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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第八章  飛躍、飛翔の物語

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03-08-02 俺、港の魚の腐ったような匂いがダメみたい……

 港町の宿屋を取った俺達は夕方まで休んだ後食堂で夕飯を楽しんだ。

 この世界に生まれ変わって初めて海の魚を食べるので凄く期待していたんだけど食べてみると美味い事は美味いんだけどなんだか物足りない感じだ。

 村で食べていた魚は川や池で取れた物だったんだけど川で取れたのは大きさが小さくて池の物は泥臭さが残っていた。

 海の魚は大きくて変な匂いも無くてもっと美味い物だと思っていたんだけどなあ。

 なんか思っていたのと違う。


 なんでだろうと考えてみたら多分前世の記憶で食べた物と比べてしまっていたからだと分かった。

 そりゃそうか。

 なんで海の魚を食べたいと思っていたのかと言えば前世での記憶で魚が好物だったみたいだからだ。

 だから期待値が変に高まってしまっていたんだろう。

 それにこの世界にはハッキリ言って美味い調味料の種類が少ない。


 内陸にあった村なんかでは特に変わった調味料なんかは少なかった。

 俺が成長して森なんかに良く行くようになってからヘルを通して総合ネットワークから情報を引き出して食べられる植物を見つけ出してくるようになって漸く食生活が充実しだした位だ。

 こりゃ俺達が持っている調味料をこっそり足した方が断然美味くなると思う。

 今は持っていないがこれからは飯時に欠かせなくなるぞ。

 それに厨房の人には極力知られないように注意しないとな。


 事によっては勝手に変な物を足すなとかその調味料を寄こせとか文句を付けられるかもしれんし。

 まあ食事に関しての問題はそんなもんだった。

 飯を食ったら疲れも有ったからか直ぐに寝たんだけど問題はそれだけじゃ無かったみたいでなんか夜中に匂いが気になってしまって起きる事になった。

 そう、匂いだ。

 なんか部屋の中の海の匂い? 若しくは魚の匂い? が段々気になって来て我慢が出来なくなってきたんだ。


 最初は夕飯に食べた魚の匂いがまだ残っているからだと軽く思っていたんだけど何故かいつまで経っても匂いが感じられる。

 こりゃ変だと思ったら余計に気になってしまって完全に目が覚めてしまった。

 身体を起こして気分転換に水でも飲もうと思って水差しの水をコップについで口元に持ってくるとなんか水からかすかに生臭い匂いがするような気がする。

 一つの事が気になり始めるともう次から次へと気になってしまってそれから朝までずっと寝られなかった。

 朝になって寝不足の目を擦りながら朝食を食べに食堂に降りて行くと魚の匂いがモワッと俺を襲ってきた。


 おいおい、嘘だろ? マジか?

 昨日は魚を腹一杯食っても何も感じなかったのに今日の朝は魚の匂いを嗅いだだけで胃がムカッとして食欲がなくなったぞ。

 なんだよ、俺の身体は? 一体どうなっていやがる?!

 もしかして俺は海アレルギーかなんかなのか?

 今までは海の物を全然食べて来なかったから分からなかったが俺は本当は海の物を受け付けない体質だったという事なのか?


 俺が一人愕然としていると皆も起き出して来たのかぞろぞろと食堂に集まってきた。

 俺は皆に自分に起こった事を話そうと向き直って見てみるとなんだか様子がおかしい。

 皆俺と同じように寝不足みたいな顔をしている。

 ここまで来て俺は漸くこれは何かの攻撃を全員が受けたんだと気が付いた。

 一番の有力候補は毒攻撃だ。すなわち食事に毒を盛られたという事になる。


 ヘル! 俺達は全員何者かに毒を盛られたみたいだ!

 昨日何か気になる事は無かったか?


『えっ?! それは本当ですか?! マスター?!

 私は特に気になる動きをする人物は見ませんでしたが!

 本当に毒ですか?! 他の可能性は有りませんか?! 』


 ああ、多分だが毒だと思う。

 その証拠に俺だけじゃなく皆同じ状態のようだからな。


『え?! それは一体どういう……?

 マスター。もしかして皆が寝不足なのがそう判断した理由ですか? 』


 おう。その通りだ。

 皆見た所俺と同じ状態のようだからな。

 夜中に匂いが気になって眠れなくなるなんて事が全員に同時に起こるなんて事が普通に有ってたまるか。


『それが有るんですよ、マスター。

 マスターはどうやら知らなかったようですのでお教えしますがこの事態は海の物を始めて食べた人全員に同様に起こる物です。

 実はここに限らず世界中の海は全て汚染されているんです。』


 はあ?! ちょっと待てよ?!

 じゃあ何か? 俺は昨日汚染された魚を美味い美味いとたらふく食べていたという事か?

 なんで止めなかったんだ?! ヘル!


