第33話: 出版に向けての話し合い
律希は、オルタ音楽出版に向けて足を運んだ。自分の作った曲が出版され、他の演奏家たちに演奏される日が近づいている。どこか興奮し、同時に緊張している自分を感じながら、出版社の扉を開けた。
中に入ると、穏やかな雰囲気を持つ女性、セラ・グラントが迎えてくれた。彼女は音楽出版の業界で多くの経験を積んでいる担当者で、律希が一度会ってみたいと考えていた人物だ。
「こんにちは、音坂さん。お待ちしていました。」セラは笑顔で律希を迎え入れると、彼を会議室に案内した。
「こんにちは。」律希は少し緊張しながらも、しっかりと返事をした。「今日は、出版に関する詳細をお伺いしたくて参りました。」
セラは資料を手に取りながら、律希に説明を始めた。「まず、楽譜の出版に関してですが、オルタ音楽出版では、編集と校正を経て印刷が行われ、その後販売される形になります。今日はこちらで、あなたの楽譜がどのように進行するのかの詳細をお話しさせていただきます。」
律希はその話を真剣に聞きながら、音楽が広がっていく第一歩を踏み出す準備が整いつつあることを感じていた。金額や手続きについて、具体的に知りたかった。
「出版にかかる費用についてですが、まず印刷に関するコストがあります。」セラは、律希が持ってきた楽譜を見ながら言った。「印刷費用は、楽譜のページ数、部数、使用する用紙などによって異なります。おおよその費用は、1,000部の印刷で350ルナ程度となります。ただし、部数を増やすことで、単価は下がります。」
律希はその金額に少し驚きながらも、「それは、出版した楽譜の販売で取り戻せる金額ですか?」と尋ねた。
セラは頷きながら答えた。「はい、1部あたりの販売価格は30ルナほどです。出版後、売上の約60%が音坂さんの収益となります。したがって、1,000部を販売できれば、音坂さんには18,000ルナが支払われる計算です。」
律希はその金額に少し驚きつつも、「1,000部を売るというのは現実的な数字なのでしょうか?」と尋ねた。
セラは微笑みながら答えた。「その点もご安心ください。オルタ音楽出版では、広範な販売網を持っています。特に演奏会や音楽学校での需要が高く、販売される機会が豊富です。演奏家が積極的に演奏することで、販売が加速することを期待しています。」
律希はその言葉を聞き、少し安心した。「それなら、出版しても損はないということですね。」
「その通りです。」セラはにっこりと笑いながら答えた。「音坂さんの音楽には、必ず需要があると確信しています。自信を持って進めていきましょう。」
律希はその言葉を受け入れ、しっかりと前を見据えた。「それでは、この出版手続きを進めていきたいと思います。」
セラは嬉しそうに頷き、「ありがとうございます。それでは、今後の流れについてご案内いたします。」と言いながら、さらに詳細な手続きについて説明を続けた。「楽譜の編集が完了した後、正式に契約書を交わし、印刷に入ります。販売に向けては、約2ヶ月ほどで進行できるかと思います。」
律希はそのスケジュールを聞き、出版の流れがはっきりと見えてきたことで、さらに自信を深めた。「ありがとうございます。しっかりと確認しながら進めていきます。」
セラは律希に向かって軽く頭を下げ、「音坂さんの音楽が広まることを楽しみにしています。」と答えた。
律希は楽譜をしっかりと手に持ちながら、出版社を後にした。その手には、自分の音楽を広げるための第一歩を踏み出す決意が込められていた。自分の曲が世界中で演奏される日が来る、その日を待ちわびながら、律希は次の挑戦へと歩み始めた。




