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不穏な風が吹く(前編)

「俺は小学生の頃からさキマッてたかもしれん」

「それはヤバイわ。まじで引くんだけど。微塵も興味無かった終の過去が、今の言葉で一層興味が無くなったわ」



そんな暇人達の元に

人気のアニソンの曲が流れる。

どうやら私の携帯電話に

見覚えの無い番号でかかってきたようだ。

躊躇なく電話を取る姿を見ていた、彼は鼻で笑う。

(少しは戸惑えよ)

「はい、もしもし 公安特殊犯罪対策課の、抗命 戦(こうめい いくさ)です。」

「すみません、警察の方ですか?」

電話をかけてきたのは、おそらく高学年位の小学生?だと推測する。

そして気になるのは、声の色も恐怖が交じっている、かつ周りを警戒しているかのような小さい声。

「ただごとじゃない様子みたいだね。今どこにいるのかな?」

応答しながら、右手でボールペンを取り、近くにあったメモ用紙に

"今すぐパトカー用意してこい"

と書いて隣に見せる。


「OK、適当に貰ってくる」


「それが私も分からなくて、気づいたら此処にいたんです」

(誘拐か?・・・・)

「じゃあさ、近くに何か見えるか教えてほしい」

・・・・・・・・。

「窓から崖が見える。草木が生い茂ってて・・・森?の中かもしれません」

「もっと情報が欲しい・・・例えば何か地名とかない?」

「えっと・・・」

コツコツ

「こっちから声がしたんだけどー、ダレかいるのかなぁ?そういえば一人いないんだよなぁ」

男の声が近づいてくる音と同時に、声の主は息が荒くなる。

「もう切るね。絶対そっち行くから。私がそこに辿り着くまでちゃんとバレない様にね」


「借りてきたよー。一番ボロい奴しか貸してくれなかったけど」

「動くなら何でも良い。行くぞ!」

二人は職場を飛び出した。

急いで階段を降りながら、電話の内容を彼に説明する。

そして狂華 終(きょうか しゅう)が借りてきたパトカーに乗り込み、クソ野郎共が潜んでいるらしい場所へと向かう。


「目的地は何処ですかな、お嬢さん?」

「予想している所はある」

地図を広げ、記憶にある近くの山を指さす。

「まずここを頼む。確か此処は人の出入りも少なく、何より森だ。彼女の言う崖もあった筈。この山事態が入り組んでるから隠れるのには適切かなと」

「なるほどねー了解」

サイレン鳴らして、アクセル全開で街の中を駆けていく。


最初に向かったのはゲコウの森。

手分けして探したが、これ、といったモノが見つからなかった。

入り組んでいる迷路みたいな道も全部くまなく探したが、何の成果も得られなかった。


時間が無いのにと、イライラを募らせて

此処をまだ探すか探さないかを考えていた時に、彼は涼しい顔で言った。


「自殺で有名な山にも崖がある。しかも大きい。そこは心霊スポットで有名なだけにあまり人は近寄らないようだ。草木が生い茂りすぎて視界も悪い。だから自殺スポットっていう噂は広がっても