『すみません。予め説明して置くべきでした。

 ですがマスターがこの事を知らないとは思っていなかったんです。

 海を汚染している物質はいわゆる普通の毒ではないんです。

 ああ、毒というと語弊がありますね。

 言い直すとすると薬品ですかね。

 すなわち世界中の海は摂取すると神経過敏になってしまう薬品に汚染されているんです。』


 ええ~?! なにそれ?! 初めて聞いたんだけど?!

 それって大丈夫なの?!


『はい。安全性は確認されています。

 摂取しても直ぐに体内から排出されますし人体への後遺症もありません。

 海の水をがぶ飲みするとかしても大丈夫です。

 まあその時は塩分の方が先に問題になりますでしょうね。』


 魚に蓄積とかしないのか?


『はい。その点も大丈夫です。

 魚の体内からも直ぐに排出されますが常時摂取しているような物ですから体内濃度は一定値で安定しています。

 その濃度は人間が食べても全然問題ない物です。』


 そ、そうか。

 だが魚を食べると毎回寝不足になってしまうんなら海の近くに住んでいる人達は食べ物に困ってるんじゃないか?


『え? なにを言ってるんですか、マスター?

 昨日夕飯で魚を食べたじゃないですか。

 皆普通に魚を食べてますよ。

 ああ、何を誤解しているか分かりました。

 通常魚等を食べ続けると薬品の効果がどんどん下がっていって数日で耐性が出来て何も影響が出なくなります。

 マスターは昨日魚を一度に沢山取り過ぎたので初回なのも合わさって激しい反応が出たんですね。ご愁傷様です。』


 何だよそれ?! 全部俺の自業自得だとでも言うのかよ?!

 くそっ! こうなったら魚を沢山食べて耐性を一気に取ってやる!

 と思ったけど魚の匂いを嗅いだら気持ち悪くなって全然食べられなかった。がっくり。


  + + + + +


 そんなどうでも良い事で数日の間港の匂いが気になって外に出る事も出来ず真面に行動できなかったんだが漸く体調も良くなって魚も問題なく食べられるようになった。

 俺の体調不良期間にも皆は情報収集を行っていて色々な事を調べて来てくれていた。なんか悪いね。

 分かった事と言えばそんなに多くはなかった。

 まず海賊は殆どの場合艦隊を組んでいるという事。

 襲う場所は一定の海域では無く多岐に渡っているという事。


 襲った場合も余り人殺しはしない様にしている事。

 奪う物はもっぱら金銭と貴金属くらいだという事。

 海賊は常に顔を覆面で隠していて素顔は分からないという事。

 襲う間隔は不定期だが連日というのは今までは無いという事。

 と言ったところだな。


 最後の連日では襲わないという事の所為で船主連中が船を出すのを牽制し合って結果的に船の出航数が減ってしまい現在の不景気を起こしているようだ。

 これはあれだな。素直に通行税だと思って海賊に決まった額のお金を渡した方が商売的には効率が良いんじゃね?

 まあ今迄出さなくても良かったお金を新たに出さなくてはならないというのは勿体ないと思うのかもしれんが商売が成り立たなければ意味がないだろ?

 まあ俺には関係ないと言えばないので好きにして貰っても良いんだが文句を領主や国王やその上の総合ネットワークに言って来るのはどうなんだ?

 もっと自分達で解決しようと努力しても罰は当たらないんじゃないか?


 まあこの時代で自助努力を求めるのもなんだかなあとも思うのでその事は良いか。

 俺も総合ネットワークに解決を頼まれてしまったし一丁頑張ってみますかね。


  + + + + +


 今は色々情報を仕入れてきたので対策を考えようと皆で集まって会議をしている最中だ。

 しかし中々良い案は出ないね。

 まず根本として海賊が出た時に対処する為にはその襲われた船に同乗しているというのが大前提だよね。

 でなければどう考えても間に合わず対処なんて出来ないし。

 次善の策としては高速艇で巡回しておいて襲われそうな船を影から護衛するという物なんだけどそんなに都合が良い高速艇なんて有るのかね。


 現在主流になっている船は帆船に魔道具の動力が付いたものなんだけどこの魔道具が全然馬力が高くない情けない物しか使われていない。

 もう子供のおもちゃかって位なんだよなあ。

 これは思い切って俺が魔道具の動力を用意して自前で高速艇を作ってしまった方が早いか?

