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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第五章  オウディーエンス王国の物語

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03-05-04 オウディーエンス王国の災難

 続けてヘルから姉さんのスキルに関する話を聞いている。

 姉さんの持つスキルの詳細が王家にばれると最悪は使い潰される可能性があるとヘルは考えているようだがどういう風になると思っているんだ?

 やっぱり他国との折衝とかの時に利用されるんだろうな。

 だったらそんなに頻繁に使われるんじゃないんだし別に良いんじゃないか?


『いえ。そういう事じゃないんです。

 このスキルで使っている香りという手段は毒という訳じゃないんです。

 つまり普通は毒を盛られる事を警戒しているんですがこの香りという物はそれに当て嵌まらないので警戒をすり抜けてしまうんです。

 これをやられた相手はなにも感じる事なくいつの間にか相手の言うなりにさせられてしまいます。

 そしてこれは毒ではないので解毒という行為では絶対に回復しません。

 暗示を解くという手段でしか対処できないんです。』


 うわー。こんなやられたって事が分からないなんてものは防ぎようがないんじゃないか?

 それになんか副作用とかはないのか?


『どうなんでしょう? 確認した事が無いみたいなので分かりませんね。

 マスターはなにか変わったところは感じませんか? 』


 えっ? ナニナニ? どういう事?

 俺ってもうそれやられてるって事?


『えっ? ここ迄話してまだ気が付いてなかったんですか?

 マスターにも分からないというのは凄い効果ですね。

 マスター。先日実家に帰った時のことをよく思い出してください。』


 えっ。

 …………。

 あっ! あれかっ?!

 ジャンピング土下座をした時の事か?!

 いま言われてみればそうとしか思えないな。

 あれが姉さんたちのスキルの威力なのか。

 確かに訳も分からずジャンピング土下座をしていてその事を全然不思議に思わなかったな。

 ただ二人の怒りによって起きた事だと思っていた。

 それに今その事を思い出そうとした時に変に記憶が曖昧になってなぜか直ぐに思い出せなかったぞ。


『あの時は既に二人は閉じられた部屋の中で準備万端で待っていたので部屋中に香りが充満している状態でした。

 ですのでマスターたちが部屋に入った瞬間に香りを吸ってしまって瞬時に操られていたという事ですね。』


 そうか。そうだったのか。

 あの時に限らずいつもママンや姉さんにいい様にやられていたのはその所為だったんだな。


『いえ。それはマスターの女性に弱いという元々の性格のせいですね。』


 ええ~? そんな事ないだろ~?


『いえ。あります。』


『あるあるー。』


 ま、まあ今はその事は置いておこう。

 それでその事がどう関係しているんだ?


『はい。つまり使い勝手が良過ぎるんです。

 こんな痕跡の残らない良い手段を知っていたら絶対に段々使う頻度が上がっていって最後は王でさえも操ろうと考える者が出てくるでしょう。

 まあ普通はそこ迄行く前にスキルを持つ者を消しにかかる者が出るでしょうね。』


 なるほどね。つまりスキルがばれると結果的に姉さんの命が危なくなるってことだな。

 ヘルの言いたい事は分かったがさてどう対処するかということか。

 うーん。こういうのはどうだ?


 あらかじめスキルの事を大っぴらに公開するんだよ。

 そしてそんなに大した事が出来ないスキルだって事を皆に知ってもらうんだ。

 ちょっと気分が良くなる程度に効果を抑えてね。

 そうすれば香学士の事を詳しく調べようとは思わなくなるんじゃないか?

 ついでにその公開時にスキルの事に興味をなくすように暗示を掛けてもいいだろう。

 どうだ? こんな案は?


