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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第五章  オウディーエンス王国の物語

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03-05-01 オウディーエンス王国の困惑

 サーラとの王都散策は結構楽しく終わった。(もちろんヘルも同伴していたよ)

 帰り際にこのまま爺さんのうちにくるかと聞いたがやっぱり貴族の屋敷は気後れするといってリーナの家に帰っていった。

 別にそんなことないと思うんだがなあ。

 まあサーラの気のすむようにしてやるよ。

 でもいちゃラブ地獄には耐えられるのかねえ。


 俺たちも爺さんちに帰ったが誰かお客さんが来ているらしくてなんだか物々しい。

 まあ爺さんも結構な地位にいるようなのでそういう友達もいるのは当たり前か。

 俺は問題が起きないように隅の方でじっとしているに限るね。

 そんな風に思って部屋のベッドに寝転んで今日買ってきたものを選別していたらなぜか俺にお呼びがかかった。


 ええ~? なんで俺が呼ばれるの?

 俺ってこの家の本流でもないただの分家の嫡男だぞ?

 そりゃちょっとは名の知れた家ではあるが最近は鳴かず飛ばずな感じだったと思うんだけど?

 まあ呼ばれてしまったんなら行くしかないが俺ってそんなにいい服持ってないんだけど失礼にならないのかな。


 仕方なく持ってる服で一番まともそうなのを着ていくことにした。

 これでだめなら怒られるのを覚悟するしかないね。

 俺たちの泊まっている端っこの方から本館の応接間といっていいのかどうか分からない広さの部屋に行くと爺さんのほかにアメリア姉さんやファンロックまでいるようだ。

 なんだ。俺たち姉弟全員を相手に紹介したかっただけか。


 相手はと見るとまだ若い青年で三十歳にはいってないだろうという頭の切れる奴といった感じだった。

 爺さんの知り合いにしてはかなり年が離れてるなあと思っていたら相手を紹介された。

 相手はなんと王太子だった。次の王様だよな?

 なんでそんなのに紹介されるんだ?

 さらに疑問が増えたがこちらも無難に挨拶しておこう。


 こまごまとした挨拶を終えると向こうが俺を呼んだ本当の理由を話しだした。


「ハーロック君、ヘルシングさん。

 妹を助けてくれてありがとう。

 もう無事な姿を見られないと思っていたんだ。

 もう一度元気な顔を見ることができて本当に良かったよ。

 今王都に来ているとビジターナに聞いて急いでお礼に伺ったんだ。

 妹を助けてくれても何も言わずに立ち去ったというのを聞いてぜひお礼をしなくてはと思って急だとは思うが会いに来てしまった。

 驚かせてしまったようですまないね。

 重ねて言うが今回のことは本当にありがとう。」


 そういって俺たちに向かって頭を下げた。

 うわー。そういうのはやめてくれませんかねえ。

 爺さんを含めこの場にいる全員が驚いているじゃないの。

 まあ王女を助けた者に礼の一つも言わないのでは周りに示しがつかないのかもしれんが。

 しょうがないのでこの場は素直に礼を受け取ってとっとと帰ってもらおうかねえ。


「いえ、王女を助けるのは貴族の一員として当たり前のことですのでそんな頭を下げられるようなことではありません。

 ありがたく礼を受け取りましたのでもう頭をお上げください。」


「そうかい。そう言ってもらえると王家の者としては感謝に堪えないよ。

 これからも国のために力を貸してくれるようお願いするしかないな。」


「はい。微力ながらお力になれるように尽力いたします。」


 まあこんな感じで返答しておけばいいよね?

 ちらっと爺さんの顔をうかがうとこれで特に問題はない様だ。

 この後も色々細かい状況を聞かれたりしたが答えられる範囲で答えておいた。

 ヘルが鎧の兜を取らないことをちょっと不審に思ったようだったが顔に傷があって見られたくないというのをほのめかしたら大層気の毒がっていた。

 悪いね。ヘルの素顔は禁則事項なんだ。

 見たら目が潰れるぞ。


 最後に帰る直前になって俺と二人で話したいことがあるという。

 なになに? まさか俺の妹を貰ってくれないかとか言うんじゃないだろうね?

