第32話: 出版の準備を整える
律希は机に広げた楽譜を見つめながら、何度もその内容を確認していた。完成した曲に心を込めてきたが、出版に向けて準備を進めるとなると、少し緊張が走った。自分の音楽が他の演奏家たちに演奏され、広まっていくことを思うと、心の中で期待と不安が交錯していた。
「まず、楽譜を最終確認しておこう。」律希は自問自答しながら、楽譜を見つめた。彼の手で丁寧に書き上げた楽譜は、完璧に近いものだったが、印刷される前にもう一度しっかりと見直すことが大切だ。演奏家がどんな風に解釈するのかを考えながら、和音やフレーズの細部を再確認していった。
それから律希は、音楽協会から提案されたオルタ音楽出版に向けての準備を整える必要があった。音楽協会が提携しているいくつかの出版社の中で、彼の音楽に最も適した出版社として、オルタ音楽出版を選ぶことに決めた。現代音楽の自由な表現に理解があり、過去にも新しい作曲家たちの楽譜を手がけてきたという評判の出版社だった。
「出版に向けて、何をすべきか…」律希は考え込み、まずは楽譜をオルタ音楽出版に提出する手続きを進めることにした。楽譜の内容が完成したことを確認した後、次に気になったのは、楽譜の編集と校正の部分だった。特に、音楽出版においてはその精度が非常に重要で、細かい表記ミスが演奏に影響を与えることもある。
律希は音楽協会に出向き、出版に関する具体的な手続きを確認した。しばらくして、音楽協会の担当者と面会することになった。
「音坂さん、いらっしゃいませ。出版に関する件、どうされましたか?」担当者がにこやかに迎え入れてくれた。
「はい、実は出版の準備を整えたいと思っているんです。楽譜の最終確認は終わったので、次に何をすればよいのか教えていただけますか?」律希は落ち着いて尋ねた。
担当者は少し考えた後、答えた。「まずは、オルタ音楽出版に楽譜を提出してください。その後、出版社側で楽譜の編集と校正が行われます。編集の過程では、楽譜のレイアウトや細部の調整が行われますので、確認が必要です。校正は、誤字脱字や音符の誤りがないかチェックする工程です。これが終わると、最終的に印刷が始まり、販売の手続きを進めます。」
「なるほど。」律希は頷いた。「編集や校正に関して、注意すべきことはありますか?」
「特に、和音やフレーズの記譜が正確であることが重要です。また、演奏家にとって弾きやすいかどうか、視認性にも注意してください。」担当者はアドバイスを続けた。「編集と校正が終了したら、次は印刷に進みますが、その前に楽譜の内容を最終的に確認しておくことをお勧めします。」
律希はその助言を受けて、最終確認を終えた楽譜を手にオルタ音楽出版に向けて提出する準備を整えた。準備が整うたびに、自分の音楽が他の演奏家たちの手に渡り、演奏されることを想像して胸が高鳴る。
「次に進むためには、楽譜を正式に提出するだけだ。」律希は決意を新たにし、楽譜を封筒に入れて、音楽協会に持っていく準備をした。楽譜が出版され、演奏家たちがその曲を演奏する日が近づいていることを実感し、これからの展開に期待を込めた。
律希は、楽譜を手に音楽協会に足を運ぶ決意を固め、明日の朝にでも提出しに行くことを決めた。




