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不穏な風が吹く(後編)//世界の"せ"

森の中、一つのメールで方向を変える。

どうやら彼女は見つけたらしい。



携帯をポケットに入れて、歩く。


土の匂いが強く感じ、何故かとても嫌な予感がする。


ざざっざざっざざっ


風が強くなり、雨もポツポツと降り出して、さらに不穏さが出てくる最中で


上の道から息をきらした男が現れる。

「お・・・お前は!あいつの連れか!?」

逃げようとして、もう一度登り始める男に

「これ以上動くな。お前の悪行は彼女から聞いている」

拳銃を突きつける。

「今機嫌が悪いんだ。言うとおりにしろ。ああそれとも、もっと恐怖を与えてやろう。俺は警察・特殊部隊の支配官に値する人間。それが意味するのは裏に属する者と渡り合える程の力を持つ男だと言う事」

「う・・嘘だろ!?ひぃ」

男は意味を理解したのか、青ざめて両手を挙げる。


「それでいい。話は後でゆっくり聞かせて貰う」

男にこのまま近づいて

ガチャン

とGPSが付いた特殊な手錠をはめる。


「逃げても必ず捕まえる」

そう脅し、コイツを後にした。


ざっざっざっざ


俺が辿り着いたのは、ボロボロの屋敷。

此処に彼女がいる。

タッタッタ

「あのっ!お兄さん!助けて!お姉さんが帰ってこないの!!」

「君は・・・?お姉さんって・・・髪が短い女の人?」

「そう!もしかして貴方が、あの人の言う」

「うん、そう。君は此処で待ってて。後は俺がする」

もう一つの拳銃を取り出し、弾を入れ替える。


「わ・・・私も行く」

「俺は君を巻き込めない」


強く言えば彼女は俯いて、入り口辺りに座った。



戦・・・無事でいれくれ。

ボロボロの部屋の扉を、何度くぐっても変わらない景色に

焦燥感だけが募る。

本当に進んでいるのか?

何か間違えているのではないか?


自分を信じることすら出来無いほどの、追い詰められ具合。

それなのに・・・・背後から気配を感じる。

銃を構えて

後ろを振り向けば


「戦」

「終」


他に言葉なんていらない。そう感じた。


ガシッ


お互いが戦闘態勢に入り、殺し合う。


もう一度言う、言葉なんて不要、言いたい事は伝わった。


"俺を殺す"  それだけ。悲しいけどな。


俺は戸惑うこと無く、応戦する。


「腕上げた?」

「さぁな」


彼女は俺の動きに、しっかりとついてくる。

さすが公安特殊犯罪対策課。裏に対抗する組織の支配官だ。


(これじゃあキリが無い。腕はお互い互角)


彼女の目が現実を捉えていないのが気になる。


「戦、何を見ている?」

彼女の瞳に映るのは、誰か。

知らない存在、不気味に笑っている。


「主だよ。私のなっ!!」

「・・・・そうか。なら」

彼女から背を向けて、奴を追う。

きっとこれが、正解の糸口!!

奴を殺せば洗脳も解ける筈


バァン!バァン!


「え・・・?」

バタリと倒れる音とつんざくような銃声が二つする。

もう一つは、奴が倒れた姿で

もう一人は・・・・・

恐る恐る後ろを振り向けば、胸から血を流している

彼女()がいた。

「戦!!!!!!」

痛そうな表情で、倒れる彼女を、俺は急いで駆け寄り支えた。

「戦!!戦!!大丈夫か!?戦!!!!!!頼む何か言ってくれ!!!」

始めて他人の事で神に祈った。

俺は涙を流している、無意識に出る涙は、雨みたいに晴れることの無い苦しみ。


コツコツ コツン

靴音がし、睨むように見ると

「世界の"せ"は思いやりの"せ"、なるほど参考にしよう」

メモを取る女。そして

意味不明な言葉と共に、笑う女は、俺と目が合うと余計に笑みを深めた。


「世界はどんな色に染め上げられる。理解されない世界は奇行の"せ"と馬鹿にされ本当の真の価値が見いだせないゴミ共となる。」


彼女を支えながら、発砲する。

パチンと指を鳴らせば、見えない何かが銃弾を弾く。

「・・・・・チッ。能力者か」

勝てないんじゃないか・・・・そういう思いも芽生え始め、悔しくて唇を噛む。


「ゴミは処分した。私はこれで」

「待てっ!!」

止めようとした

女は

「裏の世界で待ってるからぁ!私の世界の完成に歓声を送りに来てくれよ?」

それだけ言って、姿をくらませた。


俺は彼女を抱えて、外に出た。

「ああぁ・・・ごめんな」

地面には冷たくなったさっきの少女の姿(亡骸)


さっきまで話してた女の子は歳が若すぎたあまりに、死にやすかった。

要するに体が成長しきっていなかったんだ。


重い喪失感を経験した。


全てあの女のせいだと、確信し、憎悪を抱く

その感情は

二度と忘れられない記憶として頭に刻まれる。


「くそっ!なんでっ!!こんなことに」


俺は雨の中走って自分のパトカーを止めてある駐車場まで行った

「はぁはぁ・・・あれは」

そこには沢山のパトカーがあり、応援が来ていた事を知り、叫んだ。


「速く!!救急車を!!」


声が届き、皆動いてくれた。


上司だから?そんなの今は関係無い!!


すぐに駆けつけた救急車に戦は運ばれて行く。


警察としてやるべき事があるから、ついていけないけど


戦なら大丈夫だと信じている。



「そうだよね?戦・・・」




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