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第10話: 教師への挑戦


律希は音楽活動を順調に進めていたが、音楽学校で講義を担当するという新たな挑戦が彼に与えられた。この新しい役割に興奮と不安が入り混じりながらも、彼は自分の音楽を次世代に伝えることに意義を感じていた。しかし、講師としての活動が始まると、いくつかの実務的な問題に向き合わせられることになった。


音楽学校から正式な契約書が届き、律希はそれに目を通し始めた。契約書には、講義の内容や報酬についても記載されており、その報酬額を確認したとき、律希は少し驚きと戸惑いを感じた。


「月額50ルナ…」律希はその額を見つめながら少し考え込んだ。音楽家として活動している中で、報酬は常に変動するものだが、講師としての報酬が予想よりも少ないことに気づいた。しかし、音楽学校での仕事が単なる副収入として位置づけられるのは仕方ない部分でもあり、悩みつつも律希はその額を受け入れた。


「ただ、これで全てがうまく回るのだろうか?」律希は一人で考え込み、ふと電話を手に取った。音楽学校の担当者に報酬について少し確認したいことがあったからだ。


しばらくして、担当者から連絡が入り、電話を受けた律希は少し躊躇いながら言葉を切り出した。


「こんにちは。契約内容について少しお聞きしたいことがありまして。」律希は静かに話し始めた。


担当者の声は、少し驚いたような口調で返ってきた。「もちろん、どんなことでしょうか?」


「実は、報酬の件です。」律希は少し考えながら言葉を選んだ。「音楽活動が本業で、時間的にも限りがある中で講義を担当するわけですが、その報酬が少し低く感じてしまいました。こちらの事情も理解していただければと思います。」


担当者は一瞬黙ったが、すぐに答えた。「おっしゃる通り、報酬額は予算に基づいて決められている部分があります。しかし、あなたがご指摘されたように、音楽活動と講師業を両立することが難しいのは私たちも理解しています。そのため、追加報酬についても柔軟に対応することが可能です。」


律希は少し安心した。「具体的には、どのような形で対応していただけるのでしょうか?」


担当者は少し声を弾ませて答えた。「たとえば、特別講義やワークショップを開くことがあれば、追加報酬をお支払いできます。また、生徒からのフィードバックが良ければ、次回契約の際に報酬額を見直すことも可能です。さらに、今後他の音楽イベントで律希さんが講師を務めることがあれば、その分の報酬を別途支給する形にもできます。」


律希はその話を聞いて少しほっとした。「それならば、今後の活動に応じて報酬が調整されることが分かり、納得できました。」


担当者は温かい声で言った。「そう言っていただけて嬉しいです。律希さんのような才能を持つ方が、若い音楽家たちに学びを与えることは、私たちにとって非常に重要です。あなたの活躍を支えるためにも、できる限りサポートさせていただきます。」


律希はその言葉に感謝しながらも、心の中でこれからの活動に対する決意を固めていた。「ありがとうございます。音楽活動と講義のバランスをうまく取って、全力でやらせていただきます。」


電話を切ると、律希は契約書を再度見つめた。報酬に関しては一度解決したが、これから新たな挑戦として教師としての責任をしっかりと果たしていく決意が固まった。


その日の講義後、律希は音楽学校の担当者と再び顔を合わせることになった。講義の内容や今後の進め方について意見を交換し、実際の報酬についても、具体的にどのように増額されるのかを確認した。


「まずは、定期的な授業を続けていただき、追加報酬の対象となる特別イベントについては、できるだけ早くお知らせください。」担当者は笑顔で言った。「生徒たちからのフィードバックを受けて、評価をもとに次回の契約時に報酬の見直しを行いますので、長期的に活躍していただけることを期待しています。」


律希はその言葉に少し肩の力を抜き、再度頷いた。「わかりました。ありがとうございます。生徒たちにとっても有益な講義を続けていけるよう、頑張ります。」


担当者は満足そうに微笑んで言った。「信頼しています。どうか、よろしくお願いします。」


その後、律希は講義を続ける中で、音楽家としてだけでなく教師としても成長していった。毎回の授業で新たな発見があり、生徒たちの反応を通じて自分自身の音楽に対する理解も深まっていった。報酬についての話し合いは解決したが、律希にとってはそれ以上に、次の世代の音楽家たちに自分の知識と経験をどう伝えるかが重要な課題となっていった。


音楽家としての道と、教師としての道が交わりながら、律希はこれからの未来を歩んでいく決意を新たにした。


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