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第33話 旅路

 ドラゴンの死体を粗方調べ終えたドレイクは、ドラゴンの死体の前に立つと両手を合わせてしばらくの間目を瞑っていた。

 僕もドレイクに習って両手を合わせ、そのまましばらく麻縄ドラゴンの冥福を祈った。そしてしばらくの祈りが終わった後、ドレイクは目を開けた。


「じゃあいくか」


「王都まであとどれくらいあるの?」


「う~ん、この地図に依ればあと60キロくらいのはずなんだけどな・・、この地図全然合ってないからな~。一旦空から確認してくれるか」


「いいよ」


 空へと羽ばたくとスッキリと引き締まった風が頬を撫でた。デュークの中に湧き上がっていたどす黒い気持ちは幾分か和らいだが、それでもその黒い気持ちは一向に消えそうな様子は無かった。

 湧き上がる経験したことの無い気持ちを打ち消すように空をグングンと登っていくと、地平線の端に辛うじてに何か街のようなモノがあるのを見つけた。


「なんか街みたいなのがあったけど結構距離あったよ」


「おお! けど見えたって事は多分あと60キロ位なんじゃねえか? わかんねえけど。まあ少なくともそこまで遠くはねえって事だな」


「まあ多分そうだよね」


「じゃあ出発するか。・・・・なんか最近よ、出発するとき毎回出発するかって言ってるよな。いい加減他のかけ声で出発したくねえか?」


「いや、別にかけ声なんて何でもいいけど・・」


「そうか? まあとりあえず行くか」



*****



「なあデューク、お前こないだ木霊にもらった変化の術ってまだ使えるよな?」


「うん、なんで?」


「いや王都に入るときそのままでいったらさすがに止められると思うンだよな。だから変化の術の練習しといた方がいいんじゃねえかと思ってよ」


「あぁ~、確かに」


「歩きながら変化出来るか?」


「やってみる」


 そして背中の魔回路の辺りに魔力を送ると、体が急激に変化していくのを感じた。


「あぁ~、やっぱり前と同じ見た目になるんだな。その姿は自分の意思で決めてるのか?」


「ううん、魔回路の辺りに魔力を流すと勝手にこの姿になっちゃうんだよね。おかしい?」


「何がだ? 見た目がか? う~ん、よくいる顔では無いけど別におかしいわけでは無いな。どっちかというとかっこいいけど好みは普通に分かれるかもなぁ」


「なにそれめっちゃ見たい。鏡とか無いの?」


「鏡なんて持ち運ぶようなもんじゃねえだろうが、ハッハ! まあ心配するほどおかしくはねえよ。安心しな。それよりソレが維持できるかどうかってのが重要だよ。変化してる最中は魔力の消費はどうなんだ?」


「う~ん、全然大丈夫だと思う。キツいときって息切れしたり熱くなったりするよね?」


「まあ基本そうだな」


「じゃあ今のところ問題無いけど、ずっとやってたらどうなるかは分からないなぁ」


「じゃあとりあえず今日はそのまま歩いてみるか」


「オッケー」


 そうして歩いて3時間ほど経つと、段々と体が熱くなってきた。


「ちょっと熱くなってきたかな」


「そうか、てことはあと3分の2くらいか?」


「そうなの?」


 そのドレイクの言葉通り日が暮れだした頃、デュークの魔力はかなり限界が近づいていた。


「もう、結構キツい。いや、だいぶ、キツい」


「そうか、思ったより保ったな。頑張ったな」


 そうして二人は野宿の準備をし始めた。


「今日はくしゃみしても変化の術が勝手に発動しなかったな」


「だって頑張ったもん」


「あっはっは! そうかそうか! 頑張れば大丈夫なのか! まあだけどこれだけ術が保てば十分じゃないか? まあ強いて言えば1週間くらい変化したままでいても余裕なくらいの魔力量はもって欲しいけどな」


「・・・・むりでしょ」


「いやたぶん俺の魔力量それくらいあるぞ」


「だって僕まだ1才だし!」


「あっはっはぁ! まあそりゃそうだよな、1才なら十分すぎるわ」


 そんな風に話しながら用意した今日のご飯は木霊からもらった肉だった。


「なんでこんなに肉ばっかなの? 今日肉しか食べてないよ?」


「だってお前! 肉は早く食べないと腐っちまうだろうが!」


「いや果物が腐らんとでも思っとるんか!!」


「果物の方がなんとかなるだろ!!」


「え? ・・・・そうなん?」


「いや知らんけど」


「知らんのかぁい!!!」


「ハッハッハッハ! まあ早く食べようや」


 そんな風に話しながらたき火を囲んで食べるご飯はいつものように美味しかった。

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