『そうですね。結構良さそうですのでその方向で詰めていきましょう。

 マスター。ありがとうございます。』


 馬鹿言うな。うちの姉さんの事なんだから当たり前のことだよ。

 そんなんで礼を言われたらこっちが困るよ。


『うふふ。それでもですよ。マスター。』


  + + + + +


 今回の旅は出がけに姉さんの結婚の事があった以外は順調でもう直ぐ国の北の国境近くの街に到着するところまでやって来ていた。

 もう春の日差しが差してきていて気温も暖かくなってきている。

 魔獣も冬眠から目覚めたのか大型の奴が山から降りてきていて人に目撃されることも多くなってきた。

 そこで俺たちはしばらくこの街に滞在して魔獣狩りに精を出す事にした。


 今回は俺も魔石の確保のために魔獣狩りに参加することにした。

 しばらく魔石を取ってなくて出ていくばかりだったからな。

 とはいってもガッシュたちと一緒にということではなくてヘルと二人(いやヘルツーも入れると三人か)での事だ。

 まあ俺たちとガッシュたちとでは戦闘する距離が全然違うから当然だな。


 ガッシュたちは早速近くの森に出かけていったので俺たちは山の方に向かうことにした。

 山に着いたら少し登って視界を確保できる場所に陣取って周囲をヘル達に警戒してもらってから久しぶりに俺のメインウエポンのレーザーライフルを取り出して構えた。

 メインウエポンなのに久し振りに使うって一体どういう事なんだろうね。


 まあ俺が戦うような状況になったんだとしたらその時は皆が危険になっているということなのでそうじゃないのなら良いことなんだろうね。

 少し高いところに登ったので周りの景色が良く見えていい気分だ。

 空気も美味いしすがすがしい気持ちになる。

 こんな日は普通は昼寝でもした方がいいと思うんだが魔石を集めなくてはならないなんて世知辛い世の中だねえ。


 まあ嘆いていても仕方ないので俺も頑張って魔獣を倒しますかねえ。

 レーザーライフルを撃つ練習もして置かないといざという時に咄嗟に動けないんじゃあ困るしね。

 ヘルツーに周囲を索敵してもらって周辺のマップをAR表示で出してもらって見てみると魔獣が結構な数動き出していることが分かった。


 おいおい、これやけに数が多くないか?

 いつもの春先もこんなもんなのか?

 まさかまた魔獣を使った事件とかじゃないだろうな?

 あんなのに関わるのはもう嫌だぞ。

 それにここはうちの領地でもないので好きに動けないだろうしな。

 こりゃ事が街の連中に発覚する前に処理してしまうに限るな。


 ヘル。そういう事だから二手に別れて出来るだけ殲滅しよう。

 ヘルツー。俺の周りの警戒を頼むな。


『はい。分かりました。マスター。』


『警戒は私に任せてねー! 』


 そんな訳で思わず魔獣の大量殺戮をする事になってしまった。

 まあ俺のする事は大した事ではないんだから良いんだが森に行ったガッシュたちは大丈夫か?

 しまったなあ。こういう時の為に携帯っぽいのを作っておこうと思っていたのに忘れていた。

 あっ。そうだ。ヘルは皆と連絡が取れるんじゃなかったか?


『はい。出来ますよ。

 じゃあこの事を伝えておきますね。

 後なにか他にありますか? 』


 特になにもないな。じゃあよろしくな。

 だがこりゃそんなに簡単に済むような話じゃないんじゃないか?

 まあ俺たちは俺たちに出来ることをするしかないな。

 そんな訳で俺たちは更にこの街に続けて滞在することになってしまった。


  ~ ~ ~ ~ ~


「なんか最近巷では魔獣の出没が相次いでいるんだって?

 嫌だねえ。物騒なことはお断りだよ。

 これって去年の件とは関係ないのか? 」


「関係あると言えばあるし関係ないと言えばないといった状況ですねえ。」


「なんだよそれ。それで結局どっちなんだよ? 」


「去年の魔獣騒動の所為で一年間魔獣たちの動きが活発になっていましたのでそれが続いているんだとしたら関係があると言えましょう。

 ですがそんな事は確認のしようがありませんので確かなことは言えません。

 ですからどっちとも言えるという状況なんですよ。」


「へえ。なるほどな。

 それでお前の私的見解はどうなんだ? 」


「自分が思うにこれは別の原因があるように見えますね。

 こんなに国中に変化が起きるということが一つの地域から始まった事の影響でなどとは到底思えません。

 誰か魔獣の事に詳しい者に話を聞いた方が良いかもしれませんね。」


「そんな奴の知り合いでもいるのか? 」


「いえ。知りません。

 早速調べないといけませんね。

 また私が抱える案件が増えましたねえ。

 がっかりです。」


「まあそういうもんだろう。

 引き続き頑張ってくれとしか言えんな。

 ところでお前の結婚の方の話はどうなってるんだ?

