さいきょうになりたいうさぎさんと、のんびりしてたいきつねさんのおはなし
あたらしいうちと、あたらしい『とくい』
ぼくたちは、それぞれのとくいを生かして、『ひみつきち』を、山小屋にかいぞうしていった。
ねこさんといぬさんは、みんなのために食料あつめと、お料理をしてくれた。
てさきが器用で、ものをつくるのがとくいなきつねさんは、あっちをトンテン、こっちをぎゅっと、だいかつやく。
ぼくは、ぴょんぴょんっとはしって、材料やどうぐをとってきたり、わたしたりするかかりだ。
ちからもちのくまさんは、おもいおもい木や石を、切りだしたりほりだしたりして、ひょいひょいっとはこんできてくれた。
もちろん、くまさんだけに重いものをたのむのはかわいそうなので、ぼくもできるかぎりでおてつだい。
そうしていると、くまさんがぼくをほめてくれた。
「いやあ、いいはたらきっぷりだね、うさぎさん!
もしかして、『すもう』をやったら、つよいんじゃないかい?」
おためしに、くまさんと『すもう』をとってみたら、なんとけっこう、いい勝負ができてしまった。
「すごい、つよいじゃないの、うさぎさん!」
「ねえ、こんど、ふもとのまちの『腕だめし大会』にでてみなよ。
ぼくもがんばるから! ね!」
くまさんはにこにこ、ねこさんははしゃいでぴょんぴょん。
いぬさんもぱたぱたとしっぽをふってくれたので、ぼくもすっかり、そのつもりになってしまって……
その秋の腕だめし大会で、なんと上から三ばん目。
くまさんとねこさんのつぎ、いぬさんとひきわけになることができたのだった。
いっしょうけんめいたたかうのって、たのしい!
かてたらもっともっと、うれしい!
そう思うようになったぼくは、しごとのかたわら、体をきたえるようになった。
しあわせな毎日、そして
きつねさんは、そんなぼくをやさしくみまもってくれた。
げんきのでる、おいしいごはん。つかれのとれる、ふかふかのおふとん。
山にさくお花をつんで、ふーっとおちつけるおいしいお茶もつくってくれた。
ぼくは畑しごとのかたわら、ときどき、おつかいにいって。
きつねさんがおでかけの日には、かわりにおふとんをふかふかにほして。
体をきたえるために山をあるいた日は、すてきなけしきや、きれいな石や、お花のある場所をみつけて、きつねさんにおしえてあげた。
ときどきは、ふたりで、もっと山の上にのぼった。
木々の影、岩の影から、ふわあっとひらける雄大な景色がぼくたちはだいすきで。
ふたりで、ヤッホーとさけんでみたり、つめたいわき水をおともにお弁当を食べたりした。
そうして、一日が終わると、きつねさんのお茶をのんだ。
まどべでふたり、星を見ながら。
そうして、のんびりとおしゃべりをして、お月さまがかたむいたら、ベッドにはいっておやすみなさい。
そんな日々が、どれくらいつづいたころか。
ある秋祭りの日、町の広場で見た紙しばいに、ぼくはむちゅうになった。
どうぶつの国のまんなかにたつ、かみさまの山。
そこを守っているどうぶつたちの頂点『さいきょうのろっぴき』。
そのなかでもいちばんつよくてかっこいい、しろうさぎさんのかつやくをえがいたものだった。
なんどもなんども紙しばいを見たぼくは、ついにきつねさんにこういった。
「ああ、ぼくもこんなふうになりたいなあ。
しろうさぎさんにでしいりして、いつかは『さいきょうのろっぴき』になりたいなあ。
ねえ、きつねさん。かみさまの山にいこうよ。
がんばって、からだをきたえて、つよくなって。
そしていっしょにしゅぎょうして、『さいきょうのろっぴき』をめざそうよ!」
……と。
今おもうときつねさんは、そんなぼくに困ってしまっていたのだけれど……
それでも優しく、つきあってくれた。
そこからはたぶん、みんなも知っている通りである。
ぼくの宝物。古びた一冊の日記帳。
そのページはどれもどれも、キラキラの思い出でいっぱいだ。
開けばふわんと、思い出すのだ。
あのころのことを。
立ちのぼる、あの頃の香りといっしょに。
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました。
さいきょうになりたいうさぎさんと、のんびりしてたいきつねさんのおはなしは、これにておしまいです。
もし、この後のおはなしが気になりましたら、『あかつきのきつねとうさぎ~さいきょうになりたいうさぎさんと、のんびりしてたいきつねさんのおはなし~』を、ぜひのぞいてみてくださいね!