第8話 ぼっち
ドレイクがマンドラゴラに向かって杖を振ると、マンドラゴラが綺麗に10等分くらいに輪切りされた
「よーし帰るぞー!デュークはこれを持ってきてくれ」
そう言って渡されたのはマンドラゴラ3切れだった
かなりのサイズがあったし、ドレイクがものすごい重そうに渡してきたから力んで受け取ったら、思ったより軽くて投げてしまいそうになった
「軽いんかーい!!!」
「あっはっはっは」
そんな風にふざけながら家に帰ると、家の結界を通った直後、畑の方から思わず耳を塞いでしまうようなものすごい絶叫が聞えてきた
ドレイクは音が止むと同時に、
「デュークは家で待ってろ!」
と叫んでマンドラゴラをその場に放り出して畑の方に走り出した
マンドラゴラをその場に放置するのもどうかと思ったので、家のそばに運んで綺麗に積んでおいた
そのまま大人しく待っていると、
『ドゴォォォン』という音があたりに鳴り響いた
ドレイクがなんかやったのかな~とか思いながら、大人しく待っていた
――2時間後
ドレイクが戻ってくる気配はなさそうだった
時折遠くでさっきのような轟音が響いてくるだけだった
まあ音がしている内はドレイクは大丈夫だろう
それにドレイクは僕に待ってろって言ったんだ
きっと戻ってくる
そう信じて待つことにした
――4時間後
森の底は暗くなり空には月が昇り始めたが、ドレイクはまだ帰ってこない
どうしようもない焦燥感が募ってくる
かえって、くるよね
今日のご飯どうしよう
結局その日は僕が寝てしまうまでドレイクは帰ってこなかった
――翌朝
目を覚ますと、外はものすごい雨だった
とても不吉な感じがしたけど、あまり気にしないようにした
今日こそは帰ってくるに違いない
さすがに1日たてば帰って来るだろう
それにご飯もどこに有るのかわからない
早く帰ってきてくれないと餓死してしまう
――3日後
帰ってこない
おなかがすいた
外はとてもいい天気だ
食べ物でもとりにいこうかな
うん、そうだそうしよう
そう決心した僕は結界の外に踏み出した
結界から出ると、なんだか肌がピリピリした
しばらく周囲を散歩すると、木の上に美味しそうな赤い木の実?を見つけた
軽く息を吐いてから、体内の魔力を使って飛び上がった
近くで見ると、その植物は大きめのブドウのようだった
試しに一つもいでみた
中にずっしりと水分の詰まっている重さだ
皮もむかずに「ガブリッ」とかじりつくと
中からは甘い実が水分とともにあふれ出てきた
3日間絶食したあとの口いっぱいに広がる水分と甘さは形容しがたいほどに美味しかった
一粒だけで我慢できるはずがなく、その木になっている実をすべて食べ尽くした
食べ終わる頃にはものすごい満足感とともに眠気が襲ってきた
なんとか家に帰ると僕はそのまま寝てしまった