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第39話: 響き合う調べ


律希は吹奏楽団での演奏会に向けて自作曲を作り始めた。自分の作曲が、団員たちと一緒に演奏されることを考えるとワクワクし、同時にその責任の重さを感じていた。吹奏楽のために作る曲は、各楽器の役割や音色を考慮しながら進めなければならない。金管、木管、打楽器、それぞれのセクションが調和し、全体の音楽としてまとまるようにしなければならない。


律希はまず、曲の調性を決めることから始めた。吹奏楽の曲にふさわしい調性を考えた結果、彼はE♭メジャーを選ぶことに決めた。この調性は金管楽器にとって非常に演奏しやすく、また明るく力強い印象を与えることができるため、吹奏楽にぴったりだと思ったからだ。


「最初は金管に力を込めるべきだ。」律希は思った。彼は、E♭メジャーの和音を基に、金管楽器にファンファーレのような力強いメロディを吹かせることにした。メロディはシンプルでありながら、明確に全体のテーマを提示できるように意識して作った。金管の後ろで、打楽器はリズムを支え、時折強調するようなアクセントを加えることで、音楽に動きを持たせた。


律希は次に、曲の進行について考えた。吹奏楽の楽曲では、セクションごとの役割分担が非常に大事だ。律希は金管楽器が主導するメロディに続き、木管楽器がそれを引き継ぐ形を考えた。木管楽器は、金管とは異なり、音色が柔らかく、メロディを繊細に表現できる。律希はその特性を活かし、木管セクションが金管のメロディを対位法を使って少しずつアレンジしながら受け継ぐ形にした。


次に律希が取り組んだのは、曲の中盤部分だった。吹奏楽の魅力を引き出すためには、打楽器が大きな役割を果たす部分が必要だと感じた。律希は打楽器のパートに、ティンパニやスネアドラムを駆使し、リズムに変化をつけて曲の流れにアクセントを加えることにした。特に打楽器セクションは、曲のダイナミズムを支える重要な部分だと考え、時には力強いロールで場面を盛り上げ、時にはシンバルやトライアングルで軽やかなアクセントを加えることを意識した。


律希はその部分に多くの時間をかけ、リズムとフレーズのバランスに気を配りながら進めた。リズムの変化を巧みに使いながら、各セクションの個性を引き出すことを目指していた。


律希は曲のハーモニーにも細心の注意を払った。吹奏楽の編成では、和声のバランスがとても重要だ。特に、木管と金管のそれぞれのセクションが持つ個性を生かしながら、全体が調和するように工夫した。金管セクションがメロディを担当し、木管セクションは和音を支える。次に、木管がメロディを受け継ぎ、金管が和音を支える形にすれば、両方のセクションがしっかりと絡み合い、音楽に立体感を与えることができると考えた。


律希は和声の進行においても細かな工夫を施した。ドミナントからトニックへの進行を中心に、曲の流れがスムーズに進むようにした。また、和声に深みを与えるためにセブンスコードを使用し、曲に少しばかりの緊張感を加えて解決する過程を楽しむような構成にした。こうして、和声を進化させることで、曲にダイナミズムとともに深みが増し、音楽に立体感が生まれた。


曲の終盤に差し掛かると、律希は全体をまとめる段階に入った。金管楽器の力強さ、木管楽器の繊細さ、打楽器のリズム感、すべての要素を組み合わせ、最終的にはE♭メジャーの安定した和音に戻り、曲を締めくくることに決めた。最後のフレーズでは、金管楽器に再び力強いメロディを演奏させ、全員が一体となってメロディを奏で、壮大なエンディングを迎える形にした。


律希は完成した楽譜を見つめながら、深く息をついた。吹奏楽団の仲間たちと共に演奏する日を待ちながら、この曲がどのように奏でられるのか、心の中でその音楽が広がっていくのを感じていた。


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