第14話: 音楽家たちの集い
律希は音楽協会からの提案を受け入れ、音楽家同士の交流会に参加することを決めた。音楽理論や作曲技法について深く掘り下げ、他の音楽家たちと議論することが、彼の成長にとって重要な機会であると感じていた。この交流会は、技術的な話題が中心となる場であり、律希の音楽家としての技術力を試す場でもあった。
会場に到着した律希は、早速他の音楽家たちと挨拶を交わしながら、静かに会話を始めた。初めは和やかな雰囲気で、音楽の話題も少しずつ専門的な領域に突入していった。参加者の中には、和声学や作曲理論に精通している者が多く、会話の中で自然と高度な用語が飛び交うようになった。
「律希さん、あなたの和声進行に関するアプローチ、非常に興味深いですね。」と、ある音楽家が話しかけてきた。彼は和声学の専門家で、特にモーダル・インターチェンジや副次的和声に詳しい人物だった。
律希は軽く笑って答えた。「ありがとうございます。最近、非機能的和声に挑戦しているんです。特に、並行調を使った転調によって、和声に新しい視点を加えようとしています。」
音楽家はその言葉に興味を持ち、頷きながら話を続けた。「なるほど、並行調を使うことで、和声の範囲を広げ、さらに緊張感を与えることができますね。私は、ドリアン・モードを使って、調性の移行を柔らかくする方法を試しています。例えば、CメジャーのキーからCドリアンへ移行することで、自然な流れを作り、調和感を持たせることができる。」
律希はそのアプローチに興味を示しながらも、別の視点を提供した。「確かに、ドリアン・モードの使い方は効果的ですね。ただ、私自身は最近セカンダリードミナントを利用して、キーを一時的に変えることで、曲全体のテンションを増す方法を試みています。例えば、CメジャーからAマイナーに進行する際、A7を使うことで、一時的にトニックの役割をサブドミナントに置き換えることができます。」
その意見を聞いた音楽家は、少し考えてから答えた。「確かに、そのアプローチは面白いですね。特にディミニッシュコードの使い方は、予測不可能な効果を生むことができます。私は、ディミニッシュ・スケールを使い、次の和音への流れをスムーズにすることが多いです。オーギュメンテッドコードを使った進行も面白い結果を生むことがあります。」
律希はその意見を受けて、さらに深く掘り下げた。「ディミニッシュ・スケールの使い方は本当に魅力的ですよね。私もよく、減七の和音を使って次のコードに繋げることで、進行が滑らかになるのを感じます。特に、ミクソリディアンのドミナントセブンスの進行にディミニッシュコードを加えることで、解決感を生み出しつつ、リスナーに新たな緊張感を与えることができます。」
会話は次第に、さらに音楽的に高度な領域に入り、律希は他の音楽家たちとの議論を通じて自分の音楽的な知識を深めていった。特に、スパリシャル和声やテンションコード、オスティナート和声などの高度な技法についても議論が交わされ、律希はそれぞれの使い方を学んでいった。
「律希さん、あなたが言ったように、テンションコードの使い方に関して、私はよくオスティナート和声を利用しています。繰り返しの進行によって、コードにさらなるテンションを与えることができるんです。」別の音楽家が会話に加わり、律希もその考え方に共感した。
律希はしばらく考えた後に答えた。「オスティナート和声は、リズムの繰り返しによって和声が安定しつつも、メロディが変化していく感じがとても面白いですね。私は、特にジャズ和声において、拡張和音を使いながら、次のコードに進行することで曲のダイナミクスを高めることを試みています。例えば、Cmaj7からAm7に進行する際に、間にD9やG13を挟むことで、解決感を遅らせ、リスナーに期待感を与えることができます。」
律希はその後も、他の音楽家たちと議論を重ね、和声進行やモーダルアプローチについての深い洞察を得ることができた。会話の中で、律希は自分の作曲技術をさらに磨き、他の音楽家たちとの交流を通じて、これまで以上に音楽家としての視野を広げることができた。
交流会は、その後も続き、律希はその中で自分の音楽的アプローチをさらに高め、同時に新たなインスピレーションを得ることができた。会話を通じて学んだ知識は、彼の音楽家としての活動に深い影響を与えるだろうと確信した。




