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第10話 観察

しばらく距離をとった後、俺は気配を遮断しながら木の上で対策を考えていた

今とれる手段は二つ

一つは、この森から出ていき拠点をほかに移す

もう一つは、相手の正体を特定し、周到に対策してから討伐する

前者を選んだ場合、デュークとはもう会えないだろう

しかしアースドラゴンの成長を観察できる機会などもう一生無いだろうし、そもそも見捨てるには長く一緒に暮らしすぎた

つまり俺にはやつを討伐する以外の選択肢はないのだ

時折聞えてくる轟音が俺の気持ちをさらにゲンナリさせてくる

が、とにかくやつが何者なのかをはっきりさせよう


まずは腹ごしらえだ

腹が減っては戦は出来ないからな


近くにガプルの実をみつけた俺はとりあえずそれを食べた

これは中の実から発される匂いが強烈に草食獣を刺激するから、匂いの消し方を知らずに食べちゃうと危ないんだよな

しかも草食獣を狙って賢い肉食獣もよって来ちゃうからな

あ、デュークのご飯もう無いな

用意し忘れたなー

・・・・そういえば

家の近くにガプルいっぱい生えてるけど、まさか食べないよな

確かに美味しそうな見た目してるけどな、まさかな・・

実際食ったらすごい美味しいけどさ、食うにしてもそんなにたくさんは食わんよな

ははっ、まさかな


そう!お気づきの通りさっきデュークが食べたのはまさにこのガプルの実だったのだ!そういうわけでデュークは草食獣をおびき寄せるための餌として蜘蛛に捕まえられたのだが、なかなか獲物がかからず我慢できなくなった蜘蛛に襲われてしまったのだ

・・知らないって恐ろしいね


ドレイクはしかし様子を確認しに戻ることはなかった

アースドラゴンはたとえ子供でも驚異的な防御力をもち、基本的にはその辺には脅威となるような獣はいないからだ

むしろ、さきの光線を放った者の方がよほど大きな脅威である

対応すべき優先順位はどう考えてもそちらの方が高いだろう

ドレイクは定期的に聞える轟音を頼りに、慎重にやつの方に進んでいった

ある程度近づいてからは、索敵に魔法を使うとばれる可能性がある上に、そもそも索敵系の魔法は得意ではないので、自らの視力と聴力を強化することで周囲の様子を探った


その時は突然やってきた

目の前を光線が横切ったのだ

目の前といっても5メートルほど前だが、すさまじい衝撃波が襲ってきた

吹き飛ばされまいと踏ん張り、そして一気に最警戒態勢になった

見つけた!!

およそ30メートル先にそれはいた

ドレイクは我が目を疑った

その姿はドレイクのよく知るものと酷似しており、

しかし驚くほどに別物だったからだ



鱗がその堅牢さを誇示するかのような鈍い輝きを放ちはじめ、強者の風格を身にまとい始めた幼年のアースドラゴンがそこにはいたのだ!

だがデュークと瓜二つのそれは、明らかにデュークではなかった

デュークにつけた腕輪が無かったし、羽の模様がデュークとは全く異なっていた


そのまま息を殺してじっと観察していると、それは力をためるように上体を大きく反らし始めた

しばらくすると、鱗の色がだんだんと変わっていった

見たことのない変化に目を奪われていると

鱗の色が変わりきった次の瞬間、轟音とともに光線が放たれた

ものすごい衝撃波に耐えながらドレイクが感じていたのは、畑でデュークを見つけた時以上の生涯最高の興奮だった

もしあれがアースドラゴンだとするならば俺はアースドラゴンについてほとんど何も知らなかったのかもしれない!

すごい!すごい発見だ!

鱗の色が変わるようなドラゴンは初めて見た!

ドレイクはもうしばらくこのドラゴンを観察することにした

そしてこの時にはもうデュークのことは完全に失念していた



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