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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第八章  飛躍、飛翔の物語

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03-08-01 夏だし海に行こうぜ! (夏じゃない)

 隣国フィールデン王国から自分ちに帰る旅を始めてかなりになる。

 道も前に通ったものでは無く別の道を使っている。

 例の中継基地を設置するというのが主な理由だがやっぱり新しい発見がないと旅も楽しくないからな。

 旅している道は西寄りにある街道で南下している感じだ。

 王都は国の北端に有ったのでこのまま最南端迄行ってから東寄りにある街道を北に戻って来るというのを予定していた。


 だが国の中央付近には大きい街が一つ有るだけでそこをどうしても通らないといけないように街道が作られているようだ。

 まあその街が国の商業の中心地的な役割を担っているという事だろう。

 その街を過ぎると後は最南端の港町まで大きい街は無いようなのでそこで暫く休養する事にして今後の旅の準備も整えて置く事にした。

 お金もあるのでそれなりに良い宿屋をとって休養期間も二週間程を予定している。

 旅の準備なんかはヘルに丸投げして俺は優雅な昼寝を堪能している所だ。


 他の皆も旅の疲れを取った後はそれぞれ自由に過ごしている。

 買い物したり店を見て回ったりとかしているらしいが俺は良く知らん。

 皆疲れたりしないのかね?

 俺は旅の途中では大して体を動かしてはいないものの馬車でずっと座って御者をしているからか変に体が疲れてでもいるのかとにかく眠い。

 今後は御者を誰かに代わってもらって俺も少しは身体を動かした方が良いのかもしれんな。


 まあとにかく一日の殆どをベッドの上で過ごしているというのもなんだか勿体ないような気もする今日この頃だ。

 今日も昼からの昼寝から目が覚めて喉が乾いたので一階の食堂で何か飲もうと下りてきたところでどこかで聞いた様な声が聞こえてきた。


「ガハハハ! お前達結構いいところに泊まっているんだな!

 俺もついでに此処に泊めてくれよ! 」


 おいおい、やかましい奴がいるな。と思いながら食堂に入って行くとそこにはちょっと前に知り合ったおっさんがいた。

 ええと、アレだ。そう! ビッグ・ワンダーだ!

 ちょっと名前が出てこなかったが名前よりも存在の方が強烈なんだからそれもしょうがないだろ?

 まあどうでも良い言い訳は置いといてなんでこのおっさんがここにいるんだ? 俺達のストーカーか?

 嫌々ながらおっさんと皆のところに近付いて行くと俺に気づいて声を掛けてきた。


「よう! 久しぶりだな!

 元気にやってるか! 」


「はあ、まあ。それなりだな。

 それよりなんでおっさんが一人で此処にいるんだ?

 リック達は一緒じゃないのか? 」


「ああ、それか。実はな……。」


 おっさんが言うには武闘大会で俺に無様な形で負けてしまった所為で予定していた仕事が全部キャンセルされてしまって暇になったのでパーティを抜けて修行し直す旅に一人で出たという事だった。

 そうか。なんだか悪い事をしてしまったみたいだな。

 おっさんの実力は別に落ちているという事は無いだろうし十分だと思うが対魔術戦にだけ抵抗力が無かっただけなんだよな。

 魔獣に対しては相手が魔術なんか絶対に使ってこないのは分かってるんだから物理攻撃に特化しているおっさんでもしっかりと対処出来る。

 そう言って依頼人に説明したらしいがいかんせん負け方が悪過ぎて周囲の評判が良くなくてキャンセルするしかないと断わられたらしい。


 まあそうなるか。

 武闘大会上位者の仕事は人気商売になるだろうからな。仕方ないね。

 おっさんが此処にいる理由は分かったがなんでこの宿に泊まるなんて話になってるんだ?

 事情を聞くと至極簡単な事だった。

 単に手持ちのお金が少ないという事らしい。


 オイオイ。あんたは傭兵のトップ集団にいて有名人だったんだろ?

 だったら金も十分稼いでいたんじゃないのかよ。

 え? 稼いだ分は直ぐに飲み食いに使ってしまって残ってないって?

 アホか! 子供の小遣いじゃあるまいしそんなんで無くなるか!

