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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第五章  オウディーエンス王国の物語

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03-05-03 オウディーエンス王国の婚活

新しい年になったので心機一転でタイトルに追加してみました。

 姉さんの結婚のことは詳しくはヘルに聞いてくれと言われたので取り敢えず俺たちは旅に出発した。

 皆も姉さんの結婚のことは聞いていなかったのか驚いていた。

 何度も聞くのはヘルも面倒だろうからお昼の休憩の時にでも皆で聞こうとなったのでそのまま馬車を進めた。

 王都の近くの街道は道の状態もよく幅も広いので順調に予定をこなしたので早めに休憩を取ってヘルに話を聞いた。


 姉さんは俺に付いて王都までやって来たがただ寂しかったから付いて来たという訳では無かったようだ。

 今回王都に来たのは姉さんの婚活の為だったと言う。

 ははぁ。なるほどね。そういう事だったのか。

 田舎に引っ込んでいたら結婚したくても相手が見つからなくて結婚しようがないもんね。

 まあ家も一応貴族の一員だからいい加減なところとは縁組できないしな。


 でも好きな奴でもいれば結果は違ったかもしれないが残念な事に姉さんはいわゆる引きこもり体質だったから出会いなど到底望めないしなあ。

 そこで王都での婚活か。

 だから家を出る時にママンと別れを惜しんでいたのか。

 もしかするとこのまま実家に帰ることなく嫁いで行かなければならないかもとか思って。

 なんか二人の別れを見て変な勘繰りをしていた俺は馬鹿みたいで更に失礼なことを考えていたなとも思った。

 ごめんね、ママンと姉さん。


 姉さんは王都に着いてから爺さんにエスコートされる形で小さなパーティとかに出まくったらしい。

 でも今まで王都にいなくてそんな集まりにも出た事が無かった姉さんは勝手が分からず友達もいないので話し相手もいなくて壁の花になることが多かったようだ。

 そんな時に一人の男性が話し掛けに来てくれた。


 その男性はなんと王太子が爺さんちに来たときに彼の従者をしていた者の一人だったようだ。

 彼は王太子の従者をしているくらいだからもちろん貴族で一応王族の範疇に入る家系の者だったらしい。

 王太子とは年が同じで幼馴染といった関係で成人してからは彼の補佐に着くことになったという。

 まあ普通そうなるよね。


 しかし凄いのを姉さんは引き当てたなあ。

 この人って絶対に出世して王太子が王になった時に宰相とか最低でも側付きになる事がほぼ決まってるんじゃないか?

 というか俺んちの姉さんと結婚して本当に良いのか?

 もっとお似合いな家柄の人がいるんじゃないのか?

 まあ姉さんを気に入ってくれているんなら俺からは全然文句はないが。


 俺が変なことを考えているうちにも話は進んでいた。

 姉さんと彼氏の馴れ初めの話に戻ると彼はうちの姉さんのことを爺さんちで見てからなんかなかばひと目惚れっぽい状態になっていたという事らしい。

 だが爺さんちでは王太子を差し置いて話しかける事も出来ず悔しく思っていたところで姉さんが婚活しに王都に来ていることを知って機会を狙っていたんだと。


 姉さんとパーティで会ってからすぐに親族を経由して爺さんのところに連絡が来て婚約の申し込みがあったという。

 おいおい、どんだけ慌ててるんだ?

 うちの姉さんなんかにそんなに求婚のお誘いなんて来る訳がないだろう?

 え? そうでもないの? その後にも何件かあったんだって?

 ええ~? 嘘だろう~? うちの姉さんだぞ? 誰かと間違ってないか?

 あ、爺さんの本家の孫とかと勘違いしたとかじゃねえ?

 まあその件はこの際どうでもいいか。


 それでまあ、あれよあれよという間に話はトントン拍子に進んで後は家から両親を呼んで婚約か結婚か両方続けてか行うってことらしい。

 だが家からバズとママンを呼ぶっていってもそんなに急には来られないよなあ。

 早くて二か月位か遅くて半年は掛かるんじゃないか?

 それに姉さんも花嫁修業とかした方がいいんじゃないの?

 家じゃあ全然家事とかしてなかっただろう?


