表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/36

第32話 札とドラゴン

 ドレイクの言葉を合図に僕はドレイクを掴んで全力で飛び上がった。しかし本来一人で飛ぶのが精一杯の僕がドレイクを掴んで大した距離を飛べるわけもなく、200mほど進んだところで地面に降りてしまった。


「なんで降りたんだよ!」


「重いからだよ!!」


「・・まあそうだよな」


「まだ来てる!」


 僕の声で振り返ったドレイクはいつものように姿を隠すと、今回は珍しくこう言った。


「俺があいつの事を妨害するから、お前は黒凰の力でも何でも使って兎に角最大火力であいつの事をぶちのめせ」


「今回は戦うの!?」


「ッハッハ! 手に入れた力を使わないでどうすんだよ! まあもし無理そうなら走って逃げようや」


「わかった」


 姿の見えないドレイクに向かって僕がそう言うと、見えない手が僕の頭をガシガシっと撫でていった。

 僕が空に飛び上がると、さっきの麻縄ドラゴン(デューク命名)は僕のほうを見てもの凄い声で威嚇してきた。しかし体が重いからか、そもそも羽のような物が羽では無いからなのか、飛んできて攻撃するようなそぶりは一切見せず、そのまま地面から離れなかった。

 上空からよく見れば麻縄ドラゴンは普通では無いサイズだった。どう見ても僕の10倍はありそうな体軀から、僕よりも大きな岩が生えている。いや、突き刺されているのか?

 そんな風に観察していたら、ドラゴンは突然僕の方に白く燃えるブレスを放ってきた。咄嗟に高度を攻撃範囲外に全力で逃げた次の瞬間、ドラゴンが足を挫いたような動きで倒れ込み、ブレスが近くの木々を吹き飛ばした。


「いまだデューク!!!」


 ドレイクの声が聞えた瞬間には僕は黒凰の力を引き出し、麻縄ドラゴンに向かって漆黒の炎を吐き出していた。炎は轟々と音を立て、衝撃波で周囲の木々が傾いた。もの凄い上昇気流で景色が見えなくなるほどの砂が舞った。


 目の前が晴れ地面の様子が確認出来るようになると、そこにはまだ麻縄ドラゴンが立っていた。しかしダメージは受けているのか、体は所々黒くなり、煙が出ていた。それにもかかわらず、ドラゴンの背中の岩の麻縄は、全くの無傷だった。

 次の瞬間、ドラゴンはガクガクと震えて倒れてしまった。辺りにはドラゴンの隠れていた馬鹿でかい穴との横に、ピクリとも動かないドラゴンが横たわっているという異様な光景が広がっていた。


 僕が地面に降りると、ドレイクが目の前に現れた。


「あの麻縄おかしいな」


「僕はドレイクが近づく前からおかしいって言ってたけどね」


「・・あの麻縄はちょっと調べる必要がありそうだ。もしかすると竜の里と戦争なんて事にもなりかねないぞ」


「え?」


 ドレイクはそう言って麻縄ドラゴンの背中に近づいていき、岩に手をかざして何やらブツブツ言っている。邪魔をしないようにそっと近づいて行くと、何やら札が光っていた。


「ねえなんかその札光ってるけど・・」


「ん? ほんとだ・・、とりあえず離れとくか」


 ドレイクがそう言って離れると札は突然強く光り、「ドン」という音を発てて爆発した。すべての札が爆発し終わると岩は綺麗に吹き飛んでおり、ドラゴンの背中に何かを刺されていた痕が残っているだけだった。


「なるほどな、証拠隠滅はばっちりってわけだ」


「なんの証拠?」


「いやそれは分からんけども、札がドラゴンからエネルギーを吸い取ってることは分かった。まあ逆に言えばそこまでしか分からなかった」


「ドラゴンをエネルギー源にしてたって、なんのエネルギー源?」


「それも分からんが、何かしらの強い結界みたいなもんだと思う。基本的に強い結界ほど燃費が悪いからな、でっかい燃料タンクみたいなのが近くにあるといいんだよ。生きたドラゴンはその最たる例だな」


「・・え? 生きたまま燃料タンクにされるの?」


「まあそんなとこだな、生きたドラゴンの生み出す魔力を燃料にするんだよ。ただこれは竜王との取り決めで絶対にやってはいけないことになってて、もしやれば人類は滅ぼされるらしい」


「・・・・え? ・・これは?」


「それ」


「・・・・駄目じゃん」


「だから爆発したんじゃ無いか? その証拠隠滅のために」


「あ、なるほどねぇ~、・・すごい悪質だね」


「まあ人類にもいろいろいるからな」


「・・これやった奴って分からないの?」


「う~ん、一応このドラゴンは調べるけど証拠は多分なにも無いからな。・・王都に着いたら報告しよう。それが一番だ」


「・・うん」


 目の前に横たわるドラゴンの体は、ドンドン熱を失い所々綺麗な白だったその肌はどす黒い色へと変わってしまっていた。デュークは自分の中になにか熱くどす黒い気持ちが湧き上がって来ているのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