第26話 魔回路
「今夜はこの辺で止まるか」
ドレイクはそう言うと周囲の確認を始めた。ドレイクはいつも野宿する場所の周辺を物凄く丁寧に探索する。何年か前、ドレイクが小さめの洞穴で野宿をしたときのことだが、次の朝目が覚めて外に出ると丁度山賊のような奴らが洞穴に向かって歩いてきているところだったらしい。もし起きるのがもう少しでも遅かったら身ぐるみはがされて奴隷として売られてしまうところだったかもしれないとドレイクは言っていた。そしてそれ以来、野宿をするところの周りの確認は普通の人が1だとするならば、ドレイクは10000くらいの気持ちでやっているらしい。・・ちょっと極端すぎるとは思うけどね。
「よーし大丈夫そうだな、近くには動物のフンも焚火の後も、なわばりのマーキングみたいな物もなかったからな。」
「今日のご飯は?」
「う~んもうそろそろ食料が尽きそうだからなぁ・・、いっそ全部使っちゃうか! この地図によればあと3日で着くくらいの距離だからな! ・・よし! 今日はパーっといくぞ!!」
「いやった~!!!!」
最近どういうわけかやけにお腹がすくようになってしまっているのだ。それにご飯を食べると幸せになれるからね! ご飯をたくさん食べるのはいいことだ!
そして僕たちはご飯の準備を開始した。と言っても基本的に保存食だから準備なんてほとんど何もなかったけどね・・。
ご飯を食べながら僕はしばらく気になっていたことを聞いてみた。
「ドレイクってさ、賢者だったんだよね?」
「ああ、なんでだ?」
「いや僕のイメージだと賢者ってすごい魔法バァン!敵ドォン!みたいなイメージだったからさ、なんかちょっとイメージと違うな~って」
「いや俺だってこの前まではドォン!てできたよ! けど魔回路が壊れちまったってオスカーも言ってたじゃねえか」
「魔回路って何?」
「魔回路って教えてなかったっけ?」
「うん」
「あ~そうだっけか、魔回路っていうのは皮膚に刻まれた魔力の通り道のことだな」
「ん?」
「生まれたばっかの赤ん坊は肌がまっさらだろ? だけど普通の生物は魔法を使うと魔力の通ったところの皮膚の色が変わるんだよ。それで同じ魔法を何回も使ってると、同じところの色が段々変わってくるだろ? そうするとそれが模様みたいになってくるんだよな、これが魔回路だ。で、回路が刻まれた魔法は魔力の流れを意識しなくてもその辺に流そうって少し思うだけですぐに使えるようになっていくんだ。これが魔法を習得するってことだな。」
「なるほどね」
「つまり魔力の血管みたいなことだ。じゃあこれがなくなったらどうなるか、どうなると思う?」
「魔法が使えなくなる?」
「おしい、《《一時的》》に魔法が使えなくなるんだ。例えば血管が一部なくなったとする、すると生物の体はどうするか、他の血管で欠損部を補おうとするんだ。これと同じようなことが魔回路でも起こる。魔回路の場合新しい道が生えるんだ。」
「なるほどね」
「だけどな、新しい道は使わないと生えてこないんだ。ちなみに俺の欠損した魔回路っていうのは魔力を外に放出するときに使う部分だ。ということで俺はいつも歩きながら細~く魔力を放出して魔回路を修復してるんだ」
「あれ? だけどこの前ドラールたちがハイエナの姿で近づいてきた時さ、炎出してなかった?」
「ああそうだぞ、魔回路が少し回復してたからな。だけど放出が上手くいかなくてな、威力がクソ雑魚だっただろ?」
「あ、だからあんなに雑魚だったのね」
「・・ストレートだなお前。まあそういうわけだ、魔回路が回復すればお前のお望み通りバァン!ドォン!ができるぞ」
「新しいのが生えるまでどれくらいかかりそうなの?」
「う~ん、前と同じレベルまで回復するのには大体半年はかかるんじゃねえか?」
「そんなに!?」
「いやいや、俺が何年かけて魔回路を育てたと思ってんだ? 放出系の回路なんて物心ついた時からずっと使ってたんだぞ? まあざっとひゃ・・20年くらいだぞ? それが半年で元に戻るんだから別に大した長さじゃないだろ」
「ああ、まあそれと比べると短いね・・」
(ひゃってなんだろ?)
「まあそういうわけだ、じゃあ明日も早いからもう寝ようか」
「うん」
そう言うとドレイクはすぐにいびきをかき始めた。
次回はアクション、バトル回です。お楽しみに




