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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第七章  異世界戦闘倶楽部の物語

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03-07-08 王城で商談だ!

 俺達は武闘大会優勝記念パーティに無理矢理参加させられていたが俺が体調不良になってしまったのでサーラとベスの三人で早引きして来た。

 体調不良になって寝ていた時になにか重要な情報を夢の中で得たような気がしたが起きて直ぐにその記憶は曖昧になってしまった。

 だが唯一得られた情報の【地元の総合ネットワークに行け】という良く分からない物を得た俺はこれをそのまま放って置く事が出来ないと感じていて取り敢えず一度領地に帰って見ようと決めた。

 だが俺達はフィールデン王国でまだまだやる事が残っているみたいだ。

 その一つが俺の使っていた杖をここの王家に売り払うというものだがパーティの途中で始まろうとしていた商談も俺の体調不良で有耶無耶になってしまった。


 このまま王家との商談を無視しても良いような気もするがまあ特に必要でもない杖の事でごたごたするのも馬鹿らしいので素直に応じる事にした。

 売る気が無いのならば自分のテリトリーでの商談に固執していたんだと思うが今回は売る気満々なので王城に乗り込んで行う事に同意した。

 相手側は俺が売るのを渋ると思っているだろうからある程度値段を吹っ掛けたらそこで突如売るのに同意したらさぞ驚く事だろうな。

 まあ今回はその位で許してやろう。

 なんでそんな風に心変わりしたのかと言えば一重に俺の精神が穏やかなものに変容したのが原因だろうな。


 なぜ変容したのかと言えば体調不良時に見た夢が関係しているのは間違いないだろう。

 普通は夢を見ると大体が悪夢でその後現実で悪い事が起きるものと相場は決まっていると思うがなぜか今回の夢は吉夢だという確信がある。

 夢見が良かったから気分が良いのか気分が良いから良い夢を見れたのかどっちが要因だったのかは分からないがこの際もうどっちでも良いよ。

 まあ兎に角そういう事で俺は今王城に向かっている訳だ。

 お供はいつものヘルとついでにサーラだ。


 サーラが付いてくるなんて珍しいがパーティの時に体調不良になったので王城にその原因があるんじゃないかと変に心配して無理矢理付いてきた形だ。

 そんな心配は要らないよと言ったんだがどうしても付いて来ると言うのでしょうがなくといった所だな。

 向かうに当たって相手側で馬車を寄こしてくれたので俺達は優雅な気持ちで極上の馬車の乗り心地を堪能した。

 今回は前もって王城に行くことが分かっていたので服も自前で用意した。

 服屋に行って服を買うのも久し振りだったが結構品揃えが良かったのは意外だったな。


 なんでわざわざ服を買ったのかというと以前借りた服を駄目にしてしまったので衣装係の人と顔を合わせ辛かったからという情けない理由でだ。

 前の時はサーラ達が服を返しに行ってくれたらしいんだが袖が伸びていたのがばれないように奇麗に畳んでサッと渡して帰って来たので後で絶対に見つかっていて目を付けられているのは間違いないだろう。

 そんな所に顔を出せる勇気は俺にはないしな。

 サーラも服を買ったんだが服というかドレスなんだがそれを買うのに一日付き合わされるなんて思わなかったよ。

 パーティの時に借りたドレスは体形に合わせて着られる物を順番に選んでいたので似合う似合わないは二の次だったらしく本人的に納得出来ていないらしい。


 まあ俺から見てもサーラの格好は田舎者臭が漂っていたからなあ。

 それを鑑みるとお仕着せのドレスで超似合っていたリーナってどんだけだよって感じだよな。

 まあ元から鍛えている身体とそうでは無い者とでは比べるべくも無かったという所だろう。

 サーラは最近お金持ちになったからか間食を多くするようにもなっていたから余計だろうな。

 まあそんな感じでそれなりな体形なサーラに似合う様なドレスを見つける事は容易では無くそれだけ時間が掛かってしまったという事だ。


 でもあれだよな。ふっくら感を誤魔化す為にだろうがやけに胸元を露にしたデザインだよな。

 こんなのを着てサーラは恥ずかしくないんだろうか?