 そんなこんなでどうやら姉さんは無事に結婚は出来そうなんだけどまだまだ時間はかかりそうだ。

 良かったあ。出がけに姉さんが急にこんな事を言うもんだからすぐにでも結婚するのかと勘違いしていたよ。

 そうだよな。リーナ達の結婚でも結構な手間がかかるそうなんだからましてや貴族の結婚なんかがそんないい加減にできる訳がないよな。


 これで安心して落ち着いて旅が続けられるというもんだな。

 おいヘルさんや。ここ迄の事は全部あらかじめ知ってたんだろ?

 だからいつも言ってるだろ? 報・連・相を大事にしろって。


『はい。マスター。

 もちろん知っていたに決まってるじゃないですか。

 私にもいろいろ相談されましたから当たり前ですね。

 ですがお嬢様のお気持ちも少しは考えてあげてください。

 婚活に来ましたと大きく喧伝しておいてからもし上手くいかなかったら大恥をかいてしまって領地にも帰れなくなっていましたよ。』


 う~ん。そりゃそうなるか。

 まあ言われてみればもっともだな。

 今回の事はまあいいがこんな事ばっかり続くと自分の信用度がどんどん下がっていっていると分かっているんだよな?

 それが分かっててやっているんならもう文句は言わないよ。


『すみません。マスター。

 ちょっと調子に乗っていたようです。

 ですが女の子のことに関しては一切妥協するつもりはありませんっ!! 』


 お、おう。そうか。

 分かってるんなら良いんだよ。うん。

 ま、まあこの話はここまでにしようかねえ。ヘルさんや。


『マスターは軟弱ですねえ。』


『軟弱軟弱~。』


 うるさいよ二人とも!


  ~ ~ ~ ~ ~


「おう。聞いたぞ。

 やっとお前も観念して結婚する事にしたんだって? 」


「いえ。そんなんじゃなくて自分から求婚したんですよ。」


「へえ。そうなのか。

 今まで全然そんな話を聞かなかったお前から急に出てきた話だから嫌々で結婚するのかと思っていたぞ。

 それで相手は誰なんだ? 俺も知っている相手か? 」


「ええ、知ってると思いますよ。

 ほら。ちょっと前にシュールバイト伯爵のところにいたロリングストンの嫡男にバリセローの事を聞きに行った時にその姉弟にも一緒に会ったでしょう?

 その中の姉の方ですよ。名前はアメリアさんといいます。かわいらしい方でしたでしょう? 」


「ええ~? そうだったか?

 あんまり覚えてないなあ。特に可も無く不可も無くって感じだったと思うんだけど? 」


「あんたの目は節穴か?! どこを見たらそんな風に思えるんだっ?! 」


「お、おう。すまんな。

 なんかえらく力が入ってるな。

 そんなに気に入ったのか? 」


「え、ええまあ。

 こちらこそ急に怒鳴ったりして申し訳ありません。

 ですが彼女に会ってから自分の人生はこの為に有ったんだと分かりましたからね。

 ですから彼女を悪く言うようなことは聞き捨てなりませんから今後は中傷しない様に気を付けてください。

 分かりましたね? 」


「は、はい。分かりました。

 なあ。俺って一応お前の上司って立場だと思うんだけどその辺はどうなんだ? 」


「それはそれ、これはこれです。

 他の事は良いですがこれだけは譲れないので肝に銘じておいてくださいね。」


「そ、そうか。

 それでどんな風に始まったんだ?

 興味があるから詳しく教えてくれ。」


「え? 知りたいですか? そうですか。

 だったら詳しく徹底的に教えましょう。

 今夜は寝かせませんよ。」


「ちょっと待て! そんなに長い話になるのか?

 もっと短くまとめて話してくれよ。

 俺にそんな暇な時間は全然ないぞ。」


「ちっ。そうですか。じゃあ少し短くしましょうかね。」


「そうしてくれ。それで最初はどういう風に始まったんだ? 」


「まず私は彼女に対して一目惚れをしてしまっていたので彼女の事を色々前もって調べていました。」


「おい! それっていわゆるストーカーっていうやつじゃないのか?

 それに調べるのに家の機関を使ってないだろうな?

