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棘とか涙とか  作者: 遠藤 敦子
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 翌日、レイクルイーズとモレーン湖で自然に触れる。パンフといえばここ、という王道の場所でガイドブックでも見かける光景だ。写真で見るよりも実物の方が美しく、なんとも言えない気持ちになった。これはまた後ほどSNSに載せることにしよう。

 お昼ご飯でホットドッグを食べ、バスでカルガリーに向かった。カルガリーで観光したい場所は事前に決めていたので、スムーズに回れたかと思う。まずはカルガリータワーに行き、展望台からカルガリーの景色一面を見渡した。これもトロントでは見られない光景なので、何枚か写真を撮る。それからコア・ショッピング・センターに行っていろいろなお店を見て回った。ここでもカルガリーのピンバッジを購入する。バンフのピンバッジを買って以来、ピンバッジを集めてみたいと思ったからだ。

 次はプリンシズアイランドパークに向かう。スケッチブックを片手に絵を描いていると、現地の若い男性に

「何を描いてるの?」

と声をかけられた。日本のアニメキャラクターだよと言うと、

「アニメだったら、ピカチュウとかドラえもんとかなら知ってるよ」

とのことだ。

「それならいまどっちか描こうか?」

私が言うと、彼はピカチュウを描いてほしいとリクエストする。リクエスト通りにササっとピカチュウを描いて渡すと、彼はすごく喜んでいた。

「Suiって書いてあるの、君の名前?」

と彼に聞かれたので、

「そう、それ私の名前。翠ってあんまり聞かないでしょ?」

と返す。確かに珍しいね、と彼は言っていた。日本人の女の人の名前だったらヨウコとか、サトミとか、そういうのは聞いたことあるけど、と。

 少し話をした後、彼は用事を思い出したのか立ち上がった。

「あ、ごめん、俺ちょっと用事思い出したわ。ピカチュウの絵、ありがとう!」

そう言って彼はその場から立ち去る。名前も連絡先も聞けなかったのが惜しかった。



 今夜、カルガリー空港からトロントに帰ることになる。先にチェックインを完了させ、空港内の土産店を見て回った。お菓子類は買っていかず、Calgaryと書かれた服を着たくまのマスコットのみ購入する。これは鞄につける用にしようと思う。

 機内にて、旅行中に起きた様々なことを回想する。またいつかエドモントンの彼に会いに行けるように、頑張ってお金を稼ごうと決意した。いろいろなことを考えているうちに、トロントのピアソン空港に到着する。いろいろな場所を旅したけれどやっと帰ってきた、という気分になった。

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