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棘とか涙とか  作者: 遠藤 敦子
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 その頃、彼からインスタグラムのダイレクトメッセージに連絡が来ていた。

【手、大丈夫?】

私はこう返す。

【いま病院で棘抜いてもらった! 痛かったけど一瞬で終わった(笑)】

病院から出て、近くのカフェで軽食を食べる。明日からバンフに行くので、今日は早めにホテルに戻って明日の準備を済ませた。

 翌朝、私はエドモントンで滞在していたホテルからチェックアウトする。それからバスでバンフに向かう。朝早くにチェックアウトしたこともあり、まだ眠気があった。そういうわけで、バスで仮眠をとる。うとうとしながら、周りの人たちの顔が思い浮かんだ。日本にいる家族、友達、カナダでできた友達、そして棘が刺さって泣いていた時に優しくしてくれた彼など……ーー。

 気づけばバンフに着いており、約6時間の長旅はあっという間に終わる。時計を見ると、お昼の12時を少し過ぎていた。バスから降り、まずはダウンタウンを散策する。ダウンタウンにはたくさんのお店があり、カフェ・お土産屋さん・レストラン・アイスクリーム屋さんなどを見て回った。バンフに来たからには何か買おうと思い、私はバンフのピンバッジを購入する。それから、「Banff」と書かれたモニュメントを目指して歩いた。

 徒歩10分もかからないでモニュメントのある場所に到着する。現地のカップルから写真を撮ってほしいとお願いされ、私は女性の方のiPhoneで写真を撮った。撮ってあげた写真を見せて

「こんな感じだけどどう?」

と訊くと、女性は

「良い感じだわ! ありがとう! あなたの写真も撮ってあげようか?」

と言ってくれる。

「え、い、いや、いいですよ。1人ですし……」

私が恥ずかしそうに言うと、彼女は

「1人とかそんなの気にしなくて良いのよ。私たちよくバンフに旅行で来るんだけど、1人旅の人とかたくさんいるし」

とのことだ。お言葉に甘えて、私のiPhoneでモニュメントと写真を撮ってもらった。その後はカップルと別れ、違う場所に向かう。

 夜はステーキを食べ、星空を見に行った。写真も何枚か撮る。この星空の美しさを誰かと共有したかったけれど、あいにく1人だ。こうなったらインスタグラムのストーリーに載せることにしよう。誰が興味あるのか、誰に需要があるのかという話だけれど。ストーリーにあげてから数分後、エドモントンの彼からいいねが来ていた。まさかこんな投稿まで見てくれていたなんてという気持ちだ。

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