 おいおい困るよ。そんなこと急に言われても。

 とか思っていたら全然違うことだった。


「ハーロック君。君達はフリオペラという少女を王都まで護衛してきたそうだね。

 それでどこまで知っているんだい? 」


 なんだ急に? フリオペラがどうしたっていうんだ?


「えっ? どこまで? 一体なんのことですか?

 詳しく教えてください。」


「フフフ。

 誤魔化さなくても君たちがある程度のことを知っているのは予想が付いているんだよ。

 でなければ追跡してきた騎馬隊を躱すことなどできないだろう?

 どうだい? ここは腹を割って話さないかい? 」


 まあそうだろうな。

 国の諜報力をもってすればこの程度のことを調べるのは朝飯前だろうな。

 しょうがない。ここはある程度のことは聞きだしたということにしておくか。


「はあ。恐れ入りました。

 実は護衛を頼まれた商人と秘密保持の契約をしていてむやみには話せないのです。

 そこをご理解ください。」


「なるほどね。そういうことかい。

 今の返事も具体的な事はなに一つ言ってないが意味は通じているようだしね。

 上手く話をしなくてはならないね。」


 そう言って少し考えるそぶりを見せてから再び話し始めた。


「まず言っておく事がある。

 それはフリオペラ姫は誘拐されて来たのではなく我々がこの国の王都にある学園に留学するように招待したことからこちらに来る気になって隣国につてのある商人がそれを仲介して今回入国したという事だ。

 始めに招待したときに姫は留学を大層望んでいたそうだが隣国の首脳部としては自国以外の教育を受けさせたくはなかったのかそれは許可されなかった。

 だが姫は諦めきれなかったのか強引な手段をとって無断で王城を抜け出して来てしまったみたいだ。

 もちろん我々はそんな事に手を貸してはいなかったんだが隣国の首脳部は我が国が人質にするために誘拐したと言ってきているんだ。

 君も知っているようにちょっと前にすわ戦争かという事態があったことでそれを否定できない状況でもあった。

 でも今さら姫を返しても誘拐したと思われていることは変わらないし隣国に貸しを作ることにもなってしまう。

 今我々はどういった行動を取ればいいのか苦悩しているところだよ。」


 うわー。そんな裏事情があったのか。

 だとしたらバリセローはそんなに悪い事はしてなかったのか?

 いや、違うな。

 あいつは密出入国に手を貸していたということになるだろうから立派な悪人だ。

 それに善意でそんなことをするような奴じゃなかったから多分多額の報酬を貰っていたんだろうな。

 俺たちにも気前よく護衛料を払っていたし懐が温かかったんだろうことからもそれは裏付けられるだろう。


 まあ今困っているというのは分かったけどもそれでこんな話を俺にしてどういう意味があるんだ?

 まさか俺に何か妙案がないか聞きたいって訳じゃあないよね?

 あとはバリセローの身柄かな?

 誘拐に国が関与していない証人として使いたいってところかねえ。

 まあ実際に聞いてみれば早いか。


「話は分かりましたが私に何を求めていらっしゃるのでしょう?