 そうだな。そうするか。

 となれば中古でも良いから高速艇にピッタリな感じの中型から小型の船を探すか。


 前世で言うクルーザーかモーターボートといった様なのを目指そう。

 高速に堪えられるがっしりしたのが有れば良いんだけどなあ。

 丁度良い船がないかと港を見て回ったが有るのは大型の帆船か小さな漁船くらいだった。

 いくら何でもこんな小さな漁船に動力を付けても外海の大波には太刀打出来ないだろう。

 自分達で船を探すのは無理っぽいと分かったので地元の漁業組合かなんかを頼ることにした。


 そういうのは大体港の正面辺りにあるもんだと当たりを付けて探してみると直ぐに見つかった。

 早速中に入って事務員のおばちゃんに船が欲しいんだけどどうすれば良いのかと聞いてみたら漁船の範囲に入る小型から中型船は漁業権を持っている人にしか売ってないと言われた。

 まあそりゃそうか。俺の聞き方が悪かったな。

 そこで中型の船を作っている所を紹介して欲しいというと一軒の船大工を教えてくれた。

 後は自分達で好きなように交渉しなと言う事で紹介状とかは出ないようだ。


 教えて貰った場所に早速行ってみると港に面した所に建っている倉庫っぽい建物だったがやけに静かだ。

 人が働いている様子では無い。

 港町の不景気がこんな所にまで波及しているのか新しく船を作ろうという雰囲気ではないんだろうな。

 人がいるのかと大声で呼び掛けてみると奥の方から酔っ払った爺さんがフラフラとしながら出てきた。

 まあ仕事もなく暇なんだから昼間から酒を飲んでても仕方がないだろう。


 この爺さん、酔っ払っているがちゃんと交渉できるんだろうか?

 まあ取り敢えず話し掛けてみるかと声をかけると顔は真っ赤だが受け答えはちゃんと出来ているようだ。

 ならばと早速中型の船が欲しいんだけどと言うとなんでそんな物が欲しいんだと返事が帰ってきた。

 まあこの爺さんに嘘を言ってもしょうがないので素直に海賊を討伐するのに使うと答えたら大笑いをされた。

 そんな中型船じゃあ海賊の船に速度で負けているから一生捕まえる事は出来ないぞとも言われた。


 まあそう言われるのは予想が出来ていたから良いんだけどそんなに笑う程か?

 爺さんが大笑いするのが漸く収まったので俺は海賊を捕まえる為に新しい魔道具の動力を用意して来たと教えたら急に真顔になって詰め寄ってきた。

 おおう。そんなに近寄るなよ。酒臭いぞ!

 爺さんを引き離して落ち着くように言ってから俺が用意出来る魔道具の動力と作って貰いたい船の概要を説明すると更に詰め寄ってきた。

 もう勘弁してくれ! 俺は酒臭い爺さんに近づかれても全然嬉しくないんだよ!


 それから爺さんを押さえつけて顔を背けて話を続けて細かい事を詰めた。

 爺さんは作りかけの船がキャンセルされて残っているのでそれを流用すれば作るのにそう時間も掛からないと言ったが一つ条件を付けてきた。

 それは俺の用意した魔道具を定期的に売ってくれないかという事だった。

 う~ん。どうするか。俺としては魔道具を作る事自体は簡単な事なんだが材料の魔石を大量に用意する事やこの港町まで運ぶ事の方に問題がある。

 俺にとっては魔石は常にストックして置きたい物だしこの港町から遠く離れた地から魔道具を送るなんて送料の無駄でしかない。


 俺として出来る事はたまにこの港町に来たその時にでも魔道具の機関部を大量に作製して置く事位だろう。

 それで良ければと言うとまあしょうがないのでそれで良いと言って渋々承諾していた。

 だが今回ついでに出来るだけ多く在庫を用意してくれとの事で俺は魔道具の動力を爺さんの用意できた魔石分作る事になったがその対価として船の代金は相殺となったので結果オーライとしよう。

 これで俺の持ち出し分は殆ど無くなったので良かったんだが代わりに俺の労働力が必要になったんでは俺ばっかりに負担がかかり過ぎじゃね?

 総合ネットワークには労働環境の改善を要求する!


 若しくは分かり易く金銭等の報酬でも良いんだよ?

 その方がモチベーションも上がるしね。

 ヘル。本部にそう伝えておいてね。


『ハイハイ。一応伝えては置きますがどうなるかは分かりませんよ? 』


 こういう細かい事をちょくちょく言って置く事が後で効いてくるんだよ、ヘル君。分かったかね?


『ソーデスネ。マスター。』


『ソーデスネッ! 』


 お昼の番組か! ってなんの事だ?


  + + + + +


 そんなこんなで高速艇の準備がどうにか出来そうだ。

 爺さんは腕利きの船大工だったみたいで酒が抜けてからは弟子も動員して突貫作業をしているようで一週間でなんとか形に出来ると豪語していた。

 船が出来たら少し操船の練習をしてからいよいよ海賊退治に出るぞ!

 港町に来てからも海賊の被害が数件起きていたからな。

 それに早く対処しないと特別監察官の権威が失墜してしまいそうだし。


 海賊共! 首を海水で洗って待ってろよ!





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