 ハア? いつも皆に奢っていたらいつの間にか無くなっていたと。


 良くそんなんで今迄やってこれたな。

 ああ。金に困った時は仲間が助けてくれていた訳ね。

 それが今回は居ないと。

 まあそういう事なら安い部屋で良いなら俺達が出発するまでなら取ってやっても良いけどその後は知らんぞ?

 後は自分でなんとかしろよ。


 おっさんはそれで良いと喜んで俺の提案を受け入れて宿を確保出来た事に安心していた。

 なんでもここの所ずっと野宿だったらしいからベッドで寝られる事がことのほか嬉しいみたいだ。

 今迄はベッドで寝られないなんて事が殆どなかったからか野宿は体にきつかったらしい。

 そんな涙を流すほど喜ばんでもいいだろ。

 なんか悲しくなってくるぞ。


  + + + + +


 おっさんが急に押し掛けてくるというハプニングは有ったが休養期間も残すところ後数日のみとなっている。

 おっさんも宿での休養が効いたのか直ぐに元気になって魔獣狩りに出掛けて行っては金を稼いでいた。

 仲間の皆ももう特にやる事も無くなったのか早く旅を再開したいみたいだ。

 俺ももう体の疲れも取れたので元気一杯だ。

 旅の準備もヘルが完璧に用意してくれているのでいつでも出発できる。


 だが俺達が出発するとおっさんは自分で宿を取らないといけなくなるので出来るだけ延ばしてやっているという感じだ。

 まあおっさんも立派な大人なんだから後は自己責任だと言えばそうなんだけど武闘大会で俺が完膚無きまでに倒してしまったというのが原因だったから気が引けてね。

 皆も俺がやり過ぎたというのが分かっているからかあんまり文句も出てこない。

 でももう予定の二週間が経つので宿の契約も切れるから出ないと不味くなってきた。

 その事を今日はおっさんに話そうと朝食の時に声を掛けた。


「おい、おっさん。

 俺達はそろそろ出発しようと思うがもう金は溜まったのか?

 後は自分で宿に泊まれるくらいにはなってるんだよな? 」


「おう! 今までありがとうよ!

 お陰でなんとかやって行けるくらいは溜まったぜ!

 そう言えば聞いていなかったがお前達はどこに向かってるんだ?

 やっぱり自国に帰るのか? 」


「うん? そう言えば言ってなかったか?

 俺達は一旦この国の最南端の港町まで見に行くつもりだ。

 それからまた北上して国境の街を通って帰る予定だな。

 なんだ? なんか有るのか? 」


「いやな。俺が聞いた話によると今は港町は景気が悪くなってるみたいで行っても大して面白くないかもしれんぞ。」


「へえ、そうなのか。なんで景気が悪くなったんだ?

 理由は分かってるのか? 」


「オイオイ。情報は常に集めて置けよ。

 まあ今回は恩が有るからタダで教えてやるがな。

 なんでも去年から海賊が頻繁に出るようになって海路が使い難くなっているというのが原因だな。」


 なんだと?!

 まだ国は去年のビジターナの事件の時の海賊を討伐出来ていないのか?!

 ヘル! 状況はどうなってるんだ?!


『はい、マスター。

 政府は国内の不穏分子の方を先に始末を付けようとしたようですが地方の貴族があまり協力的では無くて遅々として進んでいないみたいです。

 結果的に海賊の方は後回しになっていて手付かずの状態ですね。

 元々我が国は海路を重要視していなかったのも有ると思いますが。

 マスター。ここはロック・ザフリーダムの出番じゃないですか?

 本部も期待していますよ! 』


 えぇ~? ここで俺達に解決を押し付けるのかよ。

 本部は言うだけだから良いけどやる方の俺達は大変なんだけども。

 まあやるのは大体ヘルなんだけど危険度で言えば俺達生身の人間の方が高いだろ。

 そもそも隣国の港町の事なんだからそんなに向きにならなくてもいいだろうと思ったが良く考えるとこの国も新しく管轄範囲に入った事を思い出した。

 なんだ、それでか。凄く納得した。


 新しく管理対象に入った地域からの陳情を早速無視したらそりゃ不味いだろうな。

 はぁ。まあ何が出来るか分からないが取り敢えず行ってみてから考えるか。

 おっさんは俺が考え込んでいるような態度を取っていたので今後はこの街と国境の街の間を行ったり来たりするつもりだと言い置いて離れて行った。

 おっさんが出て行ったので俺は皆が集まっているついでに海賊に対処する事になるかもしれない事を伝えて置いた。

 案の定一部の戦闘民族の方達の血圧が爆上がりして早速今から出発だとか戯言をほざいていたが全て無視して置いたのは言うまでもない。


  + + + + +


 あれから程なくして街を出発した俺達は港町へと続く街道をのんびりと進んでいる。

 街道は景気が悪くなった影響か人通りは今までと比べても少なくなっているのが分かる。

 結果的に盗賊の被害は減って魔獣の襲撃が増えているようで一部の人達には好評である。

 魔獣相手なら放っておいても特に問題にはならないので俺は色々考え事をしたり魔石で何かを作ったりとかしている。

 これも港町に着くまでだと思うと貴重な時間だな。


 そう言えばこの国の西側には行けなくなっている事を以前不思議に思っていた件だがこの国の総合ネットワークを組み入れた事で理由が判明したのでここで説明しておくか。

 大昔の大災害が起きた時に今のこの国の領地より西側は海水面が上昇して海の底に沈んでしまっていたらしい。

 それから何百年か経って漸く海の水位が下がって来た時に西の地域は湿地帯となっていた。

 暫く(と言っても何百年かだが)海の底に沈んでいたとはいってもそこは以前人が住んで居た所なのだからまだまだ使えそうな物や物資が大量に残っていてそれを漁るのが仕事にもなっていた。

 そんな時に事件が起こった。


 ある建物の残骸を調査(物色)していた時に有毒物質を大量に流出してしまったらしい。

 その有毒物質は液体で無色透明だが凶悪な毒性を持っておりちょっと触っただけでも人体に影響が出るという物だった為に湿地帯の水が汚染されているのかどうか判別できずに結果的に大量の被害者を出したらしい。

 その有毒物質が現在もまだ存在しているようで国は立ち入りを禁止しているとの事だった。

 なんで有毒物質が有る事を秘密にしているのかと言うと風評被害が怖いという事らしい。

 同じ国の中に汚染地帯があると分かればその国で取れた食べ物も汚染されていると思われ兼ねない。


 しかもこの国は食糧くらいしか生産出来る物が無いのだから死活問題だ。

 それにこれは更に極秘情報だがその有毒物質を流出したのが当時の王族らしいというのがある。

 当時物資を漁るのは権力者だけの特権だったみたいで王族が率先して行っていた様だ。

 まあ事故を起こした本人は直ぐに死んでしまったらしいが近くにいた現在の王の直系の先祖にも影響が有ったらしく今でも子供が出来にくいのはその所為だと思われている。

(成る程なぁ。アホ毛姫と兄王子しか王の子供がいないというのはなんだか変だなあと思っていたんだ。)


 まあそう言う事らしい。

 でもなあ。水は高いところから低いところへと流れるものなんだから川の水が逆流することなんか津波の時位しかないだろ?

 そういう事をちゃんと説明すれば良いと思うんだがなあ。

 まあちゃんと西の地域には行けないようにしていて今のところ問題にはなってないようだから良いか。

 変に情報が漏洩して化学兵器とかに転用されてもなんだしな。


 そういえば例の地下トンネルはまだ先が有ったんだけど一番先では海の下にも通っていてもしかすると海水とかが浸水していないかもしれないな。

 そのまま他の国に繋がっているかいつか確認してみたいもんだ。


  + + + + +


 そんなどうでも良い事なんかをつらつらと考えていたらそろそろ港町に着きそうだ。

 到着した町の入り口の門には人の姿は少なくて閑散としていて海賊の出没による影響が大きい事が窺えた。

 こりゃできるだけ早く解決した方が良さそうだなあ。

 でもなあ。ここで総合ネットワークの方から来ましたなんて言って変に期待させてから失敗でもしたら信用失墜で目も当てられないしなあ。

 まあここは無難に一傭兵部隊の体で事に当たった方が良いだろう。


 上手く海賊を討伐出来たらその時に身分を明かせばいいよな。

 ヨシ! 方針を決めたからにはドンドン進めていくぞ!

 まずは情報収集だな。

 どこかに宿でも取ってそこの従業員から話でも聞こう。

 取り敢えず今日は休んで疲れを取って明日からだな。うん。





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