 そこが分かりませんね。」


「ああ。それを今聞こうと思っていたんだよ。

 君に聞きたいのは姫を連れてきた商人の行方だ。

 君の領地で確認されたのを最後に足取りが途絶えていてね。

 どこに行ったのか皆目見当がつかない状態だ。

 もし君が何か知っているようなら教えて貰いたいんだけどどうだろう。

 あ、君たちがなにかしたというような事はないと確認しているよ。

 君たちと彼らは君の村を出てからは接触してないよね。」


「そうですね。彼らとは家の屋敷の前で会ってからはそれきりですね。

 まあその時にちょっと脅してしまったので慌てて村を出ていったんだと思いますが。ははは。」


 俺の乾いた笑いにも王太子は特に反応もせずに話を進めていった。

 それからもバリセローの行方に関することをグダグダと話し合ったが特に進展することもなくお手上げ状態だ。

 もう時間も押してるらしくてお付きの人が帰城を勧めてきた。

 俺もそうした方がいいと思いますよ。


「それでは何か気が付いたことでもあるかも知れないので仲間にも聞いておきますね。

 今日はお会いできて大変うれしく思いました。

 またお会いできるように微力を尽くします。」


「そうか。残念だが有力な情報はないか。

 ではまた機会があれば会おう。

 お邪魔したね。」


 そういって王太子は帰っていった。

 その間俺は深くお辞儀をして立ったままだったが同時にヘルに今回のことで何かいうことはないかを聞いていた。

 もし王太子と話しているときに何か重大なことをヘルから聞かされて顔に出ると困るからと彼が帰ってから聞こうと思ってたからね。

 案の定ヘルから衝撃の答えが返ってきた。

 話の途中で聞かなくてよかったよ。


『大変残念なお知らせです。

 バリセロー氏たちはすでにこの世の人物ではなくなっております。

 ドローン壱号機さんが美味しくレーザーで戴いてしまっていました。

 でもドローン壱号機さんの所為ではありません。

 私の所為です。

 ですから私のことは嫌いになってもいいですからドローン壱号機さんのことは嫌いにならないでください! 』


 ああ、そんな小芝居はどうでもいいからね。

 詳しく教えてくれないかな。


『ちぇっ。詰まんない奴ですねえ。

 まあそのまんまですよ。

 私たちが王都に向けて馬車二台で移動しているときに先行していた彼らとすれ違ったんです。

 その時に彼がロリングストン家に仇なすというような事を口走っていたので後顧の憂いをなくすために独自で判断して対処した結果です。

 後悔はしておりません! 』


 いや。別に処分したことを怒ったりはしないけどなんで俺にすぐ報告してくれなかったの?


『知らない方が良いことが世の中には色々あるんですよ。

 実際に今回のことを先に知っていたら少しは顔に出ていてもおかしくはなかったでしょう?

 上手くとぼけられたんだからこれで良かったんですよ。』


 まあそうかもしれないがこれからはできるだけ教えてくれよ。

 知らない内に事態が動いているっていうのが一番堪えるんだからね。


『まあ今後は善処いたします。

 ですが今回の事はどう致しますか?

 王太子に事実を報告しますか? 』


 そうだよなあ。一体どうするか。

 このまま放っとけば国はバリセローをずっと探し続けるんだろうな。

 だがもう死んでるんだから絶対に見つからないし時間と労力をただ失って事態は好転しないままだろう。

 レーザーで処理した死体はどうしたんだ?


『はい。レーザーで頭を打ちぬいたので死因は頭部からの失血死ということになると思います。

 レーザーの痕跡を消したとしたらですが。

 それに森の奥に放置してきたのでもう魔獣に美味しく頂かれていて良くて骨が残っているだけかもしれませんよ? 』


 そうか。なら取り敢えずそこをドローンで確認してみてから考えるか。

 壱号機と弐号機を同時に飛ばして先に弐号機で確認してまだ死体が残っているようだったら壱号機で死因の偽装を施して街道の近くに移動させるとかしてあとは壱号機が見つからないように操作して旅人に死体を見つけてもらえるようにしよう。

 ヘル、どうにかできるか?


『まあ場所は村からそれほど離れた場所ではなかったので遠隔操作は問題なくできるでしょう。

 それとマスター。壱号機にアームとかを付けてもらえませんか?

 作業が格段に捗りますよ。』


 ああそうだな。ちゃちゃっと付けておくか。

 でもバランスがなんか悪くなりそうで嫌だなあ。

 その夜は壱号機の改造をちょっとしてから二機のドローンを飛ばしておいた。

 明日の朝には現地についてるだろう。


 その状況を見てから今後のことを考えよう。

 さて一体どうなることやら。





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