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目が覚めると異世界でした。  作者: むしのこ
オナワツナガリ
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異世界転生

...人間っていうのは、面倒くさい生き物だと思う。

妬み嫉みはするし

裏で陰口は日常茶飯事だし

恩知らずで非常識なやつも多いし...


異世界転生系のアニメとか、漫画とか、小説とか。そういう物語のキャラなら、多少なりとも裏表の少ないキャラだっているのに...


そんな事を、寝起きのぼーっとした頭で俺は考えていた。頭が冴えていくと、やけに眩しさと違和感を覚え、俺は独り言を呟いた。


「それにしても眩しいな...もう正午か?...それにしても、寝付けねえな...ベッドは固いし...固い?」


そう思い目を見開くと、いつもの家の天井...ではなく、生い茂る木々だった。...台風でも起きたのか?いや、だとしてもベッドが固いのは...てかうち住宅街だから木なんてなかった気が...


と、そんな事を考えていると後ろから声が聞こえた


「えっと、大丈夫ですか...?」


ゆっくりと立ち上がり、後ろを振り向く。俺の目に映るのは、いかにも異世界冒険者の初心者装備を着用し、短剣を背負う、多分身長が160もない黒髪ショートの女性だった。見慣れない格好や短剣を前に俺は、少し放心してしまった。


「え、えっと...」


と、その女性は少し困ったような表情を浮かべ、こちらを見つめていた


「い、いえ。えっと...大丈夫です...そ、それじゃあ僕はこれで...」


そう言いその女性とは真逆の方向へと向かおうと歩き出すと、その女性は


「あ、あの!」


と、声を掛けてきたため、立ち止まって振り向き、頭を掻きながら聞く


「え、えっと...どうかしましたか?」


女性は早歩きで近付いてくる


「あの、そんな貧弱な装備でこの奥へと行くんですか?...1度、街へと行きませんか?」


「...は、はい。」


...正直、陰キャでコミュ障、人見知りの半人間不信を自負している俺にとって、このお誘いはありがたいのと同時にまた、少しの警戒を抱きつつ、断ることとも出来ないのでついて行くことにした...


その、よく分からない街へと向かっている途中、軽く雑談をしていた。


「私の名前は、セリヌです。駆け出しの初等冒険者です。16歳です!あなたは?」


「えっと、いちです。...17歳です...」


一菜をみながら、セリヌは問う


「一菜さんは、なぜこの森に?」


「えっと...起きたらここに居たって言うか...」


と言うと、少し焦り気味な口調でセリヌは言う


「い、言えないような事情があるなら大丈夫なんですけど...」


一菜は困惑した顔で答える


「いえ、あの...僕もよく理解していないって言うか...はい。本当にこれしか言えることがなくて...」


と、それから数分話を続けていたら、巨大な要塞のような壁が見えてきた


「も、もしかしてあの中ですか?」


「えぇ、ささ、早く行きましょ!」


...身分証とか持ってないんだけど...そんなことを思いながらも、門の前へと移動する


「通行証。または、住民だと分かる証明書は?」


そう、槍を片手に持つ男の門番は問いかける


「はい、これです。」


セリヌは門番へと免許証みたいなものを提出した


「はい。どうぞ。それで、隣のあなたは?」


門番に問われる。少しの間沈黙した後、答える


「...何も持ってないです...」


門番は困り果てたような顔で言う


「そうですか...それならこの先へは通せません。お帰り頂くことはできますでしょうか?」


...帰る。と言っても、ここがどこなのかも何も分からない俺にとっては、どこへ帰ればいいのか分からない。


「...帰る場所も、何もないって言うか...」


門番の男は、槍を突きつける


「そんな怪しい方を通すわけには行きません。お引き取り願います。」


...まぁ、こうなることは薄々気づいていた。通行証も身分を証明できるものも何も無い俺が通ることなんてできる訳ないと。


その時、門が開き、金髪で、質素な服装をしている一人のイケメンな男が現れる


「?そこにいるのは...セリヌじゃないか。」


「スクリズ?どうしてここに?今日は親の付き添いがあるって...」


門番は、スクリズと呼ばれる男に深々とお辞儀をした


「スクリズ坊。外出でございますか?」


門番の男がそう言うと、スクリズは苦笑しながら門番の男に言う


「頭を上げてくださいよ、あと、もう坊って言われる年頃では無いですよ。あと、用事は...今終わったので大丈夫です。」


「そ、そうでしたか。申し訳ございません。」


と、門番の男は顔を上げる


「セリヌ、隣のその方は?」


「えっと、一菜って言う人なんだけど...この街に入れてあげられない?」


スクリズは少し困った顔をしながら言った


「それは...ごめんなんだけど出来ない...かも。例えセリヌのお願いだとしても。」


しょんぼりとしながらセリヌは言った


「そ、そうだよね。ごめんね。」


それから数秒の沈黙が続いた後、スクリズは口を開く


「...少し質問をさせてくれ。一菜さん。」


「は、はい...」


「君は、この世界の住人かい?」


「...ここがどこかは分からないですけど...多分違います...」


そう言うとスクリズは、心配そうな表情を浮かべながらも


「わかった。やっぱり中へと入れよう。着いてきてくれ、一菜くん。そしてセリナ。」


どんな心変わりなのか、スクリズはそう言った後、街の中へと入っていく


セリヌは安堵したような表情を浮かべ、街へと入って振り向き言う


「一菜さん!早く行きましょ!」


「分かった...」


一菜は、門番をチラッと横目に見た後、街の中へと入っていった

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