 もう一か月も経ったんだからなにか進展でもあったのか? 」


「いえ。特に進んでませんね。

 今は彼女の両親が王都にくるのを待っているところです。

 まだ後一月は掛かるんじゃないですかね。

 はあ。待ち遠しいです。」


  ~ ~ ~ ~ ~


 魔獣殲滅徹底強化週間ももう二週間目にもなる。

 やっとこの地域の魔獣の総数が平常時の状態まで落ち着いてきたようだ。

 俺たちがここ迄やってやっとこの状況なんだから他の地域ではまだまだ魔獣の被害が出続けているだろう。

 政府はちゃんとこの事態が分かっているんだろうな。

 そうでないとこの事態の収束は当分先になるだろう。


 まあヘルが総合ネットワークに情報を随時上げているそうなのでそんな事は無いだろうがね。大丈夫だよな?

 もうこの地域で俺たちに出来ることは大体終わってガッシュたちも暇になってきたので旅を再開することにした。

 今度の行く先はここから西に国境沿いに移動しながらの魔獣狩りが主目的になりそうだ。

 またゆっくりのんびり出来たら良いなあ。

 まあこの調子なら多分大丈夫だろう。


  + + + + +


 西に移動を始めてからもう二週間が経つが魔獣の襲撃が多くて移動距離が全然伸びてない。

 これは左回りで国を一周するというのは凄く時間がかかりそうだ。

 このまま素直に予定通りにしたら何年か掛かってしまっても全然不思議じゃない。


 うーん。こりゃ駄目だな。ここまでのんびり旅をしていたら姉さんの結婚式にも出られないだろう。

 やっぱり旅の仕方を変える必要があるな。

 これからは王都をハブにして王都と目的地を往復するという旅の仕方しかないだろう。

 魔獣の数が減って落ち着くまではそうするとしよう。


 俺たちは一度王都に帰ることにしたんだけどガッシュたちがなんか難色を示してきた。

 王都に帰ると結婚させられてしまうかもしれないんだからまあ当然か。

 しかしあれだな。

 結婚をしたい人もいれば結婚をしたくない人もいるなんてこの世の中にはまだまだ不条理な事があるもんなんだなあ。


 ガッシュたちには爺さんちにまた厄介になれば良いといって説得したらようやく王都に帰ることを承諾してくれた。

 二人とも同じように仲良く俺に文句を言ってくるのを見ると相性は凄く良い感じだしもう観念して結婚したらいいのにとも思うんだがなあ。

 まあ別に無理強いするような事でもないのでゆっくりと愛を育んでいって欲しいもんだな。


  + + + + +


 そんな訳で王都に向かっての旅を始めて二週間程が経った。

 もう王都の近くまで来たので魔獣の出現も減って順調に馬車は進んでいる。

 皆も大分緊張感をなくしてきて特に警戒もせずにのんびりと会話をしながら歩いている程だ。

 そんな時に久し振りにヘルからの警戒警報が飛んできた。


 こんな王都の近くで魔獣が出るのかと驚いたがそうではなく盗賊の襲撃だという。

 ああ、そういえばそんな事もあったなあ。

 辺境にずっといたので奴らの事はすっかり忘れていたよ。

 奴らも魔獣の脅威がある辺境には出てこないからなあ。


 しかし今のこの国の状況はこれで良いんだろうか。

 辺境には魔獣が出て中央近くには盗賊が出る。

 後は王都になにかあれば国中に問題が起きてるって事になるぞ。

 政府の奴らはなにをしてるんだ?

 職務怠慢で首にするぞ。まあ俺にはできないけども。


 ところで盗賊の処理はどうしようかと皆に相談すると久し振りに対人戦がしたいという。

 おい、そんなに軽く見ていると思わぬ所で足元ををすくわれるぞ。

 まあヘルにサポートしてもらえばどうという事もないだろうがね。


 今回はサーラも戦闘に参加するようだが別に無理しなくてもいいんだよと言ったが自分もやると言って牽制程度にだが頑張っていた。

 戦闘自体はヘル達が遠距離攻撃の人員をあらかじめ潰しておいて後はガッシュとリーナが無双するという感じだった。

 まあいつもの形だよね。


 だけど戦闘が終わった後の死体あさりで思わぬものを見つけることになってしまった。





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