えてくれればいい」
セリヌはコップに水を入れ、一菜に手渡す。それを一菜は飲み、軽く咳払いをする
「ありがとう、セリヌさん。この世界にも慣れてきたかも。それも、スクリズさんとこの街の方々のおかげだ。ありがとう。」
そう言うと、少し照れくさそうに笑いながらスクリズは言う
「あぁ、いや、全然僕は何もしていないよ。...それと、さん付けをそろそろやめてくれないか?違和感が凄いんだ...」
スクリズがそう言うと、セリヌが立ち上がる
「私も!さん付けとかされることないから...ちょっと変な感じがしてて...」
「そ、そっか...それなら、お言葉に甘えて、外させてもらうよ...頑張って...」
そう言って、また皆は食事を食べ始める。食事も終わり、3人で街の外へと出かける。
「でも、スクリズだってあの時...」
「それはしょうがないだろ、お前だってな...」
と、何やら仲良さげに言い合いをしているのを後ろから一菜は眺めている。
「「どっちが悪いと思う?」」
なんて、息ぴったりで言われても
「まあどっちもどっちじゃないか?ほら、そんなしょうもないことやってないで早く行くぞ〜」
と、返す以外の選択肢が見当たらない。それから歩き、子供が沢山いる広場にいた
「お前ら2人で行ってきてくれ。俺はここで休憩する。」
「うん!分かった!」
と、セリヌは言って目的地へと走り出す
「なんか、気を遣わせてしまったなら申し訳なかったね。それじゃ、行ってくるよ。」
セリヌを追いかけるように、小走りでスクリズは目的地へと向かう。
...あと、分かったことがそういえばもう1つ。
物体は無理だが、魔法や加護を複製?できる。あれは2日前...
「嘘を見抜けるって、スクリズさんの加護ってめちゃくちゃ便利ですよね。」
と、セリヌとスクリズのいる部屋で座りながら言った
「そうかな?意外と、知りたくない嘘とかもしれちゃって、僕は少し嫌いなんだよね。」
スクリズは難しそうな本を読みながら、そう答える
「私も欲しーい!これ読めば貰えたりするかな?」
そう言ってセリヌは、スクリズの隣へと行き本を読む。
...欲しいな...嘘を見抜くことが出来れば、どれほど生きる上で役に立つか...
そんな事をふと思った時、何か脳内に、描かれ始める。白いキャンパスに、なにか別の色が混じったかのような、そんな...いや、まさか...
それから、俺は「真実の加護」を手に入れていた。
子供たちの時々使っている火とか、風の魔法とかも手に入れた。まあ、まだしょぼいのだが。
でも、これで俺も少しは、異世界に適応出来る手掛かりがあるかも知れないな。