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第38話: 仲間の絆


吹奏楽団に参加してから数週間が経ち、律希はすっかりその環境に馴染んでいた。最初は緊張していたものの、団員たちとの信頼関係が深まり、音楽の一体感を感じることができるようになった。毎回の練習が待ち遠しく、吹奏楽の醍醐味を再び味わえることに喜びを感じていた。


練習の内容は次第に本格的になり、団員たちは定期演奏会に向けての準備を進めていた。会場の手配やプログラムの決定など、演奏会に向けての計画が着実に進んでいく中で、律希も次第にその一員としての意識が高まっていた。これから迎える演奏会がどれほど素晴らしいものになるのか、みんなで作り上げる音楽に対する期待が膨らんでいった。


ある日、練習後の休憩時間、律希は吹奏楽団の団員であるポールから声をかけられた。彼は律希に微笑みながら話しかけてきた。「律希さん、ちょっといいですか?」


律希は驚いた顔でポールを見た。「え?何かありましたか?」


「実は、吹奏楽団の定期演奏会に向けて、もしよければあなたの自作曲を演奏してみないかと思っているんです。」ポールは少し躊躇いながらも言った。「みんな、律希さんが作曲していることを知っていて、きっとその音楽を聴いてみたいと思っているんです。」


律希はその提案を聞いて、一瞬言葉を失った。「え、自作曲を演奏会で…?」


「はい、もしまだ作っていないのであれば、君の曲を演奏できる機会を提供したいと思っているんだ。でも、もちろん無理にとは言わないよ。」ポールは微笑みながら続けた。「吹奏楽団のメンバーとして、みんなで作り上げる音楽の一部として、律希さんの作品が加わったら素晴らしいと思うんだ。」


律希はその提案に驚きながらも、心の中でわくわくする気持ちが湧き上がってきた。自分が作った曲が、吹奏楽団の演奏会で披露されることを考えるだけで胸が高鳴った。しかし、すぐに不安も感じた。自作曲をまだ作っていないこと、演奏会までに間に合わせることができるのか、さまざまな不安が頭をよぎった。


「でも、まだ曲を作っていません。」律希は少し戸惑いながら答えた。


「それでも大丈夫だよ。」ポールはにっこりと笑った。「君が無理せず、自分のペースで作曲して、完成したものをみんなで演奏するのが一番だと思う。君の音楽を楽しみにしているし、みんなで奏でるその瞬間を待ってるよ。」


律希はその言葉を聞いて、少し安心した。ポールの言葉には無理に急かす気持ちはなく、律希が自分のペースで曲を完成させることを尊重してくれていると感じた。吹奏楽団での演奏は、みんなで作り上げるものだからこそ、律希が作曲した曲もその一部として一緒に演奏できたら素晴らしいことだと思えた。


「分かりました。」律希はしばらく考えた後、決心を固めた。「自分のペースで曲を作り、みんなに演奏してもらえるようにしたいと思います。」


ポールはにっこりと笑い、嬉しそうに頷いた。「その言葉を待っていました。みんなきっと楽しみにしていると思いますよ。」


その後、律希は楽譜に向かい、自分のペースで曲作りに取り組む決意を新たにした。吹奏楽団での演奏が待ち遠しく、仲間たちと共に作り上げる音楽の中で、自分の曲もその一部として育てられていくことを考えると、ワクワクしてきた。


そして、律希は作曲作業を始め、定期演奏会に向けて自作曲を仕上げていく。吹奏楽団の仲間たちと共に演奏するため、彼の心は音楽の世界で広がっていった。


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