王太子との婚約破棄をされたら革命が起きました~家族と思ってたら本当の家族じゃ無かったし、隣国の王子様から婚約を求められました~
ソフィー・アドリアスは婚約者の王太子アランから婚約破棄を言い出された。
そして代わりに妹と婚約すると言い出した。
黄昏れる彼女のいる場所に軍の者達が入って来てそこにはソフィーとそっくりの髪と目の男性がいた──
「ソフィー、お前との婚約は破棄だ! 私はミレイと結婚する」
私の名はソフィー・アドリアス。
そして婚約破棄を言い出したのはクレイン王国の王太子アラン。
代わりに結婚する相手は私の妹。
あーこの二人そう言う関係になっていたんですね。
「分かりました……では失礼します」
「そ、ソフィー嬢待っていただきたい! アラン、貴様なんて事を──!」
「?」
「ああ、やはりこうなりましたか国王陛下」
静かな聞いたことがあるようなないような声に私は振り向きます。
其処には私と同じ銀髪に紫の目の美しい男性がいました。
「ソフィー迎えに来たよ」
「あの、貴方は……」
「国王陛下、そしてアドリアス伯爵、私の約束を破った償いをしてもらいます」
その男性がそう言うと兵士達がぞろぞろと入って来ました。
そして国王陛下や、私の家族を拘束、アラン殿下も例外無く。
「ぶ、無礼もの! 何をしているのか分かっているのか⁈」
「分かっている? そちらこそ何をしたのか分かっているのか若造」
男性が睨むとアラン殿下はひっと声を上げました。
「まずアドリアス伯爵、貴殿には我が娘ソフィーを預ける際に言っているはずだ、娘を悲しませるような事や裏切るような事はするなと」
「わ、分かっております」
「それを信じて私は赤子のソフィーをお前達に任せたのに、お前達の愚かな娘がこのような」
「ほ、本当に申し訳ございません!」
「だから貴方は誰なのよ!」
「この方こそ、王弟レオン・クレイン。そして英雄レオン様であらせられる」
「兄上、私を戦争に出しておいて、自分は安全地帯でぬくぬくとしているのだから、我が娘ソフィーに不遇な扱いをしていた場合は私が王になると宣言しましたよね」
「う、うむ……」
「その約束、守っていただこうか」
国王陛下は退位、アラン殿下や本当の家族じゃなかった人達は皆牢屋に閉じ込められたそうだ。
「ああ、可愛いソフィー、お前を思わない日など一度も無かった」
「……」
「妻はお前を置いて亡くなり、戦争が始まりその頼る当てにしたのが友人だったのだが……任せたのが間違いだった。もっと他の誰かにすべきだったのだ」
「そんな事はないですわ、あの子はともかくおじ様やおば様、屋敷の方々は優しくして下さいましたわ」
「そうか……ならば、彼らには温情をだそう、だが娘は許さぬ」
「おとう、様」
私を育ててくれたお父様とお母様達──おじ様とおば様達は牢屋から出されましたが、妹だった子は果ての修道院へと送られてしまいました。
何でも、我が子の伴侶を奪ったのは許しがたいと、お父様が。
「さて、お前の新しい婚約者だが、どうしてもお前と婚約したいと言う隣国の王子が居てな」
「⁇」
「入るが良い」
「ソフィー!」
「ミディオ⁈」
隣国の留学生である、ミディオでした。
「留学して困っていた時助けられてからお前に惚れたという」
「まぁ……」
褐色の肌に、黒い髪に黒い目の美しい青年、それがミディオです。
美しい故に皆が近寄りがたかった、と言う程に。
「ソフィー殿下、どうか私結婚していただきたい」
「ソフィー、どうする?」
「勿論、です」
私が笑うと、ミディオは歓喜のポーズを取りました。
「やったぁ! これで初恋が実った!」
「え?」
そう言うと、ミディオはにこやかに笑って言いました。
「君と出会ったのは転入前、幼い頃ここに来たときに、王弟の子だけども諸事情で伯爵家に育てられている、という貴方に会いに行ったことがああるんですよ?」
そう言って紐で結わえられた水晶の首飾りを私に見せました。
「あ、ああ! あの時の」
まだ、アランとの婚約が決まる前、近所に一時期引っ越してきた少年と仲良くなり、大事にしていた首飾りをあげたのです。
あの、首飾りを。
「その後、貴方がアランと婚約したと聞き悲観に暮れましたが、あの愚か者のおかげで、私はこうして貴方に婚約を申し込める!」
「まぁ、嬉しい!」
私は椅子から立ち上がり、ミディオに抱きつきました。
「愛してるわ、ミディオ」
「私も愛している、ソフィー」
私達二人を、お父様は微笑ましそうに見つめていました。
結婚式は盛大に行われ、国民に祝福されました。
何せ、英雄レオン──お父様が国王になり国をよりよく統治し、その娘である私が聡明なミディオと、彼と結ばれたのですから。
クレイン王国は、レオン国王の治世でよりよい時代を迎え。
その次に、ミディオとソフィーの治世ではそれを発展させていき、レオンとミディオは聖王と呼ばれ、ソフィーは聖王妃と呼ばれるようになりました──
実は、伯爵家の実子ではなく王弟から預けられた、従兄弟同士で結婚する予定だったソフィー。
でも、そうならずソフィーは幸せだったでしょう。
愛しい人と一緒になれたのですから。
割と国王とかアランも盆暗なので結婚しなくてよかったというのもあります。
ここまで読んでくださり有り難うございました!
次回作も読んでくださると幸いです。