表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/27

第21話「幼女は従妹に会いたい」

「――誠司、晩御飯はどうするの?」


 膝の上で甘えてくる美海ちゃんの相手をしていると、風見さんが上目遣いで聞いてきた。

 俺の顔色を窺っているんだろう。


「えっ、普通に家で食べるけど?」

「そう……」


 なんだか残念そうにされたけど、さすがにご馳走になるわけにはいかない。


「えっと……これから買いものに行くんだけど、誠司もついてくる……?」


 風見さんは、両手の人差し指をくっつけてモジモジとしながら、上目遣いで尋ねてくる。

 やっぱり、いつもの彼女じゃない。


 このおとなしくていじらしい子、いったい誰だ?


「せいちゃん、いくよねぇ!? みうも、いく!」


 買いものが好きだと言っていた美海ちゃんは、俺にもついてきてほしいらしい。

 本当は邪魔になりそうだから、行くのはどうかと思うが――よく考えれば、俺が美海ちゃんの相手をしていると、風見さんもゆっくり食材が選べるのかもしれない。


「それじゃあ、行こうかな」

「んっ……!」


 笑顔で返すと、美海ちゃんも満面の笑みを返してくれた。

 本当にかわいい子だ。


「…………」


 しかし、風見さんはジト目を向けてくる。

 大方、俺のことをまた『ロリコン』とでも思っているのだろう。


「一々疑わないでくれるかな?」

「私との対応が違いすぎるもん……」


 やけにそのことを根に持つな。

 幼女と同級生に対して態度が違うなんて、当然のことだろう。


「ねぇね、かいもの……!」


 美海ちゃんは早く行きたいようで、机をバシバシと叩きながら風見さんにアピールする。

 それを見た風見さんの表情が、ムッとしたものに変わった。

 そして、口を開いたのだけど――。


「美海ちゃん、机は叩いたら駄目だよ?」


 美海ちゃんの行動が良くないと思った俺が、先に美海ちゃんの手を掴んで止めた。

 それによって、美海ちゃんが悲しそうに俺の顔を見上げてくる。


「叩いちゃったら、机が痛い痛いって泣いちゃうよ?」

「あっ……んっ……」


 幼い子に対して注意するならこんな感じかな、と思って言うと、美海ちゃんにちゃんと伝わったようだ。

 悲しそうに目を()せてしまったので、よしよしと頭を撫でてあげる。


「これから気をつけたらいいからね?」

「んっ……!」


 単純な子なので、頭を撫でただけで元気が出たようだ。

 こういうところは有難い。


「やっぱり、扱いが上手……」

「これくらいは誰にでもできるでしょ」


 ジッと見つめてくる風見さんに俺は困ったように笑いながら、美海ちゃんを抱えたまま腰をあげる。

 それによって、風見さんも立ち上がり、隣に並んできた。


「本当に妹や弟とかいないの?」

「いないよ?」

従兄弟(いとこ)とかは?」


 やけに気にしてくるな?

 そんなにおかしいんだろうか?


「三つ下に従妹(いとこ)がいるよ。女の子だけどね」

「結構遊んだりする?」

「正月とか、夏休みとかで会うくらいかな」

「そうなんだ……」


 風見さんは口元に手を当てて、何かを考えているようだ。

 いったい何を考えているのやら。

 とりあえず、俺はロリコンじゃないということだけは、わかってほしい。


「おにいちゃんのいとこ、みうもあいたい……!」

「えっ? う~ん……」


 幼い美海ちゃんも、従妹という言葉は知っているようだ。

 妹に近いから、会ってみたいんだろう。


 まぁ呼べば、あの子なら来てくれそうな気はするけど――多分、風見さんと相性が悪いんだよな。

 ギャル嫌いというか……絶対一悶着(ひともんちゃく)起きる。

 だから、会わせたくはなかった。


「機会があったらね」

「むぅ……」


 誤魔化したのがバレたのだろう。

 美海ちゃんは不満そうに頬を膨らませてしまった。


 しかし、こうなった時は――頭を撫でれば、全て解決する。


「んっ、えへへ……」


 優しく頭を撫でると、美海ちゃんが嬉しそうに笑ったので、俺は安心するのだった。


 ――なんだか、隣から白い目を向けられているけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『新作です……!』
↓のタイトル名をクリックしてください

数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました

『数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました』5月23日1巻発売!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
数々1巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』8巻発売決定です!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊び6巻表紙絵
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』コミック2巻発売中!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊びコミック2巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