 それは職権乱用だぞ。監査が入っても俺は知らんからな。」


「そんなヘマはしませんよ。

 ちゃんと例の件と併せてロリングストンの家全部を調べさせたんですからどこも変には見えません。

 それで調べた結果の中に彼女が王都に来てから小さなパーティに出続けているというものがあったんです。

 そこで自分も彼女が出席しているパーティに早速参加してそこで一人でたたずんでいるところに話し掛けたんです。

 彼女と色々話してみてパーティに出席しているのは婚活の為だと確信した私は直ぐに実家に話を通して婚約を申し込んだという訳です。

 そうでないと他の誰かが先に申し込んでしまうかもしれないですからね。」


「そこ迄しないと駄目なものなのか?

 いや。別に悪く言うつもりではなくて素朴な疑問だ。」


「ええ。実際そうでした。

 後で周りから聞こえてきた話によると彼女の身元をよく調べてからでないと実家からの許可が出なくて婚約を申し込む事が出来なかったという者が結構いたようです。

 ですから自分はそいつらから少しねたまれているみたいですね。

 思うに自分が上手くいったのは以前に一度会っていたという事と既に調査が済んでいたからで本当に運が良かったというしかないですね。」


「そんなにモテていたのか。

 人に魅力を感じるというのは良く分からないもんなんだな。」


「まあそうですね。

 という訳で自分は彼女と結婚しますから今後はロリングストン関係の仕事は一切出来なくなりますからあしからず。

 誰か他の者に頼んでくださいね。」


「おい、ちょっと待て! そんな話は聞いていないぞ! 」


「そりゃそうですよ。

 今初めて報告したんですから当たり前です。

 ですがこういうのは普通の対応ですよ。

 なにか利益や不利益になる情報を横流ししたりするかもしれないんですからね。」


「ま、まあそうかもしれないがこの件からお前が抜けると凄く困るんだがどうしろというんだ?

 そうだ! お前が彼女と結婚しなければ良いんじゃないか? 」


「馬鹿な事を言わないでください。

 もし結婚を邪魔されるような事になったらもうこの仕事をきっぱりと辞めますよ。

 これはけっして冗談ではありません。」


「くそっ! こんな事になるんだったらお前を伯爵のところになんか連れていかなければ良かった! 」


「もう過ぎたことを嘆いていても仕方ありませんよ。

 もっと前を向いて歩んでいかないと。

 私たちには素晴らしい未来が待っているんですから! 」


「ああもう勝手にしてくれ。

 しかし最近になって本当に面倒なことが立て続けに起こるなあ。

 俺はなにかに呪われてでもいるのか? 」


  ~ ~ ~ ~ ~


 旅に出たその日の夜。

 ヘルが折り入って話があるというので寝るのを少し遅らせて時間を作った。

 おいおい、またなんか厄介ごとでも起こったのか?

 まあ取り敢えず聞いてみるか。

 それでなんだって?


『はい。時間を作って貰ってありがとうございます。マスター。

 実はお嬢様のスキルのことで報告があります。

 本当はスキルの内容は教えるつもりはなかったんですがこのような事態になってしまいましたのでしょうがなく開示いたします。』


 うん? 別に俺に教えてくれなくてもいいんだけど?

 なんでそんな事になったんだ?


『はい。それはお嬢様が王家のものと結婚することがほぼ決まりそうなのであらかじめ対策を取れるようにする為です。

 まず初めにお嬢様のスキルは香学士です。』


 香学士? なんだそれ。聞いたことないな。


『はい。凄く稀なスキルです。

 ですが奥様も同じスキルを持っていますけどね。

 それでこの香学士というスキルですが香りを操作して色々な事が出来るという珍しいスキルなんです。』


 へえ。そんなスキルもあるんだねえ。

 それでこのスキルがなんなの?

 なにか他の人に知られると問題でもあるの?


『はい。この色々な事が出来るという物の中に人を香りであやつる事が出来るというものがあります。

 この事は総合ネットワークで調べれば簡単に分かってしまいます。』


 ええ~っ?! そんな事が出来ると知られたら王家に使い潰されたりしそうなんだけど大丈夫なのか?!


『大丈夫ではありません。

 ですからお嬢様には結婚相手にスキルのことに興味を持たないようにあらかじめ暗示を掛ける様に言っておきました。

 ですがいずれバレてしまうのは確実でしょう。』


 そうか! 分かったぞ!

 このスキルを使って姉さんは結婚を勝ち取ったんだな!

 悪い女だなあ。


『いえ。これとは全然関係なく一目惚れされたようですよ。』


 あ、そうなのね。

 姉さん疑ってごめんなさい。





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