自殺を見た人はいない不思議な森もある」


「お前っ!それをはよ言え!!行くぞ!そこに!!ということで5分で着け」

「そんな無茶な!でも一応善処する」


二人はパトカーに急いで乗り込み、再びサイレンを鳴らし、アクセル全開で向かう。

コイツの運転の腕は認めたくないけど、腕はかなり良い、だから事故る事なんて事はそうそう無い。

「ないよな?」

「なにが?」

「事故」

「大丈夫大丈夫!俺毎日、ゲーセンに車のレースゲームあるんだけど、アレで無事故で1位取れたことある・・・んで」

赤信号中に、隣を見ればギロリ、という効果音と共に刺さる視線とぶつかる。俺の勘がいっている、今はふざけてはいけないと。

前を向くと青信号になっていたので、アクセルを踏み、訂正した。

「ふざけてすみません。しっかりゴールド免許です。大船に乗っていてください」


結局、5分では着かなかったものの、さっきの場所から此処まで、普通は1時間ぐらいかかる所を、

30分に短縮して目的地に着けたのは、

認めざるを得ない。

「やるな終。しょうがないなから褒めてやろう!」

「今ので俺のやる気と好感度が+20された」


「そんなんだからお前はずっと独身なんだよ」

「はぁー分かってないなぁ戦。俺の現状見るに、貰い手お前しかいないんだよ。悲しいことに」

「何故私ならいけると思ったのか、帰ったら署で話聞かせて貰っていい?」

俺は無言で先にパトカーから降りた。

お前なー、そんなんだからモテねぇんだよと小言を付け加えて、私も続いた。

「手分けして探そう」

「りょーかい。では戦、お気を付けて」

二人は一旦別れた。




――――――――


「はぁはぁ、怖いよ。お父さん!お母さん!」

暖炉の中で私の手が震えている。

「どこにいるの?」

声がこの部屋に入ってきた。

「かなぁー?」

バッと暖炉の中を覗かれ、私の場所を完全に特定された。

ひっと短い悲鳴を上げ、伸ばされた手を払い逃げる。

「あっ!待て!」

捕まったら殺される。それだけが私の能を支配して、他の攫われた?子供達の事なんか知らない。

自分だけが生きていれば良いんだって言い聞かせて、罪悪感を押しつぶし全速力で走る。

「おい待てって!」

後ろから怒号が聞こえる。

ドアを何回くぐったのだろうか?

分からない分からない 分からないの!!


バン!

大きい音と共に、私の頬を何かがかすったショックで、最後の扉の前に私はこけてしまった。


届かない希望を見せつけるように、光が漏れている。

「あぁ」

立ち上がろうとしたら

追ってが

「これ以上動いたら撃つぞ」

目を瞑った時、希望だった扉が勢いよく開いた。


「それはこっちの台詞だ!まあ、私の場合はどちらにしても撃つ、私はすでに見切ってるってことを、覚えとけ」

男に向けて躊躇なく、発砲する。

不意をつかれた男は、反応できずに

持っていた拳銃を飛ばされた。

その隙に私は恐怖に耐えて、走った。


後ろでは

カランカランと上手いこと、拳銃()()が地面に落ちる。


「くっ!」

「さぁこっちにおいで!お嬢さん。よく頑張ったね!」

私は走ってお姉さんの元へ駆け寄った。

「お姉さん!助けて!私以外にも捕らわれている人がいるの!!」

「なるほどね。てことで君は外で待ってて。すぐに仲間のお兄さんが来ると思うから」

私は一歩一歩進んでいく、落ちた銃を私がちゃっかりいただき

アイツにメールも送っとく。

「逃げるなんて事しねぇよなぁ?。そんなの、男らしくないもんなぁ。どうせ後から、連れが来る。その時はアイツによろしくして貰え」

そう言葉の圧をかけて奥へと進んだ。


扉をくぐりにくぐって辿り着いたのは、大きい部屋の子供部屋に沢山の子共が監禁されている異様な光景。

辺りを見渡していると、暗闇に紛れてる奴に気づく。


普通とは違う気配を察知し、持っている銃を

私が改造した銃へと切り替え、撃つ。


目元が隠れた一人の人間?が、狂った様に笑っていて気味が悪い。

ブシュッ!


銃弾が額辺りを貫通し、ドクドクと血が出てきている。

傷跡から、向こうが見えそうだ。

「イタイ・・・・・イタイィ」

痛がる者を見て

(なんか・・・・裏疑惑があるな)


今私が有利に見えたこの環境は


「ねぇ!貴方も共に踊りましょう!今此処で!!」


その言葉で変わるなんて思いもしなかった!


「くッ!!あぁ、まじか」

右目を隠して、片膝をつく。

そのノイズの波動みたいな声は、危険だと分かっていても

聞いてしまったら、私は、何者なのか?

主は誰なのか、頭がおかしくなるまで言い聞かされている。やめろと言っても、頭はそれを受け入れる。


逆らえない。


ああ、私は・・・・一体どうしたら?。


もう分からない事が


辛くて、苦しくて、目をトじてはいけないと分かっていても、トじてしまう。


「ごめ・・・・んね、しゅう。私は・・・・」

"また足を引っ張ってしまう"


限界の意識を手放す。


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