 その辺の事を回り持った言い方で聞いてみると他に良いのがなかったから仕方ないと愚痴っていた。

 俺は身体に服を合わせるんじゃなくて服に合う体にするようにした方がいいと思うよ。

 そうサーラに言うと今度からそうすると言って馬車の窓から外を見る態勢に移行した。


 こりゃ本気でやるような気はないな。

 そんなどうでも良いことを喋っていると王城についたようだ。

 前の時通されたのはパーティ会場のある別館のようだったが今回は中央の本館の応接間というか広い空間だった。

 無駄になにもない空間のある広い部屋の中央辺りにソファーとテーブルがポツンと置いてありなんだか声が響いて居心地が悪そうな感じだ。

 相手側はそれが狙いなんだと思うがそこ迄やらないといけないほど追い込まれているって事なのかねえ。


 案内してくれた人にソファーに座って待っているように言われて大人しく待っていることにした。

 付いてきたサーラはやっぱりやめて置けば良かったと後悔しているようで俺の隣にちょこんと小さくなりながら座っていた。

 侍女の人に寄ってテーブルにはお菓子とお茶が用意されたのでサーラにも進めてみたが緊張して喉を通らないからいらないそうだ。

 俺はそんな事は無いのでお菓子とお茶を堪能したが結構美味かった。

 やっぱり王族はいつも良い物を食っているんだなあ。


 変な所に感心していると遂に商談相手がやってきた。

 相手は前の時と同じで若い男とアホ毛姫だった。

 男の名前はネームプレートをチラ見した感じだと【ドゥバッカス・フィールデン】というらしいな。

 という事はアホ毛姫の兄って所かね。

 ああ、前会った時にアホ毛姫がそう言ってたのをすっかり忘れていたよ。


 そしてこいつ等兄妹揃って名は体を表すというのを実践しているのか兄貴の方も名前でバカと宣伝している。

 というかこの国の奴等は名前を付けるのにセンスがない奴ばっかりなのか?

 この国で知り合った奴で名前の事で引っかからなかった奴は今の所いないよな。

 まあ名前の事で笑うとヘルが怒るのでここはまた我慢のしどころだな。

 俺は口の端を引き攣らせながら二人に挨拶を行った。


 サーラも俺に合わせて頭を下げていたが口は動いてなかったな。

 相手も挨拶を返してきたが口調から前の時の性格とは変わってない様だ。

 兄はなよっとした優柔不断っぽく見えて妹はきつい性格の様だ。

 兄の方は知らないが俺の知っているアホ毛姫はもっと明るい大らかな性格だった筈なんだがな。

 やっぱりヘルの言うように管理者に付いているヘルプが代理で体を動かしているんだろうか。


 初めて聞いた時は狡いと感じたんだが良く考えてみると常時ヘルプに代理で対応して貰っているといざ自分で対応しようと思っても経験が自分の物になっていないので上手く対処が出来ないんじゃないか?

 そして段々とヘルプに頼る頻度が増えていき終いには自分が表に出ることはなくなってしまうという落ちになる感じか。

 そう言えばパーティで挨拶していた国王が無難な感じだったのはもしかしてヘルプに頼って喋っていたのかもしれんな。

 そりゃ国王もいい人に思われる筈だよな。

 ヘルプに頼るのはここの王家の伝統なのかもしれん。


 それが国を上手く運営する秘訣とかだったりしたらアホ毛姫達を悪く言う事は出来んよな。

 現に上手く行っているようだし。

 商談に関係ないことに考えが行っている最中にも話が始まっていて今は当たり障りの無い事を言い合っているがそろそろ本題に入ろうかね。


「それで前回に途中で終わってしまった話の続きをそろそろ進めて欲しいんですがどんな用件でしょう? 」


「はい。それでは本題に入りましょうか。

 実はザフリーダムさんの持っている杖に関して色々聞きたいんですが宜しいですか? 」


「ええ、良いですよ。

 答えられる事ならなんでもお答えいたしますよ。」


「良いお返事が貰えて嬉しい限りですね。

 それでは始めましょうか。

 先ずその杖はどこで手に入れたものなんでしょうか? 」


「この杖は私の知っている者がかのパンロック・ロリングストンの杖を真似て漸く作ったものです。

 作った彼でさえこんなに良く出来るとは思っていなかったようで出来には凄く満足している様でした。」


「えっ?! 現在生きている人が作った杖なんですか?!

 どこかの家から放出されたとかではなく?! 」


「ええ、そうですよ。

 ここだけの話ですが彼はロリングストンの家の者で先祖の杖を研究して漸く作った杖を修行の旅に出る私に使い勝手を試してくれと渡して来たんです。」


「なるほど。それであの様な凄い魔法を使用出来たんですね。」


 アホ毛姫が横から感想を突っ込んできた。

 武闘会場で話した気さくな話し方でないのでまるで別人のように感じて残念に思う。

 こんな歳から王家の仕事に駆り出されて満足に遊べもしないなんてとても不憫だよな。

 彼女を可哀そうな目で見てしまった事を本人に気づかれて首を傾げられた。

 これは本人なのかヘルプなのかどっちの反応なんだろうか。


「まあそれも有りますが私自身の実力でもあると自負しております。」


「あっ、これは失礼なことを申しましたわ。

 謝罪いたします。」


「いえ。それには及びません。

 どちらもが有ってこその結果ですから。」


「こほん。私は武闘大会を見られなかったんですがそんなに目を見張るような魔法だったんですか? 」


「ええ、お兄様。魔法使いはザフリーダム様だけが出場していたので他の人と比べる事は出来ませんでしたが彼がその気なら優勝は確実でしたでしょう。

 なぜ最後まで本気を出さなかったんでしょうか?

 教えていただけますか? 」


「ハハハ。会場でも言いましたが魔法の威力が強すぎて上手く使わないと相手を殺してしまい兼ねませんでしたので途中で棄権というか敗退することにしたんですよ。

 元々最初は出場する気もなかったので勝敗については頓着していなかったのも有ります。」


「ああ。ビッグ・ワンダーさんとの確執とかが有ったと聞いていますがパーティではそんなにギスギスした感じでは無かったように見えましたが? 」


「戦う前はそうでしたが一度戦えばお互いを讃え合い試合中の事は忘れる事が出来る素晴らしい男でした。

 パーティ前の控室で話をしたら思ったより気が合って話が盛り上がってしまいましたね。」


「へえ。彼も負けて学ぶ事が有ったんでしょうか。

 以前とは変わったようですね。

 それと杖の威力が強すぎて殺してしまう事を心配しなければならなかったとは驚きです。

 我が王家にそれに値する杖とか魔道具は有りましたでしょうか。」


「残念ながら有りませんですわ、お兄様。」


「そうなのかい?

 羨ましいことだね、ザフリーダムさんは。

 私たちにもそのような杖を手に入れる事は可能なんだろうか?

 どうだろう、ザフリーダムさん。」


「この国には元々杖は余りないんですか?

 オウディーエンス王国にはそれなりに杖があるようでしたが。」


「ええ。杖以外の魔道具は多く輸出されて来ているんですが一番欲しい杖は規制の対象となってしまっていてこちらには滅多に来ないんですよ。」


「ちょっとお聞きしたいんですが杖を手に入れてどうされるおつもりなんでしょうか?

 この国には魔獣に対しての戦力としてハンターで強い人が大勢いるようなのに杖が一本増えたとしても余り変わらないんじゃないですか? 」


 ちょっと突っ込まれたくない所を突いてみるか。

 さてどう返してくるかな。


「ここだけの話にして貰いたいんですが杖には色々な使い方があるんですよ。

 魔法という武力方面の使い方は一部でしか有りません。

 どんな使い方かというのは王家の秘密ですので明かせませんが。」


 オイオイ、ぶっちゃけて来たな。

 俺が知らないと思ってるんだな。甘いなあ。


「えっ? そんな事を私に話してしまっても良いんですか? 」


「ええ。この際杖の入手方法を教えて頂く為には出来るだけ隠し事をせずに信用していただいた方が良いと判断いたしました。

 どうでしょう。我々に教えて頂くかなんとか伝手を頼めませんか? 」


「そうですか。分かりました。

 私はこの杖を売ってくれと言われる物だと思っていましたが違うんですね。」


「最初はそう思っていましたが杖を作れる人がいると聞いてはそれは二の次です。

 お願いします。仲介料も弾みますので。」


「私としては教える事はやぶさかでは無いんですがなにしろ相手がある事なので確認してからにしたいんですがそれではだめですか? 」


「うーん。そうなると確実性が低くなってしまいますよね。

 誰か我々の信頼できる人をザフリーダムさんに付いて行かせても宜しいですか? 」


「ええと、一応この後の予定では地元に一度帰る予定でしたのでそれに付いて来られるのであれば問題は無いんですがそれで良いでしょうか。」


「はい! それでお願いします!

 それでは早速人選を急ぎますので数日お待ちいただけますか? 」


「お兄様! 是非その御役目に私も加えて下さい! 」


「えっ?! ティアフォーラが立候補するのかい?

 でも父上がお許し下さるか分からないよ?

 余り時間も掛けられないし今回は諦めた方が良くないかな。」


「大丈夫! 私が自分でお許しを貰うから!

 だからお願い! 私を加えて! 」


 アホ毛姫が急に話し方を変えて自分の希望を兄王子に頼み始めた。

 見た感じ本来の自分の言葉で喋っているようなので本当の希望なのだろう。

 参ったな。なんか理由を付けて断るか同行者を途中で撒こうかと思っていたんだけどアホ毛姫が来る事になるとは考えていなかった。

 彼女を撒いたらきっと悲しむだろうなと考えたらそんな事は俺には出来そうもない。

 もう俺が杖を作ったとバラしてしまおうかと思った時に部屋の扉が勢いよく開かれて国王がずかずかと入ってきた。


「そんな必要など無い!

 そいつらを人質に取ってしまえば済む事だ! 」


 オイオイ、飛んでも無い事を言いだしたぞ?!

 この馬鹿国王?!





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