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01

彼は生きている、彼は死なない、彼は死ねない、たとえ死にたくとも、最後の最後まで、彼らの生を守る為、生かす為、たとえ多くの者を見送り、取り残されたとて、死することなど叶わぬ儚き夢を見るとも、死ねない、死ねない

わたしは何故生きているのでしょうか





わたしは何故生きているのでしょうか





わたしは何故生きているのでしょうか









長い長い生の挟間で、それを問わなかった日は、恐らく一度として無かったでしょう


わたしは、わたしの親の顔を知りません


わたしは、わたしの名前を知りません


わたしは、わたしが何であるかを知りません


わたしは、わたしがいつから存在しているのかを知りません


わたしは、わたしが何故生きているのかを知りません







「聖者さま、こんなところにいらしたのですね

 皆待っております、夕餉にいたしましょう」


「…エルザ…貴方達は何度言っても変わりませんね」


「勿論ですとも、私どもは皆、貴方様をお慕いしているのです」


「何度も聞きました」


「えぇ、何度も言いました、何度でも言いますよ」



そう言って、彼女は張りの衰えた手で、そっとわたしの手を取りました

この手がまだ小さく、瑞々しかった頃を、昨日のことのように思い出せるのに





貴方達も、わたしを置いて逝くのですね





「やぁやぁ、やっと来なさった

 毎日毎日エルザに迎えに来られて、我らの聖者さまは男冥利に尽きるなぁ」


「あら、あんたあたしが不器量だって言うのかい?」


「母ちゃんカンベンしてくれ」


「村一番の乱暴者だったダハニムも鬼嫁には敵わんな!」


「なんだってぇ?!」


「こらこら、今日はラナンも来ていたのですか

 トゥラルはもう産褥はあけたのですか?」


「もうぴんぴんしてますよ」


「そうですか、それは良かった」




村の中央で毎日のように顔ぶれを変えて朝夕と開かれる食事の集まり

彼らがこのようにするようになったのは、いつからだったでしょうか



十数年前には、彼らの前の世代でした



数十年前には、更にその前の世代でした



毎朝毎夕開かれる楽しい食事の集まりも



あと、十数年もすれば、彼らはいなくなり



また次の世代に移り変わり






その時には、彼らの命を……






わたしは、わたしが憎くて殺したくてたまりません






でも……それもできないのです











できないのです

永く待ち侘びし雪融けの刹那よ...のシステムに関する小篇です、

これだけでも読めないこともないですが、ちょっと分かり難いかな


面目ない!!

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