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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第七章  異世界戦闘倶楽部の物語

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03-07-09 国王をぶっ飛ばせ!

 商談の場に国王が乱入してきた!

 そしてあろうことか俺達を人質にして杖を手に入れようという爆弾発言を炸裂させた!

 俺達は一体どうなるのか?!

 乞うご期待!

 冗談は置いといてホントどうするよ、これ。


 国王の商談への乱入に続いて近衛らしき集団もドッと応接室に入ってきた。

 アッという間に俺達が座っていたソファーを取り囲まれてヘルも俺の事を守る為か俺の真後ろに移動してきた。

 サーラは驚いて涙目になりながら俺に縋り付いている。

 俺はそれを見て急激に怒りが湧いてきた。

 良くもサーラを怯えさせてくれたな。この糞国王が!


 俺の怒りが伝わったのかヘルが臨戦態勢に移行したらしくキュイーーンという音が後ろから聞こえてきた。

 俺も手に持っている杖に力が入っていくのが分かる。

 俺たちの表情を見た王子とアホ毛姫が自らの危険を察知したのか国王を止めるべく声を上げた。


「父上! いえ国王! なんですかいきなり!

 私達が調子よく商談を済ませようとしていたのになぜ口を挟むんですか! 」


「そうです! そんなに私が付いて行くのが気に入らないんですか?!

 もういい加減子離れしてください!

 父上の事を嫌いになりますよ! 」


「なっ?! ティアちゃん、そんな事を言わないでおくれ!

 儂はティアちゃんの事を心配して言ってるんだよ!

 それにドゥバ! こいつらはお前との約束を守るつもり等これっぽっちも無いのが分からんのか!

 隣の部屋で見ていた儂でもこいつの考え等丸分かりだったぞ! 」


 オウ、シット。国王が親馬鹿を炸裂させた所為でこの場に乱入して来たのかと思ったら痛い所を突いてきたな。

 確かに俺はさっきまでそうしようと思っていたから言い訳も出来んね。

 国王も親馬鹿は置いといても俺の考えを看破してくるとは言ってはなんだが驚きだ。

 もっと腑抜けか昼行燈のような奴かと思っていたが一応は一国の王といったところかね。

 でもそれを俺の前で言っちゃあ意味がないんじゃね?


 それに隣の部屋で盗み聞きする位なら最初から商談に参加しろよ。

 あれか? 庶民と直に商談するなんて王の威厳がどうのこうのといった所かね。

 でも現在その場に乱入しているんだからそんなの意味ないよね。


「えっ?! そうなんですか? ザフリーダムさん? 」


 俺は肩を窄めてさあどうでしょうといった風を演じておいた。

 これでなにか言い訳を言ってもどちらにも取られてしまって意味がないからな。

 うん? 分からんか?

 つまり違うと言えば嘘をつくなとなり本当だと言えばその通りだよね。

 従って彼等の信じた方向にしか話は進まないということだ。


 やだねえ。他人を信じられない世の中なんて。

 まあそれはその人の人生の鏡であって生き方の集大成なんだから甘んじて受け入れよう。

 だけれども他人を拘束して物事を力技で決着を付けようなんて言うのは到底受け入れる事は出来ないぞ。

 もっと穏便な方法で誤魔化そうと思っていたがもう腹を決めて掛かるか。

 そう決断してヘルに強行突破を仕掛けることを告げようとしたら思わぬ方向から事態が急に変化した。


『マスター。私達の勝ちです。』


 うん? 何がだ? 絶賛一触即発危機一髪状態でまだ勝ってないと思うんだが?


『たった今総合ネットワークの本部との通信が回復しました。

 そしてこの国の総合ネットワークとの主導権争いにも勝利いたしました。

 我等の本部の勝利に寄って彼等の権限は相対的に二階級降格したものと同じで私達の方が実質的に上になりましたので総合ネットワークを経由して如何様にでも命令出来ます。

 彼等の権限を剥奪する事も可能ですがどうしますか?

 まあ現在国王である事は変えられませんが。』


 急にヘルが勝った勝ったと言うからなんの事かと思ったら総合ネットワークが復旧して懸念していたどちらが上位の存在になるのかというのに決着が付いたようだ。

 どうにか我が国にある総合ネットワークの本部が上位になったようでそれに伴って俺達特別監察官の権限もこの国で通用するようになったと言う事だな。

 それじゃあ早速それを堪能しますかね。


「ちょっと良いですか?

 この場にいる皆さん。

 総合ネットワークが復旧したようですので一度現状を確認した方が良いですよ。

 なにか変化が起こっているかもしれないですから。」


「なにっ?! 貴様なぜその事を知っている?! 」


「父上! それよりも確認してください!

 飛んでもない事になってますよ! 」


「えっ? やっぱりザフリーダムさんは管理者だったんですか? 」


 相手側が騒然とする中サーラだけがなんの事かと首を傾げている。

 国王と王子は次第に事の重大さに気が付いたのか顔を青くさせている。

 アホ毛姫は元々管理者ランクが低かったからかどうでも良いといった感じだがそれより俺のことに感心があるみたいだ。


「さて。どうやら確認が取れたようですね。」


「ふん! 総合ネットワーク同士での権力争いが我々になんの関係がある!

 お前も管理者の端くれなのかもしれんがどう考えても直接の管理者である儂にランクが勝っている訳ではあるまい! 」


「そうですかね?

 ではこの身分証を見てください。」


 俺がそう言って特別監察官の身分証のカードを出してテーブルに置くと若い二人は即座に見てきたのに国王は横を向いて見ようとはしなかった。

 やるなあ、この国王。

 見てない物は存在していないのと同じだということが良く分かっている。

 国王の首を捻って無理矢理カードを見せるなんて事は出来ないので仕方なく王子達を相手に話を進めよう。

 話が進めば国王も口を出してくるだろう。


「見て貰って分かったと思いますが私は隣国のオウディーエンス王国で総合ネットワークの直下にある役職の特別監察官を拝命しております。

 これは表向きには国王よりも下の役職となっておりますが実質的には同格の存在です。

 この役職は世襲制では無く一代限りの物ですので政治的混乱を起こさない為にその辺の事は秘密にされております。

 そちらでも総合ネットワークで確認して貰えば詳しく教えて貰えるでしょう。

 そう言えばさっき迄総合ネットワークが使えなくなっていたという問題は我が国と貴国の総合ネットワークで主導権争いをしていた所為で起こっていました。

 そしてお分りの様に私達の国の方が勝利したようですので必然的に貴方達は私達の下に位置する存在になりました。

 ですので今後は私達の指示に従って貰います。

 でなければ管理者の資格無しとしてこちらも即座に対処させてもらいます。

 国王、お分かりいただけましたか? 」


「ふん! 儂はそんな事には応じられんぞ!

 今更管理者ランクを下げられようが一向に構わん!

 それに国王を辞めるつもりも更々ない! 」


「え? ちょっと思い違いをしておられるようですね。

 別に私は国王を辞めて欲しい等とは欠片も思っていませんよ。

 ああ。そうなるような事を今迄に行って来ていたという事ですか。」


「ええっ?! そうなんですか、父上?! 」


「最低です! 見損ないました!

 もう口も聞いてあげません! 」


「違うんじゃ! ティアちゃん!

 国王としてはそうするより仕方なかったんじゃ!

 分かっておくれ! 」


「ああ。大丈夫ですよ。

 別に今迄の事に関してどうこう言うつもりは有りません。

 別の国での事ですので。

 ですが今後はそうは行かなくなりましたのでその辺の細かい事はヘルプで確認してください。

 ああ。管理者を剥奪されるとヘルプも削除されるのでその事を良くお考えくださいね、国王様。」


「な、なんだと?! そんな事は聞いていないぞ! 」


 ああ、やっぱりね。国王が管理者を剥奪される事に対して意に関していなかった事からそんな事じゃないかと思っていたらその通りだったようだ。

 詰まりこのおっさんは今迄の人生を全てヘルプ頼りで生きてきたという事なんだろう。

 ヘルプさえいればどうにかなると思っていたんだろうな。

 俺も五歳の時にヘルがちゃんとサポートに付いていてくれていたらヘルに依存していただろう事は疑う余地もない。

 急におたおたし出した国王を見て王子達も自分にも関係がある事だと気が付いたのかゴクリと唾を飲んだ。


「ロックさん! アンが居なくなってしまうんですか?! 」


「はい? ああ、国王様が剥奪されても姫様達には直接的には関係が有りませんよ。

 ただヘルプを通した通信とかが出来なくなるかもしれませんね。」


「はぁ~。良かったぁ~。

 別に父上とは話せなくてもどうでも良いですから。

 でもアンと別れるような事は我慢できなかったので最悪父上を誅しようかと思いましたわ。」


「ちょ、ちょっとティアちゃん?!

 そこ迄儂の事はどうでも良いのかい?! 」


「はい! どうでも良いです! 」


 アホ毛姫がアホな事を元気良く発言している横で王子が考え事をしている様な顔で黙っている。

 ああ、これはヘルプとなにやら相談事をしている最中だな。

 しばらく国王とアホ毛姫の漫才が披露されていたら王子がおもむろに立ち上がって大声を発した。


「ここに近衛騎士団長はいるか! 」


「ハッ! ここにおりますっ! 」


 近衛達の中から王子とそう歳が変わらない男が前に出て来た。

 この若さで騎士団長か。ということは実力が高いんだろうな。


「よし! ならば国王がご乱心だ!

 至急静養して貰わなくてはならん!

 取り敢えず離れの塔の部屋に移って貰え! 」


 王子が騎士団長をジッと見つめると彼は目だけで頷いて返事をした。


「ハッ! 分かりました!

 国王! 大人しくこちらに来てください! 」


「な、なんだ急に?!

 儂を一体どうするつもりだ?! 」


「どうもしませんよ。

 国王も長年の執務で疲れてきたようですのでここらでお休みを取ってもいいでしょう。

 取り敢えず離れでお休みください。」


「わしはまだ疲れてなどおらん!

 放せ! 放さんか! ドゥバァーーッカスッ!

 覚えて置けよーっ! …………。」


 喚く国王が数人の騎士に連れて行かれた。

 急にクーデターが起きて政権交代が行われたのを見せつけられたが特に問題にもならなかったようだ。

 こりゃ前から切っ掛けを待ってたのかもしれんな。

 王子は特に流血沙汰にもならなかったので安堵しているようで胸を撫で下ろしていた。

 そしてソファーに深く座り直してこちらに向くと改めて話し始めた。


「ロックさん。商談を再開させるに当たって色々と前提が変わった様ですのでここで腹を割って全てを話しませんか?

 どうでしょうか。」


 ああ。この王子、国王を排除した事で腹が座ったのか急に落ち着いた感じになったな。

 こりゃ手強い敵を作ってしまったか。

 まあいい。それでこそ俺との商談が面白くなって言う事無いね。

 それから再開した話し合いは昼を越えて夜になっても休憩を挟んで続けられた。

 サーラももう俺が倒れる心配はないと納得したのか昼飯を食べたら宿に帰っていった。


 こいつ王城の昼飯が食べたくて昼まで待っていたとかじゃないよな?

 まあサーラの事は良い。

 俺は特別監察官だと明かしてしまったのでもう王子達に対して畏まった話し方は止めて普通に話し始めた。

 向こうも気を使った様な態度を辞めて気楽な態度での笑いを交えた商談になった。

 そして色々な事を決定した。


 でももうこれって商談じゃ無くて政策会議っぽくなくね? まあいい。

 それじゃあ決まった事の主な物を紹介しておくか。

 まず元々の問題の杖に関してだが俺がしばらくこの国に滞在して十本程を作って売る事にした。

 材料の魔石は王城の倉庫に唸る程溜まっていたのでそれを思う存分使って立派な物を腰を据えて製作した。

 材料が相手持ちだという事で売値もお察しだったが今後魔石が必要になった時には安く譲ってくれるという取り決めを交わしたのでまあそこ迄損ではないだろう。


 一番重要な俺が杖を作る事が出来るという情報は国家機密扱いにして貰った。

 うちの国からこの国に来る奴も少なくないのでそこから王家に漏れる事が無いようにしないとな。

 杖の追加販売も十年後位から考えて行けば良いだろう。

 そんなに急に使える奴も増えないだろうし。

 後この国に来る時に使った鉄道跡のトンネルの管理も任せる事にした。


 色々な取り決めを総合ネットワークに纏めて貰い両国で人を出し合い有効活用していこうと成った。

 まあそんなに急には始められないが少なくとも数年で結果を出したいと言っていた。

 ああ。後俺にと言うか俺ん家に関する事なんだが国中に配ったバズ達の活躍を載せた小冊子の事をどうにかできないか相談した。

 なんせ俺ん家の個人情報が駄々洩れな状態なのをなんとかして欲しい。

 最低でも個人名をそのまま載せているのは捨て置けない。


 名前を変えた小冊子を新たに配るように要請したが前程国家的に急務な状態では無くなったのでボチボチやって行くという所に落ち着いた。

 そんなんで変わるか! と思ったが困っているのは俺ん家だけだからなあ。

 優先順位が下になるのは仕方ないか。

 武闘大会にも一言有ったんだがそれは魔術師枠でトーナメントを組むか出場停止にして欲しいという事だ。

 今の制度だともし魔術師が出場しても予選を勝ち抜ける事が非常に難しいからだ。


 予選で負けてばかりいると魔術師の地位向上は望めないからな。

 そんな感じでこの国に頼む事は色々あったんだがもう結構長い時間ここに留まってしまっている。

 そろそろ皆の不満も溜まって来ている頃だろう。

 皆に相談して修行の旅に戻る事にしようかねえ。

 この国にも愛着が湧いて来て旅に出るのに躊躇するようになる前に出発するようにしよう。


 さあ、今度はどこに向かっていこうかねえ。





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