001.独白をあなたへ
手のひらの上で踊ろう!【クライ編】と合わせて二軸同時進行中です。
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※こちらは【アキラ編】です。
※2024/5/25 全面改稿
巨大な捕食者の毒針が、見ず知らずの誰かを貫こうとしていた。
その直後、砂漠の直上を彗星が走った。
その彗星は、光の尾を引きながら、象よりも巨大なサソリに向かってまっすぐと走り、その頭部に直撃したところで、爆散して消えた。
灼熱の太陽。
どこまでも続く砂漠。
頭部が爆ぜた巨大なサソリ。
倒れ伏す赤髪の女性。
呆然としながら突っ立って、どこか人ごとのようにその光景を見ながら、俺は自らの不幸を呪った。
人生最悪の一日。
それはてっきり昨日のことだと思っていた。
しかし、どうやらそれは甘かったらしい。
俺の『厳しい現実』とやらは、まだ始まったばかりだったようだ。
確かに俺は現実から逃げ出したいとは思っていたさ。
でも、考えてもみてほしい。現実逃避行の行先が、まさか『異世界』だとは思わないじゃないか。
え? 最近じゃそんなことは普通だって?
朝起きて家から出たら転移。学校に行けば学校ごと転移。帰り道では通り魔的に勇者召喚され、一度家を出れば、無事に再び帰り着くことの方が難しい。
なんとも世知辛い世の中である。
まあ、死んで転生よりはマシか。場合によっては、人じゃないものに転生する場合もあるらしいから。
などという無駄な思考こそが現実逃避。
昨日の一連の出来事のせいで、どうやら現実逃避癖が性根に叩き込まれてしまったようだ。
でも、それだけ苦しかったのだ。
ここ以外ならどこでもいい。そう思えるほど逃げ出したかったのだ。
そうして逃げ出した結果、たどり着いたのがここ異世界。
俺の人生をラノベとして語るなら、そのタイトルは『暗井明の異世界現実逃避行』
さしずめ今の俺の状態は、第一章の第一話といったところだろう。
しかし、物語にはプロローグが付き物だ。
だからまずは聞いてほしい。
俺が逃げ出した現実の話を。
たぶんそれが、この物語のプロローグだ。
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