第25話 黒凰
しばらく歩くと周囲の木々がだんだんとまばらになり、周りの景色が森から草原へと変わっていった。
「ヴィンチ王国って思ったより田舎なんだね」
「ん? そうか? けど帝国もこんなもんだぞ?」
「え? ・・・・そうなんだ」
「まあ大きな街の周りはもっと栄えてるけどな、特に何もない地域なんてどこもこんなもんだろ」
「そういうもんか」
「そういうもんだ」
「・・ところで俺はずっと気になってたんだがお前の体調は今はどうなんだ? ドラールたちの力を使うとすごい疲れたりしないのか? 異常は何もないのか?」
「う~ん、言われてみればちょっと疲れてるような気がしないでもないけど・・。そんなすごい疲れたりっていうことは無いし、鱗が銀色になってからも特に異常はないかな? たぶん」
「そうなのか・・、う~ん、わからないことだらけだな。出来ることならしっかり詳しく調べたいんだけどなぁ・・」
「ドラールに聞いてみる? なにかわかるかもしれないよ?」
「おお! いい考えだ」
僕は歩きながら影からドラールを呼び出した。影からドラールを召喚するのに大体5分くらいかかった。影からドラールを呼び出す間に、どんなことを訊くのかといろいろ話した結果、最初は当たり障りのなさそうな質問からすることになった。
「ドラールが今まで仕えたドラゴンってどんなドラゴンだったの?」
ドラールは少し考えてから答えた。
「私がお仕えした方々は基本的に竜の里で称号を与えられるような立派な方々でした。デューク様に使える前は現在の竜王様にお仕えしておりました。と言ってももう何百年も前の話ですがね」
ドラールは笑顔(多分)でそう言った。聞き間違いかと思ったがどうやらそうではないようだ。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、黒凰っていうのはどれくらい生きるんだ!?」
ドレイクがとても驚いた様子でそう訊いた。
「ふふっ、その答えは『いつまでも』です。我々は主君がいる限り滅びることはありません。ただ千年に一度しか数が増えませんので我々は主を失うということに対しては非常に敏感です。」
「不死身じゃん! 凄すぎでしょ・・」
「・・・・霊獣だからか!」
「その通りです。まあそういう訳で今は世界に51柱しか存在していませんが、そのうちの9柱をデューク様は眷属としておられます。素晴らしい!」
「・・なんでそんなにすごい霊獣様が僕なんかに使えてるのさ?」
「我々は竜王になる可能性がある方を正しき道に導くことが使命なのです。ちなみに竜王へと導くのは我々黒凰ですが、他の王を導く霊獣もおりますよ。もし機会があればお伝えいたします。」
「・・・・え? え~っと、それは僕が竜王になる可能性があるってこと?」
「そうですね、可能性の高いお方を探しておりましたが中々見つからなかったため、あのような見苦しい姿になってしまっていたのです。」
「え~っと、なんで?」
「・・何がです?」
「僕ってさ、自分の意思でブレス吐くこともできないし、魔法だってうまくないし、まあさっきは君たちの力を借りたおかげで熊は瞬殺できたけどさ、そうじゃなかったらほんとに何もできなかったんだよ・・、それなのに急に竜王って言われてもねぇ?」
「ふ~む、そうは言われましても我々はデューク様から王の素質を感じましたし、それに今まで仕えたお方の中に鱗の色が変わったというお方は誰もいませんでしたからね。現時点ではそれで十分ではないですか」
ドラールはそう言うとニコリと笑った。
「まあ確かによくわからないことを考えたってよくわからないままだからな、まずはわかることから考えよう」
「その通りです」
あたりは段々と暗くなり